香港で当社4件目の道路トンネルMOM事業を開始

2023年09月13日

 株式会社熊谷組(取締役社長 櫻野泰則、以下「当社」)は香港現地法人Pacific Infrastructure Limited (以下、PIL社。当社持ち分20%)を通じて香港の西部海底トンネル(Western Harbour Crossing:WHC)の管理・運営・保守事業(Management, Operations and Maintenance、以下「MOM事業」)を受注し、8月2日から運営を開始しました。当社が参画する香港MOM事業としては、4件目となります。

1.事業の経緯

 2016年8月から当社は香港東部海底トンネルのMOM事業に参画しています。香港東部海底トンネルは、当社が1986年から30年間にわたりBOT方式*で運営し、2016年8月の事業期間の満了にともないトンネルが香港政府に返還されました。返還後は、当社がCITIC社(中国中信股份有限公司)などと共に設立した香港現地法人(Pacific Infrastructure Limited)が香港政府との間でMOM契約を締結し、当社の香港におけるMOM事業が始まりました。
 その後、2018年7月には大老山トンネル、2023年1月にはセントラルワンチャイバイパストンネルのMOM事業も手掛け、今回の香港西部海底トンネルは当社が香港で手掛ける4件目のMOM事業となります。
 * BOT方式:Build, Operate and Transfer 民間事業者が施設を建設し、供用開始後は施設を所有して維持管理及び運営を行い、事業終了後に公共に施設所有権を移転する方式。

2.西部海底トンネル及びMOM事業の概要

(1) トンネルの概要
 香港西部海底トンネルは、香港島と九龍半島を結ぶ3本の海底道路トンネルの内の1本であり、1日あたりの平均交通量は77,000台、全長約2㎞、片側3車線計6車線の海底沈埋トンネルです。香港新空港のアクセス路線として計画、BOT方式で整備(建設は当社JV)され、1997年に開業しております。30年間のBOT事業契約満了に伴い、2023年8月1日をもって施設所有権は香港政府に返還され、8月2日よりMOM事業としてPIL社が維持管理、運営を開始しております。

(2) 業務の範囲、内容
 MOM事業者に求められる業務内容は、管理・運営(Management,Operation)業務として、交通管理・監視、巡回・パトロール、交通事故処理、災害非常時の緊急対応業務等、維持管理業務(Maintenance)として,トンネル及び換気棟、管理事務所の保守、電源、換気、照明等の機電設備、交通管制・監視システム及び料金徴収システムが含まれます。

(3) 入札方式及び契約概要
 本事業の入札は本年2月に公告され、PILが入札に参加、4月9日に入札、提案提出していたものです。入札は、価格及び技術提案(Quality proposal)による2封筒(Two Envelope)方式による競争入札方式で、価格30点/技術評価70点、合計100点の総合評価です。
 契約期間は2023年8月2日から2026年8月1日までの3年間、契約額は約3億7千2百万香港ドル(約67億円、香港ドルレート18円で換算)となっております。

3.今後の展開

 香港では道路や交通施設等インフラの維持管理にMOM契約方式が採用されており、20以上のトンネル、橋梁で事業が実施され、今後も多くの事業実施が予定されております。また、当社は香港において、現在MOM事業を手掛ける香港東部海底トンネル、香港西部海底トンネル以外にもイーグルネストトンネル等数多くの施工実績を有しております。

 今後、当社はこれらのMOM事業及びトンネル施工の実績を活かし、香港のインフラMOM事業を更に拡大、展開して参ります。また、香港でのBOT、MOM事業や豪州シドニーハーバートンネル(Sydney Harbour Tunnel)でのBOT事業の実績、経験を活かして、東南アジア地域でのPPP事業にも積極的に取り組んで参ります。更に、こうしたMOM、PPP事業の実施、展開において、当社や日本企業が保有するインフラの点検、維持管理、補修技術やIoT、交通シミュレーション技術等を積極的に提案し、我が国のインフラ輸出戦略にも貢献して参ります。

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