MR技術によるコンクリート品質向上への取組み 「MRを活用したコンクリート締固め管理システム」を開発

2023年08月30日

 株式会社熊谷組(本社:東京都新宿区、取締役社長:櫻野 泰則)は、株式会社インフォマティクス(本社:川崎市幸区、代表取締役社長:齊藤 大地)と共同で、MR(Mixed Reality)技術を用いたコンクリート品質管理の向上の仕組みとして、コンクリートの締固め対象箇所の可視化、及び締固め位置や時間を記録するシステムを開発し、実証実験により実用化の目途をつけました。

1.開発の背景

 コンクリートの品質は、打込み時の締固め作業に大きく左右されます。締固め不足や締固め忘れはジャンカや密度不足につながり、品質劣化の原因となります。現状は締固め作業の管理は、現場監督者や現場作業員の経験によるところが大きく、コンクリートの品質に問題があった場合、客観的な締固め作業の記録を残していないため、原因を特定することができません。

2.開発概要

このような背景より、当社らは、MR技術を用いてコンクリート締固め作業を可視化し、締固め作業者に締固め開始から終了までの判定を知らせ、データを保存するシステムを開発しました。締固め作業者は、ヘッドマウントディスプレイ(ホロレンズ)を装着し、締固め作業を行います。デイスプレイの画面には、実際の打込み箇所に締固め作業用に区分けされたメッシュ(50cm×50cm程度)が反映され、ホロレンズのヘッドトラッキング機能により、締固め開始前から作業中、締固め終了と作業工程ごとに色が変わることにより、締固め作業の終了を自動的に周知されます。また、工事関係者がパソコン上でホロレンズと同じ画像をリアルタイムに確認できます。締固め作業の記録(位置や時間)をメッシュ毎に残すことにより、トレサビリティとして活用できます。

本工法の特長は以下のとおりです。

1. 締固め作業の見える化
実際の締固め作業個所にメッシュを反映させ、締固め作業の見える化を実現します。打込み箇所全面において締固め忘れがなくなり、均質なコンクリートが仕上がります。

2. 締固め作業の共有化
ホロレンズ装着者が見ている画像をパソコンで確認することで、締固め作業の流れをリアルタイムで関係者と共有できます。

3. 締固め作業のトレサビリティ化
メッシュごとに、締固め位置や締固め作業時間が記録として保存できるため、締固め作業のトレサビリティとして活用できます。

ホロレンズ装着による締固め作業状況
ホロレンズ画像(メッシュ色確認)

3.今後の展開

今後は、打重ね時間の管理などの新たな機能を追加し、実際の工事において運用することで、より実用的なシステムとなるよう開発を進めてまいります。

お問い合わせ先

[本リリースについてのお問い合わせ先]
株式会社熊谷組 広報部広報グループ 電話 03-3235-8155

[技術に関するお問い合わせ先]
株式会社熊谷組 土木事業本部総合評価対策部 電話 03-6387-8649