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幕張ベイパーク(若葉住宅地区)
- 首都圏最大級のプロジェクトで取り組む SDGsを意識した現場づくり
- 約1万人が暮らす街を創出する最大級のプロジェクト
- 1フロアあたり6日という短工期・省人化の施工を実現
- 現場での日々の仕事を通じてSDGsに取り組んでいく
- 多様な人材が気持ちよく働ける環境を整えるために
- 工事概要
首都圏最大級のプロジェクトで取り組む SDGsを意識した現場づくり
千葉県の幕張新都心で、首都圏最大級の街づくりが進んでいます。「幕張ベイパーク(若葉住宅地区)」プロジェクトでは、熊谷組は、5棟におよぶ高層住宅などの設計・建設を一手に担い、新しい街づくりに貢献しています。
約1万人が暮らす街を創出する最大級のプロジェクト
東京駅からJR京葉線に乗って約30分、千葉市美浜区に広がる幕張新都心で首都圏最大級の街づくりが進んでいます。三井不動産レジデンシャルを代表とする企業が開発する「幕張ベイパーク(若葉住宅地区)」。事業期間10年超の歳月をかけて、総面積17.5万㎡のエリアに約1万人が暮らす街を創出するプロジェクトです。熊谷組は、この街を形づくる4つの高層住宅と1つのシニア向け高層住宅および1つの8階建シニア向け住宅の設計・建設を請け負っています。
「住宅建設としてはおそらく熊谷組でも史上最大級。建設業界でも希に見る大規模プロジェクトとして注目を集めています」
と話すのは、これらの建設を統括する工事所長の柳橋秀彦です。
そのファーストステップとなる、B-7街区の37階建高層住宅が竣工したのは2019年3月のこと。その後、2020年1月に8階建シニア向け住宅、2021年2月にB-2街区(地上48階)が竣工。現在は、B-3街区(地上43階)およびB-4街区(地上38階)で高層住宅、B-5街区(地上28階)でシニア向け高層住宅の建設が進んでいます。
柳橋はこのうちの1つ、B-5街区の作業所長を経て、2023年4月に全体を統括する工事所長に就きました。2023年6月現在、工事がピークを迎えている2つの現場(B-5/B-3街区)を合わせると、稼働する人員は協力会社も含めて1日約700人に達します。このような大規模プロジェクトを各作業所長や本社、お客様と連携を図りながら、安全かつ円滑に導いていくことが工事所長の役割です。柳橋は次のように話します。
「工事所長として一番大切な役割、それはこの現場で働く人たち誰もが気持ちよく仕事ができる環境を整えることだと思っています」。
1フロアあたり6日という短工期・省人化の施工を実現
現在、建設が進むB-5街区の高層住宅は地上28階建。広い外庭など充実した環境を備えたシニア向けサービスレジデンスです。また、B-3街区では43階建マンションの工事が進められ、隣接するB-4街区でも38階建マンションの建設に向けて基礎工事が始まっています。
このように、複数の高層マンションを並行して建設する今回のプロジェクトでは、高品質かつ効率のよい施工を実現するために、これまでの経験を踏まえた技術の活用と先進の技術の採用を行っています。各高層住宅に採用されている中間免震構造もその1つです。建物の1階と2階の間に免震層を設置。天然ゴム系積層ゴム、弾性すべり支承、免震U型ダンパーなどの免震装置をバランスよく配置することで、激しい揺れを吸収・分散して地震エネルギーを建物に伝わりにくくしています。
2階以上の駆体に採用しているPCa(プレキャスト・コンクリート)工法も、高層住宅ならではの特徴的な技術です。柱や梁、床など主要なコンクリート構造部材をあらかじめ専門工場で製造。それらを外部に配置した2基のタワークレーンで吊り上げ、現場で組み立てています。1フロアを2工区に分けて作業を進めるなど工程にも工夫を取り入れ、短工期・省人化による施工を実現しています。
PCa工法では、部材を専門工場で製造するため、現場でコンクリートを打設する従来工法に比べて、高品質な施工が可能。従来のような木製ではなく、耐久性のある鋼製の型枠を用いることによって、環境課題にも対応しています。さらに、従来工法のように外部足場を組んで作業をする必要がなく、作業員の安全性を高められることもPCa工法の特長です。
このように高品質で安全な施工を実現しつつ、1フロアあたり6日サイクルで組み上げていくというスピーディーな工程で工事を進めています。
現場での日々の仕事を通じてSDGsに取り組んでいく
プロジェクトを統括する柳橋が、B-5街区の作業所長の時から一貫して力を注いでいるのがSDGsへの取り組みです。その理由について次のように話します。
