熊谷組では、2018年4月に、社員のワークライフバランスを尊重する企業風土の定着を目指し、社長を委員長とする「働き方改革推進委員会」、推進部署として「働き方改革推進室」を設置し、熊谷組の働き方改革を本格的に始動させました。
これまでの取組みとして、テレワーク・時差出勤・フレックスタイムなどの制度を導入、業務プロセスの見直し・DXの推進など生産性の向上や業務の効率化に関わる施策、また意識改革に努めてきました。

今年度は働き方改革関連法が建設業に適用される前年にあたることから、新たに「働き方改革アクションプラン2023」を策定し、1年前倒しで時間外労働上限規制に対応するため、一人ひとりがアクションプランに沿った行動に取り組んでまいります。こうした一人ひとりの行動に加えて、さらなる多様な働き方の促進、職場環境の整備、業務の効率化など会社全体として働き方改革を推進していきます。

トップメッセージ

少子高齢化が進み労働人口が減少していくことから、政府も日本経済の再生に向けて、働き方改革を推進しています。働き方改革を推進するためには、「生産性の向上」「長時間労働の是正」、そして「多様な社員が柔軟な働き方を選択できる環境を整えること 」、つまりダイバーシティの推進は欠かせないものです。

熊谷組では「全員参加の経営」というスローガンを掲げております。いろいろな事情があっても、それを周囲がきちんと理解した上で活躍の場を用意できれば、全社員がそれぞれの能力を最大限に発揮でき、結果として会社の業績向上にも結び付いていくと考えています。

様々な視点を持って仕事を行なうことで、仕事の考え方・取り組み方などが変わり、生産性や品質・業績が向上し、最終的には会社の成長につながります。熊谷組はそういう姿を目指し、さらには実現していきたいと考えています。

株式会社 熊谷組
取締役社長

働き方改革アクションプラン(計画期間2018~2020年度)

働き方改革の数値目標・行動計画として「働き方改革アクションプラン」を策定し、「長時間労働の是正」「有給休暇の取得促進」「柔軟な働き方の促進」を改革の3本柱として、週休二日の実現、業務の効率化・生産性向上、社員の意識改革、会社の制度や規則規程の見直しなどに取り組みました。

働き方改革アクションプラン 取り組み実績

改革の3本柱 数値目標と達成時期 取組み実績
指標 2018年度 2019年度 2020年度
長時間労働の是正 時間外労働に上限規制を設け、
労働時間の削減に取り組む
2018年度までの時間外労働は
月100時間未満に制限する
達成した
社員の割合

97.9%

98.9%

99.4%

2019~2020年度は年間
960時間以内(月平均80時間)
に制限する
達成した
社員の割合

96.6%

97.4%

98.5%

有給休暇(年休)の
取得促進
年休取得の下限規制および
平均取得目標を設け、
年休取得促進に取り組む
2018年度までに、
年休取得日数を5日以上とする
達成した
社員の割合

62.9%

99.9%

100%

2020年度までに 年間平均で
10日以上の年休を取得する
平均
取得日数

6.7日

8.2日

9.2日

柔軟な働き方の促進 仕事と生活の両立ができる
柔軟な働き方を促進する
育児休業後の職場復帰率
100%を目指す
(2018 〜 2020年度)
復帰率

100%

96%

100%

仕事と育児・介護の両立を
理由とする
離職者をゼロとする
(2018 〜 2020年度)
離職者数

3名

1名

0名

2020年度までに、男性社員の
育児休業取得率を10%まで
向上させる
取得率

4.9%

20.9%

34.3%

※2021年3月現在

「働き方改革アクションプラン」(計画期間2018~2020年度)の総括

社員誰もが意欲をもって仕事に取り組み、それぞれの能力を最大限に発揮できる環境を創出するために働き方改革を2018年より本格始動し、数値目標・行動計画として「働き方改革アクションプラン」を策定しました。得日数5日以上が62.9%から100%へ、男性社員の育児休業取得率は4.9%から34.3%へと向上しました。
働き方改革が着実に浸透してきた一方で、長時間労働の是正は依然課題としてあり、継続して取り組んでいるところです。今後も様々な施策を通じて一人ひとりが活力を持ち、働きがいを感じられる会社になることを目指していきます。

長時間労働の是正

長時間労働の是正を進めるために、熊谷組では労働時間に上限規制を設け、労働時間の削減に取り組んでいます。また、2021年度までに全事業所(適用困難事業所を除く)で週休二日を実現するために、「株式会社熊谷組アクションプログラム」を策定し、適正な受注活動、協力会社への支援、自助努力の徹底などに努めています。

