- プレスリリース
令和6年能登半島地震被災地における河道閉塞の応急復旧ロボットシステム実証試験を実施
2026年08月05日
株式会社熊谷組(本社:東京都新宿区、代表取締役社長:上田 真)は、ムーンショットプロジェクトで開発した「ヘリコプターで分解せずに運搬可能な小型の建設機械を遠隔操作し河道閉塞の応急復旧するロボットシステム(以下、本システム)」を実際の被災地へ持ち込み、一連の応急復旧作業(排水ポンプ設置等)を行う初の実証試験を実施しました。本実証試験は、令和6年能登半島地震によって河道閉塞が発生した河原田川(市ノ瀬地区)において実施されたものです。同システムを実際の災害現場に搬入して実証試験を行ったのは、今回が初の取り組みとなります。
今回の試験により、過酷な環境下でも迅速な初動対応が可能であること、また作業員の安全性を大幅に向上させられることが確認証明され、災害時の緊急対応における本システムの高い有効性を証明確認しました。
1. 開発背景
土砂崩れ等による河道閉塞が発生した場合、湛水池の水位上昇による決壊を防ぐため、迅速な強制排水や仮排水路の設置が求められます。従来は、作業員が大型の建設機械(1.2~1.4m3級)に搭乗して直接操作を行う手法が主流でした。
しかし、災害発生直後は資機材の運搬ルートが寸断されていることが多く、大型建機をヘリコプターで空輸するためには機体の分解・組立が必要となり、迅速な初動対応が困難でした。また、建機が排水ポンプを吊りながら不安定な水際の斜面に接近する作業や、潜水士が水中でワイヤーを切り離す作業など、二次災害の危険を伴う過酷な環境での作業が課題となっていました。
こうした課題を背景として、当社は内閣府および国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)が推進するムーンショット型研究開発事業・目標3「自ら学習・行動し人と共生するAIロボット」プロジェクトの一環として、「多様な環境に適応しインフラ構築を革新する協働AIロボット(CAFEプロジェクト)」に参画し、河道閉塞の二次的被害を防止する技術開発を進めてまいりました。
2. 概要
本実証試験は、令和6年能登半島地震の被災地において、実際の河道閉塞が発生した現場である河原田川(市ノ瀬地区)にて実施されました。被災現場は、堆積土砂によりトラフィカビリティ(走行性)が著しく低下した極めて軟弱な地盤であり、さらに二次災害のリスクを伴う不安定な水際での作業が求められるなど、過酷な環境条件下にありました。
こうした現場状況のもと、本システムを現地に投入し、本システムの遠隔操作によって水中に排水ポンプを安全かつ迅速に設置する一連の応急復旧作業の実証試験を行いました。

3. 特徴
本システムは大きく3つの技術的特徴を有しています。
- 遠隔操作式の小型建設機械
ヘリコプターで分解せずに運搬可能な、質量3トン未満の遠隔操作式小型建設機械(3t級油圧ショベル、3t級不整地運搬車)を用います。油圧ショベルにはアタッチメントとして「ロータリーフォーク」を搭載。チルト機構と全旋回機構を備えており、災害現場特有の不安定な地盤で建機や資機材が傾いた状態でも、対象物を確実につかんで自在に移動させることが可能です。作業員は安全な位置から遠隔操作を行います。 - 超軽量な「走行路補強マット」の開発と敷設
堆積土砂上は地盤が軟弱なため、建機の履帯(クローラ)が沈み込み走行不能になる恐れがあります。これを防ぐため、合成繊維織物を素材とし、内部に塩ビ管を挿入した構造の「走行路補強マット」を開発しました。従来の敷鉄板と比較して重量が約24分の1と非常に軽量でありながら、確実な走行路を確保します。ロール状に巻いて不整地運搬車で運び、油圧ショベルで展開しながら容易に敷設することができます。 - 作業半径を拡張する安全な排水ポンプ設置機構
遠隔操作により、フレームに固定された排水ポンプを敷設済みのマット上に荷卸し、ホースや電源ケーブルを展開します。その後、ポンプを搭載したフレームの後方に、別の延長用フレームを連結することで、小型建機の作業半径を物理的に拡張します。これにより、建機が危険な水際に近づくことなく、後方からフレームを押し出して水中に排水ポンプを安全に設置することが可能となりました。




4. 効果
令和6年能登半島地震により河道閉塞が発生した河原田川(市ノ瀬地区)において、走行路補強マットの敷設から排水ポンプの設置・ホース展開・排水ポンプフレームの押し出し作業に至る一連の作業の検証を行い、以下の効果を確認しました。
- 初動対応の迅速化
運搬が容易な小型ロボットと、軽量な補強マットの採用により、道路寸断エリアへも即座に投入・施工が可能。 - 圧倒的な安全性の向上
危険な水際作業や重機接近作業をすべて遠隔操作・フレーム延長機構に置き換えることで、作業員を二次災害のリスクから完全に保護。 - 悪条件下の確実な施工
軟弱地盤での走行性を確保し、傾斜地であってもアタッチメントのチルト・旋回機構により確実な設置作業を実現。
5. 今後の展望
今後は、本実証試験で得られたデータやの成果を踏まえてシステムのさらなる高度化を進め、災害発生時における早期展開と社会実装の実現を目指してまいります。
関連リンク
お問い合わせ先
本リリースについてのお問い合わせ先
株式会社熊谷組 経営戦略本部広報部
電話:03-3235-8155
技術に関するお問い合わせ先
株式会社熊谷組 土木事業本部土木技術統括部土木DX推進部
https://www.kumagaigumi.co.jp/contact/tech-solution/