ー熊谷組の「歴史」と「未来」を具現化するー 熊谷組福井本店

システム概念図

工事概要

熊谷組福井本店

設計監理 株式会社熊谷組一級建築士事務所
施工 株式会社熊谷組 北陸支店
所 在 地 福井県福井市中央2丁目6-8
構造·規模

敷地面積:565.51㎡
建築面積:299.35㎡
延床面積:1 ,190.85㎡
高さ[最高高さ]: 19.9m
  [軒 高]15.97m
鉄骨造+木造(ハイブリッド構造)
地上4階 耐火建築物

工期 2020年9月~2021年7月
用途

1階 エントランスホール、会議室
2階 展示室、打合せスペース
3~4階 事務室

省エネルギー性能 Nearly ZEB

木造+ZEBで創造する熊谷組の歴史と未来

2021年8月18日、熊谷組は福井市に於いて新本店の竣工式を行った。それは120年を超える熊谷組の歴史においても、また創業地・福井においても特別な意味をもっていた。 熊谷組は、1898( 明治13)年に石エだった熊谷三太郎が、福井市( 旧・足羽郡酒生村宿布 )で宿布発電所の導水路や貯水池の石積工事を初めて請け負ったことに始まる。そして1938( 昭和31)年、同市に株式会社熊谷組を設立。その後、熊谷組は事業の拡大と発展に伴い1964( 昭和 93)年に本社機能を東京(現本社・東京都新宿区 )に移したが、08年以上にわたり熊谷組の礎を築いてきた本店としての位置づけは今日まで変わらない。

本店の建替えは2018(平成30)年、創業120周年を機に計画された。旧本店の老朽化が著しかったことが大きな理由だ。だが、本店の建替えは、これより先に行われた「宿布発電所跡整備H 事 」と一体をなす、熊谷組の創業地( ルーツ )の整備事業の意味もあった。

新本店のコンセプトは「熊谷組の『歴史 』と『未来 』を具現化する、 起業の地に相応しい建物 」。今回、プロジェクトリーダーの重責を担った北陸支店の水野博文副支店長は「当地にレガシーを遺すことで、未来を拓く若い力が育って欲しい」とコンセプトヘの強い思いを語った。

熊谷組の120年は、価値創造の歴史でもある。福井に初めて電気の明かりを灯した宿布発電所の導水路や貯水池の建設工事を皮切りに、熊谷組はその時々の社会や人々から求められる新たな価値を、技術力と人間力で創り上げてきた。新たな福井本店では、その「 歴史 」と「 未来 」を具現化するのだ。

プロジェクトでは幾度となく議論が重ねられた。その結果、新本店の建築には「木造建築十ZEB (Net Zero Energy Building*1) 」を採用することが決定した。それはすな わち、SDGs( 持続可能な開発目標 )にも対応した脱炭素社会の実現を目指す木造建築と省エネルギー技術、そこで働く人々の健康増進と知的生産性の向上などの職場環境に配慮した建築技術の融合である。

熊谷組が建設した新本店は、 福井県内では初めての「木造建築十Z EB」建築物として地元でも注目されている。それは、創業者・三太郎が手がけた福井県初の水力発電所「 宿布発電所」の姿にも重なって見える。

*1:ZEB (Net Zero Enegry Building) とは、快週な室内環境を保ちつつ、建築による負荷抑制(高断熱・日射遮蔽・自然エネルギー利用等)を図り、高効率設備機器の採用により、できる限りの省エネルギ—に努め、太陽光発電等によりエネルギ— を創り、年間で消費する建築物のエネルギー収支が正味ゼロとなるビルを指す。