- つくる
(仮称)福井銀行本店建替プロジェクト新築工事
- 先進の技術力と現場の人間力で新しい地域のシンボルを創る
- 福井の街のランドマークを建て替えるプロジェクト
- 地産の素材や意匠をいかに建物として具現化するか?
- 人間力を高める、効率よく快適な環境づくり
- 防災をはじめ建物の基本機能にも最新技術を導入
- 工事概要
先進の技術力と現場の人間力で新しい地域のシンボルを創る
熊谷組は、先進の技術力と現場の人間力を融合させ、地域社会を支えています。
熊谷組発祥の地でもある福井県福井市の中心部にあり、地域の皆様から親しまれている福井銀行本店。地元の建設会社とのJVによる建替プロジェクトが進められ、地域のシンボルとして新しい歴史が紡がれようとしています。
福井の街のランドマークを建て替えるプロジェクト
福井銀行は、1899年の設立以来、地域の皆様から「ふくぎん」の名称で親しまれ、福井県の経済を支え続けている同県最大の地方銀行です。本店は、福井駅から東西に延びる目抜き通りに面しています。古い部分は1936年に建てられ、福井大空襲でも残ったという伝統のある建物であり、地域の皆様に親しまれています。現在、その福井銀行本店の建替プロジェクトが熊谷組と地元の村中建設とのJVによって進められ、間もなく竣工を迎えようとしています。
「地域のシンボルとなる建物だけに注目度も高く、北陸エリアとしては大規模なプロジェクト。いっそう気を引き締めて工事に取り組んでいます」
建替プロジェクトで作業所長を務める西本立雄はこのように話します。工事は2018年5月、旧建物の解体からスタート。映画館が近接する中心市街地という環境を考慮し、事前に騒音や振動のシミュレーションを実施しました。解体工事の段階から先進の技術を導入し、同年11月、新築工事に着手しました。
地産の素材や意匠をいかに建物として具現化するか?
新本店の設計には、福井県伝統の繊維産業にちなんだ「紡ぐ」というコンセプトで、地域に関連したさまざまな意匠や素材が取り入れられています。しかし、その独創的なデザインを建物として具現化していくのは容易なことではなく、熊谷組ならではの技術力と現場の人間力が随所に発揮されています。印象的な外観を形づくっているのは、織物をイメージして縦格子のように組み合わされたアルミ製のルーバーです。施工にあたってはこのルーバーの性能を徹底的に検証しました。
「なかでも困難だったのは騒音の原因となる風切り音の対策です。ルーバーの試作品を作り、茨城県にある当社の技術研究所で風洞実験を行いました。そのデータを分析し、設計会社にフィードバックして設計を改善してもらっています」(西本)
さらに製造にあたっては、作業所長の西本自らが工場のある中国・上海まで幾度も出張し、品質を厳しくチェック。最終的には建設地近くの敷地(熊谷組旧本店跡地)で原寸大のモックアップを組み立てて発注者様や設計事務所への確認を行いました。新型コロナウイルス拡大の影響で納入が約1か月遅れるというトラブルもありましたが、その後の工程を調整することで、工事は計画どおり進捗しています。
また、外装の一部に使われているタイルは、福井県伝統の越前瓦をイメージして製作したオリジナル。越前瓦と同じ福井県産の土を使い、愛知県のメーカーに依頼して制作しています。内装についても1階ロビーや2階イベントホールの壁面などに特産の黒杉や越前和紙などを使用し、新しい地域のシンボルにふさわしい工夫を凝らしたデザインを実現しています。
人間力を高める、効率よく快適な環境づくり
建替プロジェクトの現場では、協力会社を含め常時二百数十名の作業員が工事に携わっています。このような多数の作業員の安全を守り、効率よく快適に工事に取り組める環境をつくるのも現場を統括する作業所長の重要な役割です。
「この現場は20代・30代の若手社員が中心になっています。彼らが効率よく施工管理でき、多くの経験を積んでスキルアップできるように気を配っています」(西本)
社員全員がタブレット端末とスマートフォンを携帯するなどITツールもフル活用。タブレット端末を使って、事務所に戻ることなくその場で図面を確認したり、撮った写真を送って相談したり、作業の効率が大幅にアップしました。現場にwebカメラを設置し、事務所のパソコンや手元のタブレット端末で進捗状況を確認できるようにしています。
また、若手社員のスキルアップのために月1回ほどのペースで、JVの全社員が参加し、勉強会を開催。できるだけ多くの工程を経験できるようにジョブローテーションを組み、社員たちの成長をバックアップしています。
充実した環境づくりは協力会社の作業員に対しても同様です。女性の作業員に配慮した設備、外国人作業員に対応した外国語マニュアルなど、ダイバーシティを意識した仕組みも多く取り入れています。暑さが厳しい季節には、始業を1時間前倒しにし、昼の休憩時間も長めに設定するなどの熱中症対策を行いました。
毎月、近隣の個人商店などを直接訪問して工事カレンダーを使い、進捗状況の説明を行うなど、地域とのコミュニケーションにも積極的に取り組んでいます。また周辺の除雪や清掃、年末のイルミネーションによるライトアップなど、地域と一体となった工事を目指しています。
防災をはじめ建物の基本機能にも最新技術を導入
福井銀行の本店は地域経済を支える拠点でもあり、大規模災害などに備えた最新の防災・減災機能を取り入れています。大規模地震への対応として先進の免震装置に、自家発電機も2台設置し、ゲリラ豪雨などによる近隣河川の水害に備えた防潮板などの設備も配しています。
また、このような耐震や高品質な空間づくりのために、建物を支える構造部材にCFT(コンクリート充填鋼管)構造や高流動コンクリートなどの技術を導入。高度な品質管理を要求されるため、本社の技術部門や技術研究所とも連携して工事を進めています。このように、外観や内装ばかりでなく、建物の躯体にも熊谷組の先進の技術が生かされているのです。
工事は2020年9月末に竣工の予定であり、年内には福井銀行の新本店としての業務がスタートします。旧本店が建てられてから八十数年が経ったいま、新しい街のシンボルとしての歴史が再び紡がれようとしています。
「実は私は福井市の出身で、この本店の近くにある小学校に通っていたのです。子どもの頃から慣れ親しんできた建物だけに今回のプロジェクトは思い入れがあり、心に残る仕事になりました」(西本)
福井県福井市は熊谷組にとって発祥の地であり、作業所長の西本ばかりでなく、会社としてもエポックメイキングとなるプロジェクトになります。この工事で蓄積した技術と経験を次へとつなげ、これからも熊谷組は技術力と人間力で地域の社会と生活を支えていきます。
工事概要
(仮称)福井銀行本店建替プロジェクト新築工事
発注者 | (株)福井銀行 |
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施工形態 | (株)熊谷組・村中建設(株) 共同企業体 |
工事場所 | 福井県福井市順化1丁目1-1 |
設計・監理 | (株)三菱地所設計 |
工期 | 2018年5月1日~2020年9月30日 |
工事概要 | 構造:基礎免震鉄骨造一部CFT造 規模:地上 7階 塔屋 1階 用途:事務所・集会所・駐車場 高さ:最高高さGL+ 41.82m 建築面積:4,482.82m2 延床面積:13,297.61m2 |