社会基盤を造る
私たちの日々の生活や経済活動は、様々な社会基盤の上に成り立っています。
道路、鉄道、航空船舶、電気、ガス、水道、電信電話、インターネットなどのインフラ設備です。これらのインフラが当たり前に存在していて、初めて便利で快適な生活が過せるのです。
社会基盤は公共施設や構造物によって形作られており、熊谷組はこれまで数多く手がけてきました。
完成すれば当たり前になって意識されない仕事かもしれませんが、公共性と責任の重さを強く受け止めて、全ての力を注ぎ込みます。
貫く
「大地を“貫く”トンネル施工技術」。
自然と格闘する技術のようですが、従来の開削方式をトンネル化することで、植物や希少猛禽類等への影響を低減させています。
生活を便利にしながら自然環境との調和を図る。トンネル施工は熊谷組の代名詞ともいえる得意分野です。
「貫く」のポイント
トンネル施工技術は、比較的固い地山を発破や掘削機械で掘り貫く山岳トンネル工法と比較的軟らかい地盤を専用マシンで掘り進むシールドトンネル工法を中心とした技術です。
代表的な技術


4ブームドリルジャンボ
新幹線トンネルの断面に合わせて、油圧ドリフタ4台を上下左右に配置、クラス最大級の打撃出力により効率的な削孔が可能となりました。

現場添加型の流動化剤を使用した中流動覆工コンクリート
生コン工場の設備増設の必要がなく、現場で生コン車に直接投入・攪拌・製造ができるタイプの現場添加型流動化剤を使用して、中流動覆工コンクリートを適用することができます。

吹付けコンクリートの遠隔操作技術
山岳トンネル工事の安全性向上と効率化を目指し、「無人化施工」を活用して作業員が切羽から離れた位置で安全かつクリーンな環境下においてコンクリート吹付け作業を行える技術を開発しました。

サスペンションシールド工法
変形や変位の発生が想定される既設地下構造物を上部または側部の新設トンネルから牽引し、変形や変位の進行を抑制することで構造物の安全性を保持するもので、内部補強が困難な供用中のトンネルなどに有効な技術です。

サンライズビット工法
カッタービットを自動交換する技術。シールド工事において、長距離の掘削や岩盤が出現する複合地盤、巨礫が連続する地盤、地盤改良が困難な地盤などでカッタービットを交換する際、遠隔操作で安全かつ効率的にカッタービットを新品に交換する技術です。

シールド線形3Dシミュレーションシステム
シールドトンネルの線形を3Dモデルで管理。シールドマシンとセグメントの位置を予測して、蛇行やクリアランス不足を未然に防止します。
貯める
人類発展の歴史は、治水・利水の歴史でもあります。
水は貯めることができて、初めて資源として活用できるようになりました。流れを堰き止めて水を貯める、ダム施工技術です。
「貯める」のポイント
治水ダム、灌がい用ダム、水力発電ダム、多目的ダム、揚水式発電所ダムなど様々な社会要請に応えて築きあげたダムの施工実績は国内外で160以上に及びます。
代表的な技術

ステレオカメラによる骨材粒径判別システム
一般のコンクリートに比べて粒径の大きい骨材が使用されるダムコンクリートは、製造プラントでの骨材貯蔵ビンも骨材の粒径区分に応じて複数必要となりますが、それぞれの骨材が混じることのなく誤投入・誤搬入が起こらないようプラントの慎重な運転管理が重要です。
そこで、運搬された骨材を直接監視し、骨材粒径を瞬時に自動判別できる「骨材粒径判別システム」を新たに開発しました。
搬送コンベヤの自動切替えや骨材運行管理システムへの連動も容易であるため、CIMなどの総合的な骨材運搬・管理システムの構築が可能で、i-Construction に基づく生産性向上に発展・寄与できます。

プレキャスト通廊
熊谷組では、コンクリートダムに設置される通廊に「プレキャスト通廊」を採用し、ダム建設の更なる合理化を実現しています。

充填材検知システム
マスコンクリートの継目グラウチングにおいて、継手内部の注入状況が確認できない問題を解決する充填材料検知システムを開発しました。

転圧機械運行管理システム
GPSを用いて転圧機械の運行軌跡を自動に計測・記録、リアルタイムな施工管理により省力化と品質向上を図りながら、オペレーターには作業の進行状況や次の走路指示などをビジュアルで伝達することができるシステムです。

自動現場透水試験システム
ロックフィルダムなどの現場透水試験において、試験管理の省力化やデータ処理の自動化、ならびに各種試験精度の向上を目的として開発したシステムです。

気化冷却法
水の気化潜熱を利用してコンクリート骨材の冷却速度や冷却温度を大幅に向上させることができる、マスコンクリートのひび割れ対策として画期的なプレクーリング工法です。
〔ダム工学会技術開発賞受賞〕
架ける
日本は大小14,125※の島から構成されていて、国土の2/3は山地です。
島の間を海が隔て、谷や川が人の往来を阻みます。人々の想いを向こう側へ繋ぐ “橋梁技術” も熊谷組の得意技術のひとつです。
- 令和4年1月時点国土地理院調べ
「架ける」のポイント
橋梁の施工は、上部工と下部工に大きく分けることができます。 橋の土台をつくる下部工では、橋を支える基礎と橋脚を施工し、上部工では橋脚に橋桁を載せる工事が行われます。
代表的な技術

