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トンネル覆工等シート接着工に関する機械化施工技術を開発

2026年01月30日

株式会社熊谷組(代表取締役社長 上田 真)は、株式会社ケー・エフ・シー(代表取締役社長 田村 知幸)、日進機工株式会社(代表取締役社長 水野 英市)と共同で、「トンネル覆工等シート接着工の機械化施工技術」を開発しました。

1. 背景

シート接着によるトンネル覆工等の補強工は、既設面の下地処理、プライマー塗布、不陸修正、接着剤塗布、シート貼付、塗装の工程で構成されます。現在これらの作業はすべて人力で行っていますが、粉塵の発生や有機系材料の取扱い等に加えて、振動工具の操作や高所作業車上で上向きまたは不自然な姿勢での長時間作業といった労働安全衛生上の課題があります。

そこで共同3社による開発グループでは、これらの作業をロボットに代替させ、下地処理工ならびにプライマーおよび接着剤塗布工の機械化を当面の目標として効率化や省力化の可能性について検討を行ってきました。

この度、当施工技術の構成要素技術とそれらの連携システム(一部で手動)の構築が施工実施レベルに達したことから、施工性を検証・確認するため、実際のトンネル補強工事現場で実証実験を行いました。

2. 概要

本技術の標準的な設備は、

  1. トンネル点検車、産業用多軸ロボット、位置調整用移動架台(トラバーサー)が複数作業共通
  2. 下地処理工に同時吸引式ウォータージェット装置
  3. 塗布工では材料を混錬・供給する2液混合ディスペンサー、供給された材料を塗布する特殊加工ローラー装置

などから構成されます。
いずれの作業もロボットアームの先端で上記2のウォータージェット装置および3のローラー装置を把持し、各種センサーで計測しながらロボットの姿勢や作業位置を制御しています。なお、作業開始時のロボット位置については、ロボット近傍に設置したLiDARで3次元計測した結果をもとに自己位置を検出・管理する形式としました。

3. 実用化に向けた検証

シート接着工に係る人力作業を産業用多軸ロボットに代替するためのアプローチとして、各種要素技術の適用性については個別の性能実験、それらを組み合わせた場合の施工性を検討する段階では、覆工曲面を模したコンクリート試験体や模擬トンネルでのロボット作業による確認実験を行いました。

  1. 下地処理工
    同時吸引式ウォータージェットによる下地処理工では、ロボット自身の稼働範囲と対象構造物との処理装置の密着性の確保が重要になります。そのため、装置本体の軽量化によりロボットへの負荷軽減を図るとともに、トンネル覆工等の壁面形状にも追随するようキャスターやスプリングを取り入れています。
  2. 塗布工
    ロボットによるローラー塗布工では、材料の混錬と供給、規定量をロスなく均質に施工することが求められます。そこで、2液混合ディスペンサーによる材料の撹拌性能と圧送性、塗布作業に適したローラーならびに周辺治具の選定・改良、塗布後の品質を確保するためのローラーの押付け力や移動速度など制御に必要な設定項目を検証し、各塗布材料に適した方法を規定しました。
含浸接着剤の塗布実験状況
含浸接着剤の塗布実験状況

4. トンネル補強工事現場での施工実験

施工実験は、高速道路トンネルの覆工補強工事現場において、1スパン内のトンネル半断面で行い、片側車線規制のもと下地処理工とプライマー塗布工の2工種について実構造物での施工性を確認しました。実験内容は、実施工を想定した車両・機械設備編成を組み、規制内での(1)トンネル点検車の準備工、(2)所定作業位置への移動、(3)ロボット施工ポジションの調整、(4)実際の覆工面への施工、(5)次の作業位置への移動、以降(3)~(5)の繰り返しとしました。

実験の結果、下地処理工、プライマー塗布工ともに一定の品質を確保できることを確認しました。

トンネル点検車での作業状況
トンネル点検車での作業状況
プライマー塗布工:ローラー塗布装置稼働状況
プライマー塗布工:ローラー塗布装置稼働状況
下地処理工(1)
下地処理工(1)
下地処理工(2)
下地処理工(2)

同時吸引式ウォータージェット装置稼働状況

5. 今後の展開

本技術は、高速道路等の山岳トンネル覆工を対象として開発を進めてきたものです。今回の実証実験により、覆工シート補強工のうち「下地処理工」および「プライマー・接着剤塗布工」において適用性を確認し、実工事にも展開できることを確認しました。

今後は、各種計測センサーとロボット等動作の連携をシステム化することで、介在する人力による作業工数や苦渋作業の軽減を図って参ります。

お問い合わせ先

本リリースについてのお問い合わせ先

株式会社熊谷組 経営戦略本部 広報部
電話:03-3235-8155

技術に関するお問い合わせ先

株式会社熊谷組 土木事業本部土木技術統括部インフラ再生事業部

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