「日々忙しい現場では、なかなかSDGsのことまで意識が回らないかもしれません。しかし、忙しいからと否定から入るのではなく、自分たちで何ができるのか、また何ができているのかを前向きに考えてみるべきだと思ったのです」
そこで柳橋は、自分なりにSDGsを学び直してみました。そうして気づいたのが、自分たちがつくる建物によってSDGsに貢献するだけでなく、建物をつくるプロセスでも実践できることが数多くあるということ。現場での日々の仕事の中でSDGsを意識することの大切さでした。
このSDGsへの姿勢を象徴するのが、B-5街区の現場に設置された掲示板でしょう。休憩所前の誰もが目にする場所にある掲示板には、SDGsにおける17のゴールごとに関連する活動をわかりやすく紹介されています。
たとえばゴール5の「ジェンダー平等を実現しよう」では、女性専用のトイレや更衣室、休憩所の設置など「女性が働きやすい現場」を掲示。また、休憩所の男性トイレも土足禁止・冷暖房完備など充実した空間となっており、この取り組みについてはゴール8「働きがいも経済成長も」と関連させて掲示しています。こうした快適な環境を提供するばかりでなく、維持管理などについては社員や作業員たちが自主的に取り組む体制づくりを進めています。
照明のLED化や使用電力をすべて再生可能エネルギーで賄うなど、環境課題に対する取り組みも徹底しています。現場から出る廃プラスチックや木屑をリサイクルして固形燃料を生成し、CO2排出量を削減するなどの活動も推進。廃プラスチックを圧縮して省エネ化する装置の導入も始めました。
B-5街区におけるこれらSDGsへの取り組みは約30項目に及びます。関連する設備などにそれを明示するステッカーを貼るなど、普段の仕事の中でSDGsを意識できるように工夫しています。
多様な人材が気持ちよく働ける環境を整えるために
SDGsに関連するテーマのひとつでもある働き方改革についても積極的に取り組んでいます。現在、建設業界では時間外労働の低減が大きな課題となっています。この課題についても先駆的な取り組みを進めています。「B-5街区では着工時に工程を細部にわたって再検討し、社員が週休2日となるスケジュールを確保しました。協力会社にも協力してもらい、現在ではこの体制が定着しています」と柳橋は話します。
デジタルツールの活用といったDXの推進も、働き方改革に貢献しています。休憩所前の広場には120インチの大型LEDディスプレイを設置。朝礼時の情報共有やラジオ体操などに活用しています。このようなコンテンツをパソコン上のアプリで簡単に管理できるようにするなど、若手社員たちの業務効率化も図っています。
もちろん、この働き方改革において「安全」が最優先のテーマであることは言うまでもありません。最近増えている外国人作業員などにも配慮し、安全管理の掲示にわかりやすいイラストを用いるなど、社員からもアイデアを募りさまざまな工夫を凝らしています。
「SDGsや時間外労働の削減などの取り組みを進めていくためにはリーダーとしての意思も大切だと感じています。若手社員にはこの現場で多様な経験を積んで成長し、次の現場へと羽ばたいていってほしいですね」
このようにプロジェクトへの想いを語る柳橋は、実は近隣の街で育ったそうです。柳橋にとっては、故郷に新しい街をつくる仕事でもあるのです。「幕張ベイパーク」に5つ目の高層住宅、B-4街区が竣工するのは2026年の予定。数多くの社員の想いを紡ぎながら、これからもプロジェクトは進んでいきます。
工事概要
(仮称)幕張新都心若葉住宅地区計画(B-7街区 ・B-2街区 ・B-3街区 ・B-4街区)
発注者 | 三井不動産レジデンシャル(株)、野村不動産(株)、 三菱地所レジデンス(株)、伊藤忠都市開発(株)、 東方地所(株)、(株)富士見地所、袖ヶ浦興業(株) |
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(仮称)幕張新都心若葉住宅地区計画(B-5街区)
発注者 | 三井不動産レジデンシャル(株) |
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(仮称)海浜幕張・サービス付き高齢者向け住宅計画
発注者 | 野村不動産(株) |
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総工期:2016年11月(B-7街区)~2026年2月(B-4街区)
総戸数 | 約3,500戸 |
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