熊谷組のESG・SDGs戦略
熊谷組グループは長期的な成長を実現し、持続可能な社会の形成に貢献するため、ステークホルダーにとって重要と考えられる課題をESG視点で特定し、事業活動を通して社会課題の解決(社会価値)と事業収益(経済価値)の双方を追求していくことをサステナビリティの基本方針としています。
ESG取組方針
- 熊谷組は、環境(Environment)・社会(Social)・企業統治(Governance)の視点から解決すべき重要課題(マテリアリティ)を特定し、持続可能な事業活動を追求していく。
- 熊谷組は、グループが保有する技術・経験・ノウハウを活用して新たな価値を創造し、SDGsに代表される社会課題の解決に貢献する事業活動を展開していく。
- 熊谷組は、事業活動を通じてステークホルダーとのコミュニケーションによる信頼関係の構築に努め、企業価値の向上を目指していく。
ESG取組方針 重要課題・個別課題 | |||
---|---|---|---|
視点 | 重要課題(マテリアリティ) | 個別課題 | 関連するSDGs |
E | 気候変動リスクへの対応 | ||
環境に配慮した事業の推進 |
|
||
S | 多様な人財が能力を発揮できるウェルビーイングの実現 |
|
|
持続可能なコミュニティーの実現 |
|
||
G | コーポレートガバナンスの強化 |
|
|
マルチステークホルダーとの関係強化 |
重要課題(マテリアリティ)の改定
2024年5月に熊谷組グループはESG取組方針の重要課題(マテリアリティ)の改定を実施し、それに伴い、中長期視点で事業戦略上のリスクまたは機会となる個別課題の再検討を行いました。
改定の理由
- 重要課題・個別課題を検討した当時(2018年度)からの外部環境の変化
甚大化する自然災害や新型コロナウイルス感染症のパンデミック、ロシアのウクライナ侵攻など特定の地域が抱える政治的・軍事的な緊張の高まりが当社グループの事業に対して、大きな影響がありました。 - 社会からの要請に対応
この度の改定においては、社会からの要請に応えるため、従業員、投資家、お客様、有識者といったステークホルダーの意見を伺っております。
改定のプロセス
社会からの要請にこたえるために、ステークホルダーとの対話を実施しました。
<ステップ1>建設業界の分析
所管省庁、業界団体等より情報収集を行い、課題などを認識
- 建設業就業者の現状
担い手の処遇改善、働き方改革、生産性向上を一体として進めることが必要 - 資材価格高騰への対応
サプライチェーン全体で、建設資材に関する適切な価格転嫁が図られるよう、受注者・発注者(施主)間を含めた建設工事に関する環境整備を進めることが必要 - 賃金引上げに向けた取組
持続可能な事業環境の確保が必要 - 働き方改革等の推進
<ステップ2>ステークホルダーの明確化
バリューチェーンの可視化を行い、ステークホルダーを明確にしました。
<ステップ3>サステナビリティ課題のリストアップ
熊谷組グループが認識していた課題、SDGs、グローバルリスク報告書などを踏まえ、課題のリストを作成しました。
- 熊谷組グループが認識しているリスク
自社グループが認識している社会課題(長期構想)
自社グループがビジネスを遂行する上でのリスク(有価証券報告書) - 社会が抱えている課題(SDGs169のターゲット)
- 社会が抱えているリスク(世界経済フォーラム)
- 直近4年の海外・国内の主要なニュース
<ステップ4>サステナビリティ課題の影響を評価
熊谷組グループの役職員による課題の重要性に関する対話を行い、影響がある課題の評価を行いました。お客様、投資家、有識者などのステークホルダーから意見を伺いました。
<ステップ5>重要課題・個別課題の特定
サステナビリティ推進委員会にて議論を行い、重要課題(マテリアリティ)・個別課題を特定しました。
経営会議、取締役会の承認を得ました。
個別課題のマッピング
E:環境
S:社会(人に関わる項目)
S:社会(まちづくりに関わる項目)
G:ガバナンス
ESG・SDGsマトリクス
ESGに基づく事業活動と、SDGsの169のターゲットとの関わりを示し、熊谷組が事業を通して社会課題解決に貢献している分野を「ESG・SDGsマトリクス」として可視化しました。
「ESG・SDGsマトリクス」は、更なる課題解決に向けたイノベーションの手がかりや長期的なリスクマネジメントのリストとして活用しています。また、ESG・SDGsを切り口としたステークホルダーとの対話を行うツールとしています。
※2024年度版のESG・SDGsマトリクスは2024年6月以降に更新予定です。
監修:CSR/SDGsコンサルタント 千葉商科大学 客員教授 笹谷秀光氏
※1 重要課題「環境に配慮した事業の形成」は、カーボンニュートラルへの取り組みを強化するものです。
※2 熊谷組の事業とSDGsの169のターゲットとの関連については、主に該当するものを掲載しています。
※3 ESG・SDGsマトリクスの内容は熊谷組単体を対象としています。
株主・機関投資家との対話の状況等
熊谷組では、株主・機関投資家との建設的な対話に関する方針を含む「ディスクロージャー・ポリシー」を制定(2024年3月28日)しました。持続的な成長と中長期的な企業価値の向上に資するよう、経営及び事業活動等に関する情報を、適時、適切かつ公平に開示するとともに、株主をはじめとしたステークホルダーの皆様との建設的な対話の実施に努めます。
2023年度は、前年度に引き続き、オンラインツールを活用した国内外の株主・投資家との個別ミーティング・電話会議やスモールミーティング、決算説明会、建設現場見学会の開催や投資家カンファレンスへの参加など対話の手段の充実に努めました。
また、IR専任部署を新設(2023年4月1日)するなど株主・機関投資家との建設的な対話を促進するための体制整備・取組みを進めるとともに、その実施状況等についてコーポレートサイトならびにコーポレートガバナンス報告書にて開示しました。
2024年度に改定したESG・SDGs戦略のひとつに「投資家との積極的対話」を掲げ、業績動向、経営戦略、株主還元などのほか、環境・社会課題やガバナンスへの取組み等について積極的に意見交換を行っています。対話を通じて把握した株主・投資家の意見や要望等については、取締役会メンバーや関係部門にフィードバックし、企業価値向上に活かしています。
2023年度は、中期経営計画(2024年度~2026年度)策定に際しても、株主還元、資本政策、投資戦略などにおいて、対話によって得られた意見を一部参考に方針を検討しました。
対話を行った株主・機関投資家
国内外の機関投資家やアナリスト
対話実績
対話の主なテーマ
対話結果の経営陣等へのフィードバック
対話を通じて把握した株主・機関投資家からの意見については適宜、経営陣に展開し、各戦略・施策の参考としています。