熊谷組では、仕事と育児の両立支援制度をより利用しやすい環境をつくる為に様々な取り組みを行い、男性も育児休業の取得ができるように推進しています。熊谷組の男性育児休業取得率は2014年度の2.3%から2019年度までの5年間で20.9%に上昇しています。今回は、育休取得経験のある社員5名で座談会を開催しました。

米山(事務) 管理部門所属  過去に育休を取得 自身も共働きで仕事と育児に取り組む。 今回は司会を担当。
大江(建築設計) 設計部門所属 立ち合い出産の為に産前のテレワークと育休を組み合わせて取得。
提坂(建築設計) 設計部門所属 社内の男性育休ポスターの為にお子さんの絵を提供。 看護休暇も取得。
張 (土木施工) 施工部門所属 新型コロナウイルスによる保育園の入所時期延期を受け、育休取得。 奥様の復職をサポート。
野口(建築施工) 施工部門所属 工事の完了に合わせて育休を5か月間取得
鈴木(事務) 管理部門所属 人事に所属しているので、実際に気づきや課題探しに制度を体験。採用活動の区切りの時期に育休を取得。

取得前について

米山:育休を取得したきっかけを教えてください。
大江:上司に子供ができたと報告した時に、新型コロナ感染症の拡大時期ということもあり、テレワークを推進していく意味でも実験的に育休を取得して欲しいという話がありました。育休取得の1か月前から実家の広島でテレワークを続け、そのまま育休に入りました。
野口:現場勤務の社員で育休を取った人もいると耳にし、実績があるのなら・・と思っていたところ、会社から育休の案内メールが届きました。ちょうど配属されていた現場が終わり、区切りがよかったので、次の現場が始まるまで取得しました。
鈴木:初めての子供が生まれて、妻一人では負担が大きいと思っていましたし、人事総務部という部署的にもかなり後押しをしてもらいました。私も自分の業務の繁忙に合わせて採用活動が落ち着いたタイミングで取得しました。
張 :私も会社から案内メールが来て、作業所長に相談しました。建物の引渡し前検査で自分の担当業務も終わっていて、子供の慣らし保育、妻の復職の為に生活リズムの調整をサポートしようと育児休業を2週間取りました。結局、コロナの関係で保育園は9月スタートになってしまったのですが、妻には助かったと言われました。
提坂:自分の周りで何人か男性の育休取得者がいて興味があったところ、仕事で大きなプロジェクトがひと段落したので。

米山:取得すると言った時の職場での反応はどのようなものでしたか。
張 :大きな現場で緊急な事が起きても他のメンバーや所長がフォローしてくれるので特に不安はありませんでした。JVを組んでいる会社も育休を推進しているので理解がありました。
野口:私は、工事が完成し建物をお客様に引き渡した時期に育休に入りました。何かあった場合に対応が出来なくなってしまうことに引け目は感じました。
大江:上司も難色なくむしろ好意的な感じで育休に入ることができました。しかし、仕事を引継ぐのはやはり難しいなと感じました。
米山:仕事をしていると取得するタイミングも結構重要ですよね。病気や介護で休みたい人が休みやすいように体制づくりをしていくというのが今後の課題でしょうか。

設計本部では本部内で結婚し、夫婦で交互に育休や時短を取得しているご夫婦もいますね。
大江:設計本部内ではそれが普通になっています。交互で休むことについても何も問題はなくて、僕が育休を取得する時には上司から先輩の名前が出たので、すごく取りやすくなりました。

米山:休業中の金銭面はどうでしたか?
育休の14日間は会社の制度で有給休暇扱いになりますので、それ以上の取得でないと金銭的には影響しないと思いますが。
野口:育児休業給付金も貰える額は想定していたので、金銭面ではそこまでなかったですけど、給付されるのが遅いので、貯金がないと最初はちょっときついなと(笑)。

