優れた床衝撃音遮断性能を実現した波型中空合成スラブ「サイレントLFR」を開発

2022年01月28日

 株式会社熊谷組(取締役社長 櫻野泰則 本社:東京都新宿区)は、フジモリ産業株式会社(代表取締役会長兼社長 藤森行彦 本社:東京都新宿区)と共同で、共同住宅において優れた床衝撃音遮断性能を実現する波型中空合成スラブ「サイレントLFR」を開発しましたのでお知らせします。

1.背景

 共同住宅において、音環境は重要性の高い項目の一つです。特に、上階での歩行音や物を床に落とした時の音に関連する床衝撃音遮断性能は、建物の内装材だけでなく、構造体である床スラブから十分に対策を行う必要があります。当社等がこれまでに開発したサイレントボイドスラブは、共同住宅において遮音性能に優れた中空合成スラブ(ハーフPCa板を用いたボイドスラブ)として多くのデベロッパーで採用されています。
 それ以前に広く用いられていた矩形ボイド型枠を用いた中空合成スラブは、ボイド型枠上面で共振現象が起こるため、高い周波数領域で床衝撃音遮断性能が低下していました。サイレントボイドスラブはボイド型枠を「波型」とすることで共振現象を抑えることができ、優れた床衝撃音遮断性能を確保することに成功しました。
 一方で、より厚さの薄いスラブへの適用やスラブ重量をより軽減するなどの課題があり、それらの課題に対応するため、新しい中空合成スラブ「サイレントLFR」を開発しました。

図 1 ボイド型枠上面で起こる共振の仕組み
(模式図、サイレントボイドスラブパンフレットより引用)

2.概要

 サイレントLFRは、波形を多重に組み合わせた、これまでにない独自の形状を持つボイド型枠を採用しています。実物大の試験体を用いた実験により、サイレントボイドスラブと同様に、矩形ボイド型枠を用いた中空合成スラブと比較して優れた床衝撃音遮断性能であることを確認しました。

図 2 サイレントLFR
図 3 サイレントLFR(ボイド型枠のスケールモデル)
図 4 サイレントLFR カットモデル

左:長辺方向1/2地点、右:長辺方向1/4地点 (いずれも速報値)
図 5 実物大試験体の全時間応答インピーダンスレベル(1kHz帯域)

3.特徴

サイレントLFRの特徴は以下の通りです。
・ 波形を多重に組み合わせた、独自形状のボイド型枠としました。これにより、ボイド型枠上面での共振現象を
  抑制し、矩形ボイド型枠を用いた中空合成スラブに比べて優れた床衝撃音遮断性能を実現します。
・ ボイド型枠部分の体積がサイレントボイドよりも増えたことによってコンクリート量が少なくなり、スラブ重量
  の軽減に寄与します。(等価重量スラブ厚に換算して約5mm減。)
・ サイレントボイドスラブの適用範囲はスラブ厚さ250mm以上でしたが、サイレントLFRは230mmから対応可能と
  なり、適用できる範囲が広がりました。
・ 日本建築センター評定 評定番号:RC0062/RC0130
・ 2時間耐火認定(国土交通大臣認定) 認定番号:FP120FL-0025-1
・ 特許および意匠、商標は出願済みです。

4.今後の展開

 今後、共同住宅における音環境の静謐性能を確保するための重要なツールとして位置付け、デベロッパーや設計事務所などに対して積極的に提案していきます。
 サイレントLFRの販売はフジモリ産業株式会社が担当します。

お問い合わせ先

[本リリースに関するお問い合わせ先]
 株式会社 熊谷組 経営戦略室 コーポレートコミュニケーション部 広報グループ
 電話03-3235-8155

[技術に関するお問い合わせ先]
 株式会社熊谷組 技術本部 技術研究所
 室長 :財満 健史
 担当:黒木 拓
 電話:029-847-7505

 フジモリ産業株式会社
 建築営業統括部長 中牟田 篤
 担当 :西野 嘉一
 電話 03-5339-8540