橋梁用「コッター床版工法」
老朽化した橋梁床版の取り換えを、コッター式継手を用いて急速施工することで、工事による社会的な影響が少なく、利用者の利便性に配慮した工法を開発しました。

カンチレバー工法
移動作業車を使用して長径間のPC橋を張出し架設する工法です。熊谷組は情報化施工技術を組み合わせるなど、各種応用技術により経済性や省力化に取り組んでいます。

無筋橋脚の耐震補強工法
昭和初期に作られた橋脚や橋台は多くの路線で現在も供用されていますが、無筋構造物のものが多く、地震時に施工打継面がずれる被害が発生しています。耐震補強工法として、打継面(目地)のズレ防止を主眼に置いた耐震補強工法を開発しました。

SENTANパイル工法
オールケーシング工法を基本として、掘削終了後に孔底に設置したコンクリートリングを所定の荷重で押し込むことによって、掘削で緩んだ杭先端の地盤を改善し、沈下量が少なく信頼性の高い杭を築造する技術です。

注水併用エアクーリング工法
注水併用エアクーリング工法は、マスコンクリートの温度ひび割れ対策として、空気の送風時に少量の水を加えて大きな冷却効果を発揮できるクーリング工法です。
特別な冷却設備や水処理設備が不要で、温度応力によるひび割れが懸念される部位などに対し、集中的にクーリングが可能です。
エアクーリング工法の適用は、主に函渠側壁や橋脚の柱部で厚さ1~3m程度の構造物が対象です。
固める
建設構造物を形作る材料の代表各はコンクリートです。
自由な形にできる、燃え難い、耐久性がある、圧縮強度があるなど多くの利点があり、この固める技術の発展が大型構造物の施工を可能にしました。
見た目は同じですが、条件に応じた調合や打設に工夫を要する繊細なものです。
「固める」のポイント
超高層建築用の超高強度タイプ、施工性重視の高流動タイプや水中打設タイプ等のコンクリート技術は勿論、乾燥収縮ひずみの制御技術や改修工事用の修復材の開発など、多くの経験と知識を蓄積し技術開発を行っています。
代表的な技術

スーパーパフォーマンスコンクリート~SPコンクリート~
スーパーパフォーマンスコンクリートは、従来のコンクリート技術では困難であった水中不分離性、高流動性、セルフレベリング性、早強性等の多様な性能を兼ね備えた新しい性状のコンクリートです。水中不分離性コンクリート、シールドトンネルの直打ちコンクリート、トンネルの補強工法の裏込めコンクリートなどに適用が可能です。

アクリル系ポリマーコンクリート
ポリマーコンクリートは、結合材としてセメント系材料を使用するのではなく、液状レジン(樹脂)のみを使用して骨材を結合させたコンクリートです。使用される材料は、液状レジン・フィラー・細骨材・粗骨材および重合 開始剤等です。セメントコンクリートに比べて、強度や耐摩耗性・耐候性・耐薬品性に優れており、港湾構造物などの塩害対策、上・下水道施設などの化学的腐食対策、ダム構造物などの摩耗対策など、高い耐久性や水密性を要求される重要構造物への適用が可能です。

スーパーエコマックス
トンネル覆工背面の空洞箇所などに充填する可塑性の注入材。フライアッシュを混合しながらもインラインミキシング方式を採用しているため長距離圧送が可能です。

エコマックス TypeP(プレミックス型セメント系可塑性注入材)
フライアッシュを大量に使用した可塑性注入材。現場に設置したプラントで製造した注入材をアジテータ車で運搬、モルタルポンプでトンネル覆工背面の空洞を充填します。

AZグラウト
配合を変えることにより「長距離圧送タイプ」「高強度タイプ」「軽量化タイプ」など優れた汎用性を発揮する可塑性の注入材。1km以上の長距離圧送が可能であるため、小断面トンネルにも有効です。

保温・湿潤養生台車による覆工コンクリート養生工法
山岳トンネル工事における覆工コンクリートの打設後の養生を「外気遮断養生」と「湿潤養生」の2種類に分けて、専用の台車を使用して養生を行う工法です。

低収縮コンクリート
低収縮コンクリートは、収縮低減剤と膨張材の組合せおよび添加量、セメントの種類による影響を室内実験により確認し、調合を検討することにより、コンクリートの乾燥収縮ひずみを0~800×10-6の範囲で制御することが可能となりました。乾燥収縮ひずみを0~100×10-6まで低減した『収縮ゼロコンクリート』を使用することで、コンクリート構造物に発生する乾燥収縮ひび割れを大幅に低減することが期待できます。

CELBIC-環境配慮型BFコンクリート-
CELBIC(セルビック:Consideration for Environmental Load using Blast furnace slag In Concrete)は、循環型社会の形成と地球環境問題の改善に寄与することを目的とし、建築コンクリート構造物に求められる所要の品質を確保しつつ、コンクリート材料に由来する二酸化炭素の排出量の約9~63%を削減する環境配慮型コンクリートです。また、CELBIC は、JIS A 5308(レディーミクストコンクリート)に適合するコンクリートとして製造・出荷が可能となります。