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無線電子雷管を活用した「完全自動化」機械装填による実現場での発破に成功

2026年07月07日

株式会社熊谷組(本社:東京都新宿区、代表取締役社長:上田 真)は、SIPにて実用化を目指している無線電子雷管付親ダイの機械装填装置と当社開発済みの爆薬の遠隔装填システムを組み合わせた、新たな爆薬機械装填システムを開発しました。

本システムは一連の装薬作業において、作業員の切羽への立ち入りを必要としないものであり、2026年5月18日に実際のトンネル工事現場での発破作業に適用し、起爆に成功しました。
これにより、山岳トンネル工事における発破作業の大幅な安全性向上と、機械化による生産性の向上が可能となります。

なお、本技術は、ニシオティーアンドエム株式会社(本社:大阪府高槻市、代表取締役社長:北 俊介)、株式会社キヨモトテックイチ(本社:宮崎県日向市、代表取締役:清本 康夫)の協力のもと実現したものです。

1. 開発背景

山岳トンネル工事では、機械化による作業の省力化と安全性が図られてきているものの、依然として切羽(掘削面)付近における落盤・土砂崩壊のリスクは高く、重大災害に繋がる恐れがあります。特に、発破掘削における爆薬の装薬作業は、肌落ちや崩落の発生しやすい切羽に密着して行う長時間の人力作業です。
さらに、多数の孔へ爆薬・込め物を挿入し、込め棒で突いて装填する作業の繰り返しは、厳しい作業環境や姿勢を強いられるため、作業員にとって身体的負担が大きく過酷な作業となっています。

当社ではこれまで、危険な装薬作業を切羽から離れて行うことを目的に、「爆薬の遠隔装填システム(写真1・写真2)※1」の開発・実用化を行い、30現場以上で実績を積み重ねてきました。

写真1 爆薬の遠隔装填システム
写真1 爆薬の遠隔装填システム
写真2 装填パイプを使用した従来の機械装填
写真2 装填パイプを使用した従来の機械装填

今回の開発では、当社の参画している内閣府「戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)※2」にて実用化を目指している無線電子雷管を活用しました。これまで起爆に必要な脚線あるいは導火管があるために、人の手による結線作業が必要だった親ダイの装薬作業を機械化するシステムを新たに開発し、当社施工中の新下半原トンネル工事にて、実際の発破作業に適用いたしました。

2. 概要

無線電子雷管付親ダイを機械装填するために開発した本システムは、親ダイを装填パイプの先端に供給する「親ダイ供給装置」と、供給された親ダイを装填パイプにて発破孔内に挿入する「親ダイ挿入装置」で構成されています。

写真3 親ダイ装填装置のドリルジャンボへの架装状況
写真3 親ダイ装填装置のドリルジャンボへの架装状況
写真3 親ダイ装填装置のドリルジャンボへの架装状況

(1)親ダイ供給装置

親ダイ供給装置(写真3)は、親ダイを複数本納めたカートリッジと、親ダイ1本ずつを親ダイ挿入装置のガイドパイプ内に供給を行う押出し機構で構成されます。
親ダイ挿入装置の動きに連動し、親ダイの供給を行います。

(2)親ダイ挿入装置

親ダイ挿入装置(写真3)は、発破孔に装填パイプを挿入するための送り機構と、親ダイと装填パイプを発破孔にスムーズかつ正確に挿入するためのガイドパイプで構成されています。
親ダイを送り込んだ装填パイプの後端には、爆薬の遠隔装填システムの爆薬装填ホースが接続されており、そのまま引き続いて、紙巻き爆薬の増ダイおよび込め物の装薬へとシームレスに作業を進めることができます。

(3)装薬作業の自動化(操作パネル)

写真4 ドリルジャンボ操作室に設置した操作パネル
写真4 ドリルジャンボ操作室に設置した操作パネル

親ダイ・増ダイ・込め物の装填といった一連の作業は、ドリルジャンボの操作室内に設置した操作パネルから安全にコントロール可能です。

本システムは、発破孔への親ダイ供給・装填パイプによる挿入から、後方の装填台車からの増ダイ・込め物の装填まで、すべての機械装薬作業を自動化しています。

作業員は発破孔への位置合わせを行った後、「装薬開始ボタン」を1度押すだけで、一連の装薬作業を完了させることができます。

3. 現場実証結果

当社施工中の大野油坂道路 新下半原トンネル工事(発注者:国土交通省 近畿地方整備局)にて、無線電子雷管「ウインデット®Ⅱシステム」※3を用いて、実際の発破作業を機械装填にて実施し、全数(芯抜き10孔)で起爆に成功しました。

新たに開発した「親ダイの機械装填装置」と、従来の「爆薬の遠隔装填システム」により、一連の装薬作業において、人力作業を介さない完全な機械装填が可能なことを確認しました。また、作業にかかる時間も従来の人力による作業と比較して、スムーズかつ効率的な運用を実現しています。

写真5 試験施工状況
写真5 試験施工状況
写真6 機械装填
写真6 機械装填
写真7 発破前
写真7 発破前
写真8 発破完了
写真8 発破完了

4. 今後の展望

当社は現在、内閣府「戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)」において、無線電子雷管システムの社会実装と標準化に取り組んでいます。

今回開発した親ダイ機械装填技術と無線電子雷管を組み合わせることで、切羽への立ち入りを必要としない「完全自動化された装薬システム」が可能となりました。引き続き、現場作業の更なる効率化・省力化、および安全性の向上を図るため、技術開発を進めてまいります。

  1. 爆薬の遠隔装填システム
    山岳トンネル工事の発破掘削における装薬作業を切羽から離れて行うことにより、作業の安全性向上と効率化を実現したシステム
  2. 戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)
    内閣府総合科学技術・イノベーション会議が司令塔機能を発揮して、府省の枠や旧来の分野を超えたマネジメントにより、科学技術イノベーション実現のために創設した国家プロジェクト
    https://www.pwri.go.jp/jpn/research/sip/sub-assignment_a.html
    第3期の課題「スマートインフラマネジメントシステムの構築」におけるサブ課題A「革新的な建設生産プロセスの構築」(研究開発責任者:筑波大学 永谷圭司教授)、研究開発テーマa-3:トンネル発破等の危険作業の自動化・無人化に係る研究開発」において、トンネル発破等の危険作業の自動化・無人化実現を目指し、無線電子雷管システムの実用化、ならびに標準化を行う
  3. 無線電子雷管「ウインデット®Ⅱシステム」
    ウインデットは日油(株)が開発した無線電子雷管で、日油(株)の登録商標

お問い合わせ先

本リリースについてのお問い合わせ先

株式会社熊谷組 経営戦略本部 広報部
電話:03-3235-8155

技術に関するお問い合わせ先

株式会社熊谷組 土木事業本部 土木技術統括部 トンネル技術部

https://www.kumagaigumi.co.jp/contact/tech-solution/