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20℃封緘養生で材齢28日圧縮強度150N/mm²以上が得られるプレミックス製常温硬化型超高強度グラウト材を開発

2024年10月16日

株式会社熊谷組(代表取締役社長 上田 真)は、株式会社フローリック(代表取締役社長 横町 彰一)と共同で、20℃封緘養生※1において材齢※228日圧縮強度が150N/mm2以上となる常温硬化型の超高強度プレミックスグラウト材を開発しましたのでお知らせします。

1. 開発の経緯

近年、新エネルギーの推進や環境負荷低減の観点から、建設材料の機能を高度化することが求められています。特に、自然災害の増大や高齢化社会の到来により、高強度化や高耐久化に対する要求が高まっており、超高強度コンクリート等の開発が行われています。

セメント系の材料を高強度化するためには水結合材比を極めて小さくする必要があり、そのために練上がり後の粘性が高くなって十分な流動性を確保するのが困難な場合があります。また、高強度を確保するために高温給熱養生※3を必要とする場合もあります。これらにより、汎用的に使用可能な製品が少ないのが現状です。

当社では、流動性を確保して充填性を担保し、常温硬化において高強度を確保できる配合の検討を行いました。さらに、確立した配合をプレミックス化して汎用的かつ安定的に品質を確保できるようにしたグラウト材の開発を行いました。

  1. 「封緘養生」:コンクリート表面からの水分の出入りがない状態に保って行う供試体の養生
  2. 「材齢」:コンクリートを打ち込んでからの経過日数
  3. 「高温給熱養生」:コンクリート周囲表面または、コンクリート内部から熱量を補給して一定の温度(高温)に保温して養生する方法

2. 概要

今回開発したグラウト材は、セメントにシリカフュームや膨張材などの混和材料および細骨材をプレミックスしたもので、使用するセメントとして一般の普通セメントおよび早強セメントを使用した2配合があります。普通セメント配合では水結合材比を16.0%として、早強セメント配合では水結合材比を17.0%として、特殊高性能減水剤を使用して練り混ぜます。なお、剥落防止材としてポリプロピレン繊維を添加しています。

試作製造したプレミックス粉体を袋ごとに練り混ぜて性状の確認を行って、製造バッチ内および製造バッチ間における変動が小さいことを確認しており、安定した品質を確保することが可能です。

用途としては、高強度コンクリートの接合部や高強度が求められる狭い間隙の充填等に適用が可能で、高い流動性と常温硬化の性能により、給熱養生を行わずに確実な充填と高強度の品質を得ることができます。

フロー値(JHS 313)361mm(普通セメント配合)
フロー値(JHS 313)361mm
(普通セメント配合)
圧縮強度(普通セメント配合)
圧縮強度
(普通セメント配合)
フロー値(JHS 313)355mm(早強セメント配合)
フロー値(JHS 313)355mm
(早強セメント配合)
圧縮強度(早強セメント配合)
圧縮強度
(早強セメント配合)

3. 特徴

(1)流動性

フロー値(JHS 313)は350mm程度あり、流動性に優れています。

(2)空気量

空気量は消泡剤を使用して3.5%以下に調整しています。

(3)圧縮強度

普通セメント配合では、20℃封緘養生で材齢7日120N/mm2・材齢28日160N/mm2、早強セメント配合では、20℃封緘養生で材齢7日150N/mm2・材齢28日180N/mm2の高強度が得られます(試験体寸法はいずれもφ50×100)。

4. 今後の展開

今回開発した配合を基本配合として、適用箇所に応じた要求性能(例えば、引張特性を積極的に活用)を満足できる配合の検討を進め、さらに、効率的な練混ぜ方法についても検討を行う予定です。

また、土木学会「高強度繊維補強セメント系複合材料の設計・施工指針(案)」を参考にして、材料の特性および耐久性に関する評価を実施し、最終的な配合の第三者試験機関の試験結果が得られた時点で外販を検討していきます。

【お問い合わせ先】

本リリースに関するお問い合わせ先

株式会社 熊谷組
経営戦略本部 広報部
電話:03-3235-8155

技術に関するお問い合わせ先

株式会社 熊谷組
技術本部 技術研究所 基盤技術研究室
電話:029-847-7505