基本的な考え方
熊谷組は、「建設を核とした事業活動を通して、社会に貢献する企業集団を目指す」という経営理念の実現のために、企業統治(コーポレートガバナンス)の実効性を高めていくことを、最も重要な課題の一つと位置づけています。
当社は、コーポレートガバナンスの実効性を高めるため、取締役会の実効性評価や指名・報酬諮問委員会の設置など、様々な取り組みを行っています。詳細については、「コーポレートガバナンスに関する報告書」に掲載していますので、東京証券取引所または当社ホームページをご覧ください。
最終更新日:2024年6月27日
コーポレートガバナンス体制
熊谷組は、コーポレートガバナンス・コードの趣旨を踏まえ、コーポレートガバナンスの実効性をより高めていくため、取締役会、監査役会、会計監査人からなるコーポレートガバナンス体制を採用しています。
取締役については、経営責任を明確化と経営環境の変化に対する最適な経営体制の構築のため、取締役の任期は1年としています。また、取締役の職務の執行が効率的に行われるよう、執行役員制度を採用しています。さらに、社外取締役4名を選任し、客観的立場から経営へ助言を受けています。
なお、取締役および執行役員の指名および報酬額の決定にあたっては、更なる客観性と透明性の確保を図るため、代表取締役社長および社外取締役で構成する、指名・報酬諮問委員会の答申結果を踏まえ、取締役会において決議しています。
監査役については、社外監査役を適切な経験・能力および財務・会計・法務に関する知識を有する者から選任し、実効性の高い監査を実施しています。
会社法および金融商品取引法上の会計監査については、仰星監査法人より公正な監査を受けています。
機関設計の概要(2024年7月27日以降)
機関設計 | 監査役会設置会社 | |
取締役の人数 | 11名 | うち、社外取締役:4名 うち、女性役員:1名(社外取締役) |
監査役の人数 | 3名 | うち、社外監査役:2名 うち、女性役員:1名(社外監査役) |
独立役員の人数 | 6名 | 社外取締役4名+社外監査役2名 |
コーポレートガバナンス強化の主な変遷
内部統制の実効性向上
熊谷組は内部統制の実効性を高めるため、「内部統制システム構築の基本方針」に基づき、社内規程や経営会議体を随時見直すなど、業務の適正を確保するための体制を整備し運用しています。
また金融商品取引法に基づき、「財務報告に係る信頼性の確保」に向けた内部統制の整理、運用について、熊谷組グループ全体で取り組んでいます。
取締役会の実効性評価
熊谷組は、毎年1回、匿名のアンケート方式にて各取締役・監査役が取締役会の実効性に係る評価を行い、その結果を取締役会にて検証して改善策を検討しています。2018年度からは、評価項目の設定や評価結果について、外部の専門家によるレビューも実施しています。
2023年度においても下記の自己評価を実施実し、外部の専門家によるレビュー結果も踏まえ、全体としてその役割・責務を適切に果たしていることを確認し、取締役会全体の実効性が確保されていることを確認しました。
2022年度の評価により共有した改善課題を踏まえ、改善に向けた取組みを実施した他、取締役会の議事終了後などに意見交換を開催することにより、取締役会における議論の活性化に取り組みました。
今後も取締役会の実効性を一層高めていくために、建設的かつ活発な意見表明の実践と実効性の高い業務執行の監督に向けて、2023年度の評価により共有した改善課題を踏まえながら継続的に取り組んでいきます。
指名・報酬諮問委員会
取締役および執行役員の指名(解任を含む)ならびに報酬額(制度設計を含む)の決定手続きにおいて、更なる客観性と透明性の確保を図るため、取締役会の諮問機関として、代表取締役および社外取締役で構成する、指名・報酬諮問委員会(指名委員会および報酬委員会の双方の機能を担う)を設置しています。
2023年度は指名・報酬諮問委員会を5回開催し、各回とも委員全員が出席しています。2023年度は、取締役および執行役員についての2022年度の業績への貢献実績の評価や2023年度の個人別報酬額、2024年度以降の役員体制などについて検討を行いました。
また、2023年度より委員長を代表取締役社長から社外取締役に変更しています。
社外役員へのサポート体制
社外役員の職務執⾏が円滑に遂⾏されるよう、経営戦略本部秘書部・経営企画部を中⼼に、取締役会資料の事前提供や社外取締役への議案の事前説明を実施している他、社外役員間の意⾒交換会の開催、⽀店やグループ会社・建設現場の視察の実施など、当社の事業内容の理解促進に向けたサポート体制をとっています。
取締役会のスキル・マトリックス
