- プレスリリース
簡単操作でBIM/CIMを身近なものにする自社内クラウドを活用したシステム「CIM-CRAFT®」を開発
2023年11月27日
CIM-CRAFT®株式会社熊谷組(代表取締役社長 櫻野 泰則)は、五大開発株式会社(代表取締役社長 石川 智英)と共同で、簡単操作でBIM/CIMを身近なものにするクラウドを活用したシステム「CIM-CRAFT®」を開発しました。
自社内クラウドシステムに「CIM-CRAFT®」を構築することで、専用ソフトウェアのインストール、高性能パソコンが不要とするとともに、簡単な操作でモデリングと属性付与が可能で、盛土工事におけるBIM/CIMに関する作業時間を50%削減して省力化を図ることができます。また、リアルタイムに情報共有、連携ができ、独自機能を追加することで施工時や検査時における業務についても効率化を図ることができます。
本システムは国土交通省関東地方整備局が発注したR3荒川右岸小台一丁目地区高規格堤防工事、高知県幡多土木事務所宿毛事務所が発注した春遠ダム(春遠第1ダム)本体建設工事、熊本県農林水産部が発注した大切畑地区県営農地等災害復旧事業第1号工事の3工事に適用し、その有効性を確認しています。
1. 開発の背景
BIM/CIMは令和5年度から国土交通省が発注する工事では原則適用され、その他の機関が発注する工事や民間工事でも適用が進められています。これは、一連の建設生産・管理システムの効率化・高度化を図る取組みで、熊谷組も平成27年にCIMから取り組みを始めたことにより、BIM/CIMの、3つの課題が挙げられました。
- ソフトウェア、ハードウェアの整備
BIM/CIM は3次元モデルを中心とした、モデリング、データ統合、属性情報付与に必要な高度なソフトウェアと高価なハードウェアが必須となり大きな投資が必要となります。 - 技術者の育成
各ソフトウェアの操作・機能を習得しモデリングを行う技術者、活用を図る技術者の育成を行う必要があり、初心者、特に工事現場の社員にはハードルが高いものとなっています。 - データの共有・連携
3次元モデルはメールやクラウドストレージを通して共有することが多く、参照するためには専用ソフトウェアのインストールが必要となり、工事関係者との迅速かつ円滑な連携が課題となっていました。
以上のことから、誰でも簡単な操作で使用ができる環境を提供し、「BIM/CIMをもっと身近なものに」をテーマに「CIM-CRAFT®」を開発しました。名称は、「現場社員の手で自らBIM/CIMを作り上げることができるシステム」をイメージして付けました。
2. CIM-CRAFT®の概要
今回開発した「CIM-CRAFT®」は、自社内クラウドシステムに構築したWebアプリケーションになり、工事の完成モデルや進捗に合わせてモデル、属性情報、帳票類等の登録、参照ができます。
現場社員が日々の施工管理に用いる帳票用データをExcel®等の表計算ソフトウェアに入力して、Web上の仮想空間内に構造物を構築することができるシステムとなり、3次元モデルを作成する専門知識は必要とせず、デジタルツインを実現できます。
3. 導入効果
CIM-CRAFT®の導入効果は次の4点になります。
- モデリング、属性情報の入力操作が容易あり誰でも簡単に利用できます。
- 施工時や検査時における業務の効率化を図ることができます。写真-1に示すように視覚的に工事の進捗状況を伝えることができるようになることから、発注者との定例会等で活用することにより、円滑な合意形成につなげています。
- 専用ソフトウェアが不要であることから、迅速に導入することができ、導入費用、保守費用を軽減することができます。(サーバの運用費用は発生)
- クラウドサーバを活用することでインターネット環境があれば、いつでも、どこからでも利用でき、効率的な情報共有・連携を実現することができます。
盛土工事におけるBIM/CIMの作業時間については、これまでは盛土範囲のモデリング、属性付与、BIM/CIMモデルのメール等での情報共有で約1.0時間を要していました。
CIM-CRAFT®を導入することによりモデリング、メール等での情報共有の作業が不要となることから、約30分で作業を終えることができ作業時間を50%削減しました。
4. 今後の展開
今後はBIM/CIMの取組みの中核としていくことからトンネル工事やシールド工事等の様々な工事に適用することができるよう開発を進めるとともに、生産性の向上を図るためのアプリケーション改良、「コッター床版品質管理システムKIS-C 【Kumagaigumi Information System for Cotter Slab】(2022年12月20日プレスリリース)」をはじめとした社内システムとの連携を進めていきます。
お問い合わせ先
[本リリースについてのお問い合わせ先]
株式会社熊谷組 広報部 広報グループ
電話 03-3235-8155
[技術に関するお問合せ先]
株式会社 熊谷組 土木事業本部 土木DX推進部
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