「アースドリル工法(場所打ちコンクリート杭)に おける掘削抵抗測定技術」を開発 ~ 現場でのリアルタイム計測による支持層確認技術を目指す ~

2022年11月09日

 株式会社熊谷組(取締役社長:櫻野 泰則)は、雄正工業株式会社(代表取締役:二川 和雄)と共同で、「熊谷式アースドリル工法掘削抵抗測定技術」を開発しました。本測定技術は、アースドリル工法による場所打ちコンクリート杭の施工において、従来の方法による支持層管理と併せて軸部掘削時における掘削データを計測し、それらの計測データから算出した掘削抵抗値と標準貫入試験結果のN値※1との比較を行うことで、支持層確認の信頼性向上を図る技術です。2022年8月に一般財団法人日本建築センターの建設技術審査証明(建築技術)※2を取得しました。
 今後、同一敷地内の支持層に傾斜・不陸が予想される地盤などで本技術を採用することにより、場所打ちコンクリート杭の施工品質向上を目指していきます。


 ※1:地盤の固さを示す値で、重さ63.5kgのおもりを76cmの高さから自由落下させ、標準貫入試験用サンプラーを地層に30cm貫入させるのに要する打撃回数のこと。
 ※2:対象技術についてその有意な点を客観的な観点から評価する審査のこと。

1.開発の背景

 従来のアースドリル工法における場所打ちコンクリート杭の支持層確認は、施工時に地中より直接掘削した土砂を採取したのちに、事前に行った地盤調査のサンプル試料との目視確認により行っています。この方法による場合、支持層とその直上の土質変化が大きい地層構成(例えば、粘土と砂礫)では容易に確認できますが、土質変化が小さく類似した地層構成(例えば、泥岩塊からなる盛土と地山の泥岩)では、支持層確認が困難になります。そこで従来の支持層確認に加え、杭の軸部掘削時における掘削データより、支持層を確認する技術を開発することで支持層確認の一助とします。本技術について、第三者機関である(一財)日本建築センターでの技術審査証明を取得することにより、開発技術の信頼性を担保しています。

2.技術の概要

 本技術は、アースドリル工法による場所打ちコンクリート杭の施工において、軸部掘削時における掘削データ(掘削深度、回転トルク、回転数)を計測し、それらの計測データから算出した掘削抵抗値として定義した値を、建物計画時に調査した標準貫入試験で得られた𝑁値との比較を定量的に行うことで、支持層確認の信頼性向上を図る技術(特許申請中)です。
 従来実施している直接掘削した土砂から採取した試料と、地盤調査のサンプル試料とを目視で比較して判定する管理方法に加え、本技術を採用することにより支持層確認の一助とすることを目的としています。
 方法としては、図-1に示すように場所打ちコンクリート杭アースドリル工法の掘削工程は、ドリリングバケットを回転させながら掘削し、バケット内部に収められた土砂を引き上げて地上に排土します。その工程中のドリリングバケットの動き(深度、回転トルク、回転数)を計測し、そのデータより掘削抵抗値として定義した値を随時算出しながら、地盤調査結果で得られたN値と比較することで、支持層確認の判断材料とします。
 その例を図-2に示します。なお、特別な施工工程は不要です。

       図-1 掘削時のデータ計測概要             図-2 掘削抵抗値とN値との比較

3.今後の展開

 現在、本技術を実現場の施工時に施工管理者がパソコンを携帯し、リアルタイムでの画面確認により掘削土砂の目視確認と併用して、行えるシステムを開発中です。
 また、掘削データを蓄積することで、より信頼性の高い技術を目指していきます。

本リリースに関するお問い合わせ先

株式会社熊谷組 経営戦略室
コーポレートコミュニケーション部 電話03-3235-8155