ESG取組方針
ESG取組方針
- 熊谷組は、環境(Environment)・社会(Social)・企業統治(Governance)の視点から解決すべき重要課題(マテリアリティ)を特定し、持続可能な事業活動を追求していく。
- 熊谷組は、グループが保有する技術・経験・ノウハウを活用して新たな価値を創造し、SDGsに代表される社会課題の解決に貢献する事業活動を展開していく。
- 熊谷組は、事業活動を通じてステークホルダーとのコミュニケーションによる信頼関係の構築に努め、企業価値の向上を目指していく。
当社は、国際連合が提唱する「国連グローバル・コンパクト(以下、「UNGC」)」への支持を表明する書面に署名を行い、2023年5月8日付で参加企業として登録されました。
熊谷組のサステナビリティ戦略
熊谷組グループは社会から求められる建設サービスの担い手として、“限りある資源が循環し、ひと・社会・自然が豊かであり続ける社会”の実現に貢献することが当社グループの役割と認識しています。
長期的な成長を実現し、持続可能な社会の形成に貢献するため、ステークホルダーにとって重要と考えられる課題をESG視点で特定し、事業活動を通して社会課題の解決(社会価値)と事業収益の拡大(経済価値)の双方を追求していくことをサステナビリティの基本方針としています。
重要課題(マテリアリティ)と個別課題
E:環境
E:環境 | 重要課題(マテリアリティ) | 個別課題 | 関連するSDGs |
---|---|---|---|
気候変動リスクへの対応 | 1. カーボンニュートラルの達成 2. 再生可能エネルギー事業の強化 | ||
環境に配慮した事業の推進 |
3. ゼロエミッションの達成
4. 木造建築事業の強化 5. 環境配慮型技術の開発6. ネイチャーポジティブの実現 |
E:環境の指標と目標
事業における取組み・具体的行動 | 指標 | 中期経営計画期間中の目標 | |
---|---|---|---|
1. | CO2排出量の削減活動 | Scope1+2の削減率 Scope3の削減率(2019年度基準) |
Scope1+2:42%削減 Scope3:25%削減(2029年度目標) |
2. | 再生可能エネルギー事業の推進強化 | 再生可能エネルギー事業の実施・取組み件数 | 国内10件以上 海外4件以上 |
3. | 混合廃棄物の削減活動 | 総混廃排出率 | 年間2%以下 |
4. | 中大規模木造建築事業の取組み、受注拡大 | 国内受注件数/海外出資件数 | 国内3件以上/海外3件以上 |
5. | カーボンニュートラルに向けた研究の強化 | 技術開発取組み件数(新規着手件数) | 6件以上 |
環境配慮型建築(ZEB等)への取組み | 環境関連提案件数 | 6件以上 | |
6. | 生態系の回復に関する事業 | 脱炭素燃料開発、販売事業の拠点整備件数 | 2件以上 |
品質環境マネジメントシステムの運用と改善 | 施工中の重大な環境事故件数 | 0件 |
S:社会
S:社会 | 重要課題(マテリアリティ) | 個別課題 | 関連するSDGs |
---|---|---|---|
多様な人財が能力を発揮できる ウェルビーイングの実現 |
1. 人財の確保と投資
2. 技術の継承
3. DXの推進
4. ワーク・ライフ・バランスの実現
5. ダイバーシティの推進
6. 建設業の担い手確保 7. ウェルネスな環境の実現 8. 労働災害防止 |
||
持続可能なコミュニティの実現 |
9. 品質の確保と誠実なものづくりの推進 10. 魅力あるまちづくり 11. レジリエントな社会インフラの構築 12. 社会課題解決に繋がる取組み 13. 自然災害など有事への取組み |
S:社会の指標と目標
事業における取組み・具体的行動 | 指標 | 中期経営計画期間中の目標 | |
---|---|---|---|
1. | 新卒採用活動 | 新卒採用者数 | 各年度の検討 |
従業員エンゲージメントの向上 | エンゲージメントスコア | レーティング「BB」※(株)リンクアンドモチベーション「モチベーションクラウド」 | |
2. | 国家資格の取得支援 | 一級土木施工管理技士保有率 | 90%以上 |
一級建築施工管理技士保有率 | 2024年度90%→1%/年UP | ||
一級建築士保有率 | 2024年度58%→1%/年UP | ||
3. | ICTの標準化による現場管理の効率化 | 新規現場導入率 | 100% |
基幹システムの刷新 | システム開発進捗率 | 100% | |
4. | 仕事とプライベートの両立等 | 休日取得 | 4週8休(作業所) |
業務の効率化・平準化への取組み | 時間外労働時間数 | 30時間以下 | |
5. | 女性活躍推進行動計画 | 新任管理職に占める女性の割合 | 7%以上 |
子の出生に伴う男性の休暇取得率 | 70%以上 | ||
6. | 現場公開による担い手確保 | 現場・職場見学会の開催 | 100件/年 |
7. | 従業員の健康管理 | 二次健康診断受診率 | 100% |
8. | 安全管理水準の向上 | 度数率 | 0.5以下 |
9. | 品質環境マネジメントシステムの運用と改善 | 施工中の重大な品質事故件数 | 0件 |
10. | 不動産事業の拡大 | 収益不動産・事業参画件数 | 国内3件以上/海外1件以上 |
市街地再開発の取組み | 取組み件数(内定~施工中件数) | 6件以上 | |
