熊谷組では、仕事と育児の両立支援制度をより利用しやすい環境をつくる為に様々な取り組みを行っており、2020年度には男性育児休業取得率は34.3%、平均取得日数も53日と徐々に社内でも育児休業を取得する男性社員が増えてきました。
更なる男性育児休業取得推進の取り組みのひとつとして、昨年度に引き続き、育児休業取得経験のある社員で座談会を開催しました。今回は社長も参加し、自分の経験との比較も交えながら和やかな雰囲気の座談会となりました。

米山(事務)管理部門所属 過去に育休を取得。自身も共働きで仕事と育児に取り組む。前回に引き続き、司会を担当。
三谷(建築施工)研究部門所属 第一子・第二子で育休取得。第二子時は夏季休暇と合わせて2週間半取得。
古賀(事務)管理部門所属 第二子での育休取得。半休やテレワークも積極的に利用し、育児を行っている。
井上(土木施工)施工部門所属 第二子での育休取得。育休中には、初めての離乳食作りも行った。
櫻野(社長) 当時、第二子誕生後に1週間の有給休暇を取得。一番記憶に残っている育児は沐浴。
中里(建築設計)建築部門所属 配偶者の仕事復帰と保育園の慣らし保育サポートの為に取得。取得後は、平日も保育園のお迎えから寝かしつけまで行う。
竪野(事務)土木部門所属 コロナ禍で産前産後3か月間離れて暮らした為、3人で生活する必要性を感じ取得。
加藤(建築施工)施工部門所属 取得後、大型工事現場では、残業もあるがノー残業デーを持とうという意識が芽生えた。
河村(基礎研究)研究部門所属 配偶者の里帰り出産先で育休取得。育休を通して義理の両親との関係が更に良好になった。

自己紹介をお願いします

古賀:管理本部主計部の古賀です。現在は、決算業務・会計税務を主に担当しています。育休は、二人目の子どもが生まれて10か月の時に取得しました。業務との折り合いもあり、年末年始休暇と合わせて2週間取得しました。
竪野:土木事業本部の竪野です。入社8年目で業績管理や社内研修の運営の業務をしています。育児休業は、約1カ月間取得しました。里帰り出産とコロナ禍が重なり、産前産後で約3か月間妻と一緒に生活することも会うこともできなかったので、3人で生活する期間が必要と感じ、取得しました。
河村:技術研究所の河村です。環境に関する技術開発や今ある技術の普及・展開をしています。部署の先輩が先に取得していて、取得を勧められたのがきっかけで2か月間取得しました。
中里:建築事業本部の中里です。構造関係の技術開発と現場支援が主な業務です。共働きであり、妻がなるべく早く仕事復帰したいという希望もあり、保育園入所までの期間を夫婦で交互にみていました。2か月間取得しました。
三谷:技術研究所の三谷です。主にコンクリートなどの材料の技術開発や現場の技術支援をしています。第一子で取得し、今回第二子でも取得しました。上の子をフォローしながら、子ども達と触れ合う時間も持ちたいと思い、子が8カ月のときに1週間取得し、夏季休暇と繋げて2週間半休みました。
加藤:幕張若葉計画B3街区作業所の加藤です。入社10年目で工事全般をみている状況です。第一子でどのような状況になるのかわからないということや現場で取得しても良いという雰囲気があった為、2週間取得しました。
井上:九州支店土木部の井上です。入社4年目です。新幹線の現場で工事係として業務をしています。第二子が生まれるタイミングで取得しました。第一子がまだ小さく、新型コロナの時期的に親戚にみてもらえる状況でもなく、出産から妻の退院まで1週間程度取得しました。

取得前の状況について教えてください

米山:現場での取得は時間的な制約があり、ハードルが高い印象がありますが、育児休業の取得には現場の雰囲気も関係してきますか。
加藤:与えられた現場によって人数が少ない現場であると取りにくい現場もあるのではないかと思います。今携わっている大型現場ではむしろ工事所長が勧めてくれたので取りやすかったです。
米山:やはり上司が勧めてくれると取りやすいですか。
加藤:やはり取りやすいですね。現場の上司の雰囲気づくりに左右されますね。
米山:工事には工程がありますが、工程を加味して取得しましたか。
加藤:工程的には、少し余裕がある時期だったので取得できたと思います。

井上:私も、最初に話したのは所長でしたが、「もっと長く取っていいよ」と言ってもらい、先輩も業務の分担を快く引き受けてくれたので取りやすかったです。検査等が被っていなかったので時期的にもタイミングが良かったです。
米山:今回の育児休業は1週間程度の取得とのことですが、調整したらどのぐらいの期間育児休業を取得できそうですか。
井上:今回は、現場を異動して間もない時期でもあったので、あまり現場を離れるのもという思いもあり、1週間程度の取得でした。時期にもよりますが、現場でもやりくり次第であと2週間ぐらいは取れたかもとは思います。
古賀:私は、上司から「育休を取ったら?」と勧めてもらい、取得を決めた時も快く承諾してくれ、有難く感じていました。職場環境についても家庭を大切にという雰囲気があり、取得したいと伝えることについてのハードルは感じませんでした。ただ実際の業務のことを考えると、決算業務を担当している部署ということで限りある時間の中、色々とこなしていかなくてはならず、なかなか長期間取得するのは難しいというのが現状だと感じました。
櫻野:私が入社したのは40年ぐらい前で、1985年の男女雇用機会均等法の制定前でした。当時は家事・育児は女性の役割という意識が圧倒的でした。職場では育児休業を取得するという発想はなく、育児休業という言葉が出ること自体がありませんでしたね。今日、皆さんの話を聞き、家族と一緒の時間を持ちたいと素直に言える雰囲気になったことを嬉しく思います。

