『基礎SC化工法(KSCP工法)』の開発 ―杭基礎のパイルキャップをSC化し施工の合理化を図る―

2022年09月01日

 株式会社熊谷組(代表取締役社長:櫻野泰則)は、杭基礎のパイルキャップを鋼コンクリート造とすることにより、現場での型枠、鉄筋工事を省略して、施工性の向上を図ることを目的とした基礎SC化工法『KSCP工法®』を開発しました。(特許取得 特許第6890039号)
 本工法は2018年11月に日本ERI株式会社の構造性能評価を取得しました。
 また、兵庫県加古川市の物流倉庫に採用し、竣工しました。

1. 開発の背景

 杭基礎のパイルキャップ(杭基礎と上部構造の接合部)は従来、鉄筋コンクリート構造とすることが一般的であり、従来の鉄筋コンクリート造での基礎工事は、現場での煩雑な鉄筋工事、型枠工事を行い、コンクリートを打設という工程を要していました。本工法では、基礎梁を鉄骨造または鉄骨鉄筋コンクリート造とした場合に、杭基礎のパイルキャップを鋼コンクリート造(以下、SC造)とすることにより、現場での鉄筋、型枠工事を省略して施工の合理化と生産性の向上を図ることを目的としています。

2. 工法の概要

 KSCP(Kumagai Steel Concrete Pile cap)工法®は、SC造とするパイルキャップの鋼管を、外鋼管と内鋼管の2重鋼管とし、内鋼管は鉄骨基礎梁と溶接することにより、柱RC梁S構法のようにパイルキャップのコンクリートを拘束し、パイルキャップの応力を鉄骨基礎梁に伝達することが可能となります。また、外鋼管を杭頭の施工位置に追従する形で杭芯に合わせることで、杭の施工時偏心による付加応力についてもスムーズに基礎梁に伝達することが可能となります。

3. 今後の展開

 就労人口の減少や高齢化、コスト縮減、工期短縮要請等多様な社会変化に対応すべく、今後もより合理的な設計、施工を目指し、物流施設をはじめとした様々な建物への適用を積極的におこなって参ります。

基礎SC化工法(KSCP工法)イメージ
基礎施工状況写真
KSCP 設置状況写真

4. 適用物件

(1)加古川平岡町NKビル
工事名 : 加古川平岡町NKビル 新築工事
工事場所: 兵庫県加古川市平岡町高畑字西ヶ原下ノ段352番1,352番6,字乾角451番18,451番19,451番35
発注者 : JR西日本不動産開発株式会社
建物用途: 倉庫、事務所
建物面積: 32,258.13 m2
構造  : 鉄骨造
竣工  : 2022年6月

お問い合わせ先

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コーポレートコミュニケーション部 電話03-3235-8155