11. | アジア諸国の社会課題の解決 | インフラ整備案件受注件数 | 海外2件以上 |
多様な自然災害に対応するインフラ整備 | 取組み件数 | 20件以上 | |
12. | 社会の将来を見据えた技術の開発 | 技術開発取組み件数(新規着手件数) | 1件以上 |
新規事業創出 | 取組み件数 | - | |
スマイルプロジェクトの推進 | 参加者数(延べ人数) | 参加者数の増加 | |
13. | 多様な自然災害に対応するインフラ整備 | 取組み件数 | 20件以上 |
G:ガバナンス
G: ガバナンス |
重要課題(マテリアリティ) | 個別課題 | 関連するSDGs |
---|---|---|---|
コーポレートガバナンスの強化 |
1. コンプライアンスの徹底
2. リスクマネジメントの強化
3. 取締役会の実効性向上 4. 人権の尊重 |
||
マルチステークホルダーとの関係強化 | 5. CSの向上 6. サプライチェーンマネジメントの強化 7. 情報発信力の強化 8. 投資家との積極的対話 |
G:ガバナンスの指標と目標
事業における取組み・具体的行動 | 指標 | 中期経営計画期間中の目標 | |
---|---|---|---|
1. | 社内外の法令違反防止体制の構築 | 重大な法令違反発生件数 | 0件 |
2. | 大規模災害発生時の従業員安否確認 | 訓練時の安否確認システム応答率 | 100%(各年度) |
3. | 取締役会の実効性の評価と改善 | 外部専門家を含めた評価 | 評価の向上 |
4. | 人権リスクの防止・軽減に向けた取組み | 人権デューデリジェンスの実施 | 対象企業の拡大 |
5. | CS向上に向けた取組の推進 | 顧客満足度 | 100% |
6. | 「調達方針」「調達方針ガイドライン」の遵守 | 不正な取引の件数 | 0件 |
7. | 適時適切かつ積極的な情報開示 | ESG評価機関等による評価 | 評価の向上 |
8. | 機関投資家等との対話の積極的な実施 | ミーティングや決算説明会への参加者数 | 10%増 |
ESG・SDGsマトリクス
ESGに基づく事業活動と、SDGsの169のターゲットとの関わりを示し、熊谷組が事業を通して社会課題解決に貢献している分野を「ESG・SDGsマトリクス」として可視化しました。「ESG・SDGsマトリクス」は、更なる課題解決に向けたイノベーションの手がかりや長期的なリスクマネジメントのリストとして活用しています。また、ESG・SDGsを切り口としたステークホルダーとの対話を行うツールとしています。
監修:CSR/SDGsコンサルタント 千葉商科大学客員教授 笹谷秀光氏
- 熊谷組の事業とSDGsの169のターゲットとの関連については、主に該当するものを掲載しています。
重要課題(マテリアリティ)の改定
2024年4月に熊谷組グループはESG取組み方針の重要課題(マテリアリティ)の改定を実施し、それに伴い、中長期視点で事業戦略上のリスクまたは機会となる個別課題の再検討を行いました。
改定の理由
- 重要課題・個別課題を検討した当時(2018年度)からの外部環境の変化 甚大化する自然災害や新型コロナウイルス感染症のパンデミック、ロシアのウクライナ侵攻など特定の地域が抱える政治的・軍事的な緊張の高まりが当社グループの事業に対して、大きな影響がありました。
-
社会からの要請に対応
品質の確保や人権の尊重といった項目が掲げられておらず、社会からの期待に十分に応えられていない可能性がありました。
この度の改定においては、社会からの要請にこたえるため、従業員、投資家、お客様、有識者といったステークホルダーの意見を伺っております。
改定のプロセス
社会からの要請にこたえるために、ステークホルダーとの対話を実施しました。
<ステップ1>建設業界の分析
所管省庁、業界団体等より情報収集を行い、課題などを認識
- 建設業就業者の現状
担い手の処遇改善、働き方改革、生産性向上を一体として進めることが必要
- 資材価格高騰への対応
サプライチェーン全体で、建設資材に関する適切な価格転嫁が図られるよう、受注者・発注者(施主)間を含めた建設工事に関する環境整備を進めることが必要
- 賃金引上げに向けた取組
持続可能な事業環境の確保が必要
- 働き方改革等の推進
<ステップ2>ステークホルダーの明確化
バリューチェーンの可視化を行い、ステークホルダーを明確にしました。
<ステップ3>サステナビリティ課題のリストアップ
当社グループが認識していた課題、SDGs、GRIスタンダード、グローバルリスク報告書などを踏まえ、課題のリストを作成しました。
-
熊谷組、熊谷組グループが認識しているリスク
自社グループが認識している社会課題(長期構想)
自社グループがビジネスを遂行する上でのリスク(有価証券報告書) - 社会が抱えている課題(SDGs169のターゲット)
- 社会が抱えているリスク(世界経済フォーラム)
- 直近4年の海外・国内の主要なニュース(読売新聞社)
<ステップ4>サステナビリティ課題の影響を評価
熊谷組グループの役職員による課題の重要性に関する対話を行い、影響がある課題の評価を行いました。
有識者意見交換会、CSヒアリング、投資家などのステークホルダーの声を抽出しました。
<ステップ5>重要課題・個別課題の特定
サステナビリティ推進委員会にて議論を行い、重要課題(マテリアリティ)・個別課題を特定しました。
経営会議、取締役会の承認を得ました。