当社は、長期構想の実現と中期経営計画の達成に向け、その中核を担う取締役会において必要とされるスキル項目を①企業経営/経営戦略、②営業/マーケティング、③グローバル、④技術/研究開発/DX、⑤コンプライアンス/リスク管理、⑥財務/会計、⑦サステナビリティ(ESG/SDGs)、⑧人財開発/ダイバーシティの8分野と定義しています。
当社は、各取締役の担当職務や経験等もふまえながら、取締役会において必要とされるスキル項目が適切に配置され、取締役会における多様性とバランスが確保されることに留意しながら、各取締役を選任しています。
なお、当社の取締役会が備えるべきスキル項目と各取締役に特に期待されるスキル項目の一覧(スキル・マトリックス)については、以下のとおりです。
役員報酬および社外役員の選任
取締役の報酬は、持続的な企業価値向上を図るインセンティブとして適切に機能するよう、株主利益と連動する報酬体系とし、個々の報酬の決定に際しては、職責を踏まえた適正な⽔準とすることを基本⽅針とし、株主総会が決定した取締役報酬総額の限度内において、指名・報酬諮問委員会の答申結果を踏まえ、取締役会で決定しています。
具体的な取締役の報酬は、⾦銭報酬(固定報酬及び賞与)ならびに株式報酬により構成し、監督機能を担う社外取締役および非常勤の非業務執行取締役は金銭報酬(固定報酬のうち、役位に応じた報酬)のみとしています。なお、月例の金銭報酬である固定報酬は、役位に応じた報酬と業績への貢献実績に応じた報酬で構成しています。
監査役の報酬は、株主総会が決定した監査役報酬総額の限度内において、監査役の協議により決定しています。
取締役および監査役の報酬等(2022年度)
(単位:100万円)
役員区分 | 報酬などの総額 | 報酬等の種類別の総額 | 対象となる 役員の員数 |
||
固定報酬 | 賞与 | 株式報酬 | |||
取締役 (うち社外取締役) |
264 |
242 (43) |
ー (ー) |
22 (ー) |
11名 (4名) |
監査役 (うち社外監査役) |
39 (21) |
39 (21) |
ー (ー) |
ー (ー) |
4名 (3名) |
※株式報酬は、2023年度に計上した取締役に対する株式給付引当金繰入額を記載しています。
取締役(社外取締役および非業務執行取締役を除く)に対する報酬構成のイメージ
金銭報酬部分
- 役位に応じた報酬(固定額)
- 貢献実績反映部分:
前年度の貢献実績に応じ、貢献実績反映部分に対し、0 ~最大200%の範囲で変動させ、支給します。貢献実績の評価内容と使用される指標は以下のとおりとなります。
(1)役員評価 ※ 各達成度の割合は担当職務に応じて設定しています。
- 業績達成度(全社業績):連結経常利益
- 業績達成度(部門業績):部門別営業利益(主要子会社の業績を含む)
- 役割達成度(個人別の定性評価)
(2)ESG評価 ※ 中期経営計画に掲げる以下の非財務目標について計画期間中の目標値に対する取組みを評価
- 非財務目標達成度:
CO2排出量の削減活動(スコープ1+2、スコープ3の削減率)
従業員エンゲージメントの向上(エンゲージメントレーティング)
安全管理水準の向上(度数率)
社内外の法令違反防止体制の構築(重大な法令違反発生件数)
株式報酬部分
当社は株式報酬として対象者に対し、事業年度ごとに役位および別途当社が選定する同業他社と比較した株主総利回り(TSR)に応じたポイントを付与し、原則として毎年一定の時期に株式を交付する、信託を用いた株式報酬制度を導入しています。株式交付にあたっての基準や手続については、取締役会が定める株式交付規程により決定しています。
毎年交付される株式には各役員が退任するまでの間の譲渡制限を付しています。
賞与
賞与については、業績が計画値を大きく上回った場合に支給を検討します。
社外取締役の選任理由/取締役会への出席状況(2022年度実績)
氏名 | 独立役員 | 選任理由 | 取締役会 | 監査役会 |
吉田 栄 | ○ |
主に異業種の生産部門担当役員として企業経営に参画した実績を有しており、これまでの実績により培われた豊富な経験と幅広い見識に基づき、当社の経営に対する適切な指導・助言を期待し、選任しています。 |
18回/ 18回 | ー |
岡田 茂 |
○ |
主に異業種の代表取締役社長や会長として企業経営に参画した実績を有しており、これまでの実績により培われた豊富な経験と幅広い見識に基づき、当社の経営に対する適切な指導・助言を期待し、選任しています。 |
17回/ 18回 | ー |
桜木 君枝 |
○ |
主に異業種の常勤監査役として企業経営に参画した実績を有しており、これまでの実績により培われた豊富な経験と幅広い見識に基づき、当社の経営に対する適切な指導・助言を期待し、選任しています。 |
18回/ 18回 | ー |
奈良 正哉 |
○ |
