人権デューデリジェンス
熊谷組グループは、人権方針に基づき、企業活動による人権への負の影響を防止・軽減することを目的とし、人権デューデリジェンスにおいて、リスクの特定や評価を継続的に実施します。
人権デューデリジェンスは、「人権方針専門部会」という「サステナビリティ推進委員会」の下部組織により検討しています。
人権デューデリジェンスのプロセス
2023年度の取り組み
当社の人権方針専門部会(経営戦略本部長、人事部長、土木部長、建築部長、購買部長、協力会連携推進部長、国際管理部長、サステナビリティ推進部長、部会長指名者(グループ会社含む)にて構成)にて、人権デューデリジェンスを行いました。
また、これらの取組みや人権方針の策定については、「サステナビリティ推進委員会」の承認を得て、経営会議・取締役会にて報告を行っています。
1.「負の影響を特定」
熊谷組グループの事業領域を対象として、「ビジネスと人権に関する指導原則」や「責任あるサプライチェーン等における人権尊重のためのガイドライン」などを参考に、人権課題を認識、整理しました。
潜在的な人権リスクが高い事業領域を特定し整理した人権課題を、自社およびサプライチェーンにおける発生可能性と深刻度の指標によって評価・マッピングしました。
当社グループのバリューチェーン上には、建設業特有の施工管理や安全衛生管理などの工程があり、非常に多くの協力企業との関わりが発生します。
これにより当社グループの事業において最も潜在的な人権リスクが高い領域は、調達・施工の過程であると特定しました。
自社における人権リスクは、ESG取組方針において重要課題(マテリアリティ)および個別課題を特定した上で、様々な取組みを進めています。サプライチェーンについては、当社事業において特にリスクの高い人権課題を優先的に取り組むべき重点課題として特定しました。
【重点課題】
- 1.過剰・不当な労働時間
- 2.パワーハラスメント
- 3.賃金の不足・未払、生活賃金
- 4.外国人労働者の権利
2.「実態の調査」
2023年度は全国の協力企業(熊栄協力会)のなかで関わりの深い200社へアンケート調査を実施しました。
事前にウェビナーを開催し、「熊谷組グループ人権方針」や取組みの趣旨を説明することでサプライチェーンにおける人権への理解促進を図りました。
▶アンケート調査結果
回答者数 | 187/200社=94% |
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平均スコア | 27.8/31点(89.6%) |
設問数 | 34問 |
対象企業 | 200社 施工を請け負うグループ会社を含め、様々な業種より取引頻度等を参考に選定 |
過剰・不当な労働時間 | 重大なリスクなし |
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パワーハラスメント | 相談窓口について取組みが不足→今後も推進 |
賃金の不足・未払、生活賃金 | 重大なリスクなし |
外国人労働者の権利 | 重大なリスクなし |
4つの重点課題に加え、公正な企業活動・情報セキュリティ・ダイバーシティ・労働安全衛生などの設問も追加しており、昨年度に実施した調査と比較し網羅的な内容としました。回答結果について重大なリスクとなりえる回答については、当該企業へヒアリングを行い、対話することで誤りや認識の違いを改めました。すべての設問に対し法令違反に該当する回答は認められませんでしたが、引き続き人権リスク低減のための取組みを進めていきます。
3.「負の影響の停止・是正」
アンケート調査の対象企業には、ウェビナーにて回答結果の解説を配信しました。また、同配信にて人権への取組みの好事例や具体的な対応策の紹介などの教育を実施するとともに、熊谷組グループの相談窓口を案内しました。
救済へのアクセス4.「情報開示」
これらの結果をもとに引き続きサプライヤーの皆様と対話を行いながら取組みを進めていきます。今後は、重点課題の深堀り・調査対象範囲などの見直しや、人権への取組みを推進するための施策の検討を行っていきます。
2023年9月 | 第一回 人権方針専門部会 | 人権リスクの重点課題検討 |
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2023年10月 | 第二回 人権方針専門部会 | 人権リスクの重点課題検討 |
2023年11月 | 第三回 人権方針専門部会 | 協力会社200社を対象としたアンケート実施 およびウェビナーによる説明会 |
サステナビリティ推進委員会・経営会議・取締役会で審議 | ||
2024年1月 | 第四回 人権方針専門部会 | アンケート回答の分析・協力会社へのヒアリング |
2024年3月 | 第五回 人権方針専門部会 | 結果に関する情報開示 協力会社を対象としたウェビナーによる評価結果及びセミナー |
2022年度の取り組み
2022年10月 | 第一回 人権方針専門部会 | 人権方針の内容確認 人権DDの内容の議論 |
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2022年11月 | 第二回 人権方針専門部会 | 人権方針確定 人権DD内容決定 |
2022年12月 | 第三回 人権方針専門部会 | アンケート内容決定 |
サステナビリティ推進委員会・経営会議・取締役会で審議 | ||
2023年1月 | 第四回 人権方針専門部会 | 調査範囲決定 |
2023年2月 | アンケート展開 | |
サステナビリティ推進委員会にて経過報告 | ||
2023年3月 | アンケート集計 結果に関する情報開示 結果に対する対応開始 |
2022年度は、事業活動における「外国人技能実習生」の対応を人権に対する負の影響の可能性があると考え、外国人技能実習生の受入を行っているサプライヤー10社に対し、人権デューデリジェンスとして2023年2月にアンケート調査を行いました。
人権デューデリジェンスの結果、人権リスクとして重大なものは認められませんでしたが、一部の企業で住環境について是正・改善を求める通知を行いました。
また、アンケート調査を行ったサプライヤーに対しては、適切な回答をフィードバックするとともに、適正な外国人技能実習生の受入と人権の尊重を要請しました。