業務の効率化・生産性の向上に向けて

長時間労働の是正・週休二日の実現のために、業務効率化・生産性向上を重要な施策の一つと捉え、2018年7月に、「現場支援推進」「施工管理・安全書類の推進」「電子商取引の推進」「ペーパーレス推進(電子決裁の導入)」の4つのタスクチームを形成しました。タスクチームでは施策の検討・実現・実用化について頻繁に会合を重ね、今までの仕事の見直し、標準化、システム化など抜本的な見直しを実施しています。

「現場支援推進」「施工管理・安全書類の推進」においては、作業所で発生する様々な業務のうち効率可能な部分を効率化し、社員がより専門的業務に集中できる環境を構築することを目指しています。「現場支援推進」は効率化につながる業務の指針や導入方法、その実施例の展開を実施しています。「施工管理・安全書類の推進」は作業所における管理業務(作業間の連絡および調整、実施記録、報告、帳票作成等)の効率化、労務安全書類の電子化に向けて、運用基準の明確化、システムの導入・展開方法等を検討しています。

「電子商取引の推進」は、協力会社のみなさまと、現場の週休二日実現、協力会社の作業員確保、社会保険の加入促進など様々な課題に連携して対応していくために、支払条件の改善と取引の効率化を実施。お客様や協力会社のみなさまとの業務効率化や生産性向上のため、受発注等のやりとりをインターネット上で行うWeb-EDIシステムの構築を進めています。

「ペーパーレス推進(電子決裁の導入)」においては、社内決裁の効率化を図るために書類に電子決裁を導入し、それに伴う決裁フローや規程、仕事やり方の見直し、併せて電子決裁の仕組みの構築等を実施・検討しています。また併せて社内会議等のペーパーレス化も推進しています。

こうした施策の実施にあたって、働き方改革推進室・タスクチームには首都圏支店の主要部署の代表も入り、タスクチームで検討した施策を、実際稼働する作業所や部門で試験運用し、実際に利用する社員の視点・意見も取り入れながら熊谷組に合った施策の検討に努めています。試験運用の状況をもとに、各本部の意見を含め総合的に判断し、効果が得られたものについては全社への展開・運用をすべく準備を進めています。


作業所の打合せでITツールを使用しています
電子決裁を行う櫻野社長

有給休暇の取得促進

有給休暇の取得を取得しやすい環境を醸成するため、社員研修やeーラーニング・社内ポータル等を用いて、有給休暇制度の浸透や理解・取得の促進につなげています。また期首には会社の年間休暇に加え、年休計画取得日、年休取得奨励日、ノー残業デー、統一土曜閉所日など、社員のワークライフバランスに関わる休暇の予定を開示し、計画的な年休の取得を促進しています。また年休取得数の見える化を推進し、低調な社員に対しては取得促進フォローアップを実施しています。

休暇制度の充実

より弾力性の高い就業環境を実現するため、休暇制度の改正を行いました。
● 1日もしくは半日単位としていた有給休暇取得に、
  5日を上限に1時間単位で取得できる「時間単位有休」を導入
● 育児・介護休暇は、上限日数なく30分単位で取得可能に
● 年5日を上限とする当年のみ有効な年次有給休暇を付与
● 半日有給休暇の取得回数制限の撤廃
● 毎月原則1日とする有給休暇取得奨励日の設定

柔軟な働き方の促進

熊谷組では多様な社員が柔軟な働き方を実現するために、環境整備に取り組んでいます。
「誰もがイキイキ働ける職場」にするために、出産・育児や介護を行なう社員を支援するための様々な制度を導入しています。就業規則等をわかりやすくまとめた「両立支援ハンドブック」を作成し、社内には相談窓口を設置しています。

育児休業については、出産後継続勤務を希望する女性の100%が利用しています。介護についてはNPOの協力を得て、社外に相談できるシステムを構築するなど、社員が仕事と家庭を両立して生活できる環境をサポートしています。

社員の意識改革に向けて

働き方改革の推進には制度や環境の整備だけではなく、社員の意識改革の取り組みも併せて実行していくことが必要と捉えています。そのため熊谷組では定期的にトップメッセージを発信し、社長方針や各本部・支店の年度目標に働き方改革につながる施策(時間外労働の削減や業務の効率化の取り組み等)を設定し、個人の年度目標にも年次有給休暇の取得予定日を設定するなど、社員一人ひとりがワークライフバランスを重視する意識を持つよう取り組んでいます。

スモールスタートプロジェクト

意識改革に関する取り組みの一環として、一人ひとりの働きがいに繋がる小さな改革を積み上げていくことを目的とした「スモールスタートプロジェクト」を2019年8月に立ち上げました。社内会議の生産性をより高めるために「会議10か条の策定」、外部講師を招いての「IT講座の開催」等を実施し、さらに2021年度は全社に「オフィスカジュアル」を本格導入しました。社員の意識・環境を変える取り組みを継続的に進めています。

働き方改革に関する社員教育の様子
トップメッセージを発信し、意識改革につなげています