取得中について

米山:育休中のエピソードを教えてください。
鈴木:オンライン育児教室でバランスボールを使った親子の体操を体験しました。子供との遊び方がワンパターン化しがちでしたが、参加して遊び方のバリエーションが広がりました。他の参加者はママばかりでしたけど。
大江:産後の時期にしっかりとサポートする事が必要なのかと、ほとんどの育事や家事をしていたら、自分の育児スキルが上がりました。あやすのが妻より上手くなってしまい妻にプレッシャーを与えてしまって・・一歩引いた方が良かったかもと思いましたね。
米山:最近、『男性も手伝う』という発想がそもそも良くないと批判されることもありますよね。
大江:妻自身も何でも出来ないといけないという先入観があったのかもしれませんね。
提坂:私は、第一子が生まれた時から土日に一週間分食事を作っていたし、元々家事分担のバランスが取れていたせいか妻への負担感は少なかったと思います。育休中も役所へ行ったり、上の子を公園に連れて行ったりで妻のストレス解消に役立てたと思います。
野口:私は、コロナ時期ということもあり、なかなか外出できなかったのですけど、平日に動物園に行けて気分転換できたのがよかったです。
張 :私は、朝起きてから夜寝るまで子供の面倒をみていて、夜寝かしつけるのは、今でも自分が担当しています。現場も忙しい時期ですが、子供が待っていてくれます。

取得後について

米山:育休を取得後、意識の変化がありましたか?
鈴木:子供が生まれる前は軽い気持ちで考えていたのですが、子供と一日中一緒にいるとなかなか自分のタイミングでトイレに行くことが難しかったり・・妻の負担がわかって育児の『生』の大変さがわかりました。
大江:妻とこんなに一緒にいることは今までなかったので、新鮮な経験というか人生でなかなか得難い経験をしました。今後の過ごし方や人生観のすり合わせができたのが面白かったなと。休日が自分の時間から家族に対する時間に変わったのがいいところです。
野口:育休期間が長かったので、続ければ続けるほど大変だなと感じました。
妻に対しての感謝をより感じるようになったし、子供と過ごした時間が長いのでより子供を可愛く感じるようになりました。週末、今までやってなかったことでできることはないか探して家事をするようになりました。

米山:理想的な育休期間はどのぐらいですか?
提坂:妻の大変さを実感する期間として半月ぐらいは欲しいですね。社会的な環境があるので、ウェブ会議がもっと進むといいですね。
 :同じく半月ぐらいですね。最初は、制度自体を良く知らないので育休前面談とかハードルが高そうで取得する気がなくて・・。たまたま『パパママ育休プラス』の案内を見たから、取得してみようかなと思ったけど、短期で取れるということを知っている人がまだ少ないと思います。

野口:取れるのだったら長期で育休を取った方がいいという感覚です。仕事との関わりで言うと施工部門は現場によりけりですね。小さな現場だと人のやりくりが難しい面もありますし。現場の状況に合わせて子供が生まれるわけではないので。
大江:期間はあるだけあるといいと思います。家族で一緒に過ごせる時期も少ないので。僕の場合は、新婚の時期にこういう時間が与えられたというのは非常に良かったです。単純に育児するだけでなく本を読む時間や勉強する時間が増えたこともメリットでした。僕の場合は状況が良くて、同じ設計本部の先輩が既に育休を取っていたり、同じ状況の野口さんと一緒の現場の設計をしているので、復帰後もスムーズに打合せに参加することができました。周りが取ってくれると次の人も取りやすくなるというのはすごく感じました。

米山:他の両立支援制度は使っていますか。

提坂:第一子の時は看護休暇制度自体に気づかなかったのですが、勤怠システムがわかりやすく変わって今は利用しています。特別有給休暇の部分は、その対象でなくても知ることができる機会があるといいなとは思いましたね。

米山:今日、取得のきっかけの話にも出ていましたが、お子さんが生まれた社員の方と上司に向けて会社から育休取得の案内をしています。
その中で育休や配偶者出産時特別有給休暇などについても簡単に説明していますので、今後のヒントとして貰えたらと思っています。

10月からはテレワーク制度が導入されました。様々な事由と組み合わせることで、多様な働き方を今後も積極的に推進してまいります。

熊谷組の男性育休促進の取り組み
熊谷組は、女性活躍推進行動計画(令和2年4月1日~令和4年3月31日)で行動計画を策定し、「子の出生に伴う男性の休暇の取得率を70%以上」という目標を掲げており、目標の達成に向けた取り組みを行っています。

◆配偶者の出産直後に本人と所属長へ案内メール、半年後にリマインドメール
◆男性育休啓発ポスターの掲示
◆事業部の会議体・安全衛生教育で男性育休についての説明