育休中のエピソードはありますか

三谷:上の子がいる中での育休だったのですが、小さな子がいるとなかなか外に出づらいお盆前の暑い時期に、上の子の希望を叶えて外遊びさせることができたのが良かったです。
井上:妻が第二子の出産の為に育休を取得し、第一子と二人で過ごしました。まだ第一子が小さかった為、妻が離乳食のストックを作ってくれていたものの、ストックが無くなり、それまで離乳食を作ったことがなかったので困りました。ネットで検索しながら、何とか離乳食を作ったり、どうにもならない時は、スーパーでベビーフードを買って凌ぎました。

河村: 1カ月くらい妻の実家にいたので、妻の両親とよく話したことで関係性が深まり、育児以外にも良かった点がありましたね。妻の実家でしたが、育児休業中なので主体性を持って育児に取り組みました。
櫻野:私は、当時第二子が生まれた後、退院してから1週間休みを取って、第一子の幼稚園の送り迎えにも毎日行きましたね。その時は色々な家事もしましたが、第二子を毎日沐浴させていた事が一番記憶に残っています。その当時は、プロジェクトチームにいたので、自分で業務のスケジュールを組み立てられる自由度があったということも幸いでした。あの時代に子どもが生まれて1週間休むという事はあまり耳にしませんでしたね。
米山:なかなか仕事の自由度が無いと難しいところもありますね。テレワークやフレックスなどを活用しながらどれだけ仕事を采配できるかという事も取得に関わってきますよね。

育休取得後に意識の変化はありましたか

竪野:仕事に関しては、早く帰りたいという意識になり、今までは残業していた業務も朝早く来て業務をしたり、意識の変化がありました。育休中に大変さがわかったので、育児を一緒にしていこうという意識になりましたね。
加藤:私も最初の時を一緒に過ごせたからこそ大変さがわかりました。実際、現場にいるので残業もあるのですが、週に1、2回は早く帰り、顔を見たいという風に思っています。遅く帰ると寝てしまっていて顔も見られず、そっと家に帰る感じになってしまいます。なので、意識的に早く帰ろうという気持ちではいます。現状ではなかなかそこまで上手くはいっていないのですが・・。
中里:私は、保育園の送り迎えをしていて、週2日は仕事を定時で切り上げて寝かしつけまで行っています。仕事をできる時間は制限されるので、時間の効率化を気にするようになりました。移動時間がなくなり、仕事に割ける時間が増えるのでテレワークも利用しています。

古賀:普段帰りが遅く、妻に負担をかけている自覚はあったのですが、育休を取得し、朝から晩まで子どもと一緒にいるという生活をしてみて自分の時間が持てなくなるということを実際に体感しました。せめて休みの日ぐらいは、妻が自分の時間を持てるような配慮をしなくてはと改めて感じるようになりました。
米山:今、時間が限られた中で業務を行っていく意識に変化してきたという話が多く出ていましたが、社長はこのお話どう思われましたか。
櫻野:業務の効率化への意識付けとしても育児休業取得を促進したいと思いましたね。色々な気付きがある中で配偶者の役割の大変さに気が付くことで、改めて配偶者の大切さに気が付くことにも繋がるのかと思いましたね。あと自分自身で経験すると皆さんが将来管理職になって、部下が取得するときに色々なアドバイスができるというのもメリットの一つかなと思います。
米山:皆さんが取得しやすい雰囲気づくりを今後の若い世代に繋げていって頂けるといいと思います。

両立支援制度や柔軟な働き方のできる制度は利用していますか

竪野:育児休業中に妻が夜も頻繁に起きていたりと大変さに気がついたので、時差出勤を有効に利用し、定時を後ろに1時間スライドさせて、妻に朝の1時間を少しゆっくりしてもらえるようにしています。

三谷:私は、ほとんど子どもの体調が優れないときが無かった為、子どもの体調不良時に看護休暇は取得したことはありませんが、予防接種の為に何度か看護休暇を利用したことがあります。あらかじめ、予防接種の日程は、決めることができるので、業務を調整して休暇を頂いています。また、時差出勤を活用して早く出勤し、早く退勤しています。時差出勤の日に、残業が発生した場合にも出来るだけ早く帰宅できるようにしています。両立支援制度を対象者だけでなく、職場の方にも知って貰えると、取得しやすくなると思います。
井上:現場勤務だと、現場に出て管理しなくてはいけない業務もあるので、時差出勤等はなかなか難しかったりもするのですが、タイミング的に現場が落ち着いた頃に社員の融通が利くのであれば、柔軟に働ける制度を使っていけたらと思っています。

米山:フレックスタイム制度が2022年4月より現場で導入されるので有効に使って頂ければと思っています。
櫻野:会社として、仕組みについて皆さんの意見を伺えるこのような場は大切ですので、今日のような場は有難いと思います。現在34.3%の男性育休取得率ですが、一般事業主行動計画で掲げている70%以上(子の出産にかかわる休暇の取得)の目標を達成できるように雰囲気づくりをみんなでしていけたらと思いました。会社としては選択肢があるということが重要になっていきますね。また第三子、第四子とお子さんが生まれるときにも取得して欲しいと思います。
米山:また機会があったら育休を取得したい人はいますか。
全員:(挙手)
櫻野:自分の子どもが小さい頃は、早く仕事を切り上げて、家に帰りたいという発想が自分にはありませんでした。今回、皆さんの話を伺って、意識が変わってきていることが分かり、素敵なことだと思いました。