主に異業種の執行役員や常勤監査役として企業経営に参画した実績に加え、弁護士としての実務実績を有しており、これまでの実績により培われた豊富な経験と幅広い見識に基づき、当社の経営に対する適切な指導・助言を期待し、選任しています。 |
18回/ 18回 | ー |
竹花 豊(2023年6月退任) |
○ |
官公庁の要職や異業種の経営経験を有しており、これまでの実績により培われた豊富な経験と幅広い見識に基づき、客観的な立場から当社の経営に対する適切な監査が期待できると判断し、選任しています。 |
4回/ 5回 | 4回/ 4回 |
山田 章雄 |
○ |
公認会計士としての実務実績があり、これまでの実績により培われた豊富な経験と専門知識を活かし、客観的な立場から当社の経営に対する適切な監査が期待できると判断し、選任しています。 |
18回/ 18回 | 15回/ 15回 |
上田 美帆(2023年6月就任) |
○ |
弁護士としての実務実績があり、これまでの実績により培われた豊富な経験と専門知識を活かし、客観的な立場から当社の経営に対する適切な監査が期待できると判断し、選任しています。 |
13回/ 13回 | 11回/ 11回 |
政策保有株式
(1)政策保有株式の縮減に関する保有方針
当社は、持続的な企業価値向上のための取引・協業関係の強化や収益機会の獲得を目的とする場合を除き、政策保有株式の縮減を行います。また、保有している政策保有株式については毎年、取締役会にて検証を行い、保有意義が希薄化したと判断される株式に関しては売却もしくは保有株数の見直しを実施します。
(2)政策保有株式の保有意義の検証結果
当社は、投資先企業との各種取引に基づく獲得利益等が当社の資本コストに見合っているか、また、投資先企業の株式を保有することが当社の事業遂行上有用か否かといった点について総合的な観点から検証を行い、政策保有株式について保有の意義を確認しています。
(3)政策保有株式に係る議決権行使基準
当社は、政策保有株式の議決権行使にあたっては、中長期的視点に立った上で投資先企業の企業価値向上につながるかどうかを判断基準として議決権を行使します。なお、以下の議案については企業価値向上の観点から特に慎重に検討した上で議決権を行使します。
● 合併、買収、重要な事業の譲渡・譲受等の組織再編
● 債務超過等の業績不振企業が実施する役員退職慰労金の贈呈
● 有利発行による第三者割当増資
● 買収への対応方針・対抗措置の導入など
税務方針
熊谷組グループは、納税の社会的意義を十分に理解し各国・地域において納税義務を適正に履行することは、企業が果たすべき重要な責務であると認識しております。
1.法令遵守
熊谷組グループは、各国・地域の税務関連法令及び条約等を遵守し、税務申告及び納税の義務を果たします。
2.税金費用の適正化
熊谷組グループは、正常な事業活動の範囲内で、優遇税制の活用を含めた税務プランニングを行い、税金費用の適正化を図ります。なお、法令等の趣旨に沿わない、不当に税負担を軽減する行為は行いません。
3.税務リスクの低減
熊谷組グループは、税務上の不明確な事案について、事前の照会等を通じて税務当局との合意を図り、税務リスクの低減に努めます。
4.税務当局との関係性
熊谷組グループは、各国・地域の税務当局の求めに応じ、適時適切な情報提供を行うとともに、建設的な対話を通して、税務当局との信頼関係及び良好な協力関係を築いてまいります。
ESGアナリスト × 社外取締役座談会―2024年6月
岡田茂氏、吉田栄氏、桜木君枝氏、奈良正哉氏、そして今回はESGアナリストである櫻本 惠氏をお迎えし、サステナビリティ経営における取組みや課題など、4人の社外取締役と活発な意見を交わしました。
社外取締役座談会ー2023年7月
吉田栄氏、岡田茂氏、桜木君枝氏、そして2022年6月に就任した奈良正哉氏の4人の社外取締役に忌憚のない話を伺いました。
社外取締役鼎談ー2022年9月
熊谷組では、客観的な視点を経営に取り入れ、コーポレートガバナンスの充実を図るために社外取締役を選任しています。吉田栄氏、岡田茂氏、桜木君枝氏の3人に話を伺いました。
社長×社外取締役(吉田栄氏)対談ー2021年8月
2020年6月に就任した吉田栄氏に社長の櫻野泰則が話を聞きました。
社長✕塚本弁護士対談ー2020年8月
熊谷組では、社外の専門家の方々の意見を積極的に取り入れ、コーポレートガバナンスの充実を図っています。
取締役会の実効性評価アンケートのレビューをご担当している塚本英巨弁護士に、社長の櫻野泰則が話を聞きました。
社外取締役対談ー2019年8月
熊谷組では客観的な視点を経営に取り入れ、コーポレートガバナンスの充実を図っていくために社外取締役を選任しています。
ESG経営の推進について、社外取締役のおふたりに率直な意見を交わしていただきました。