在宅自立歩行支援器「フローラ・テンダー」を開発
2017年09月27日
株式会社熊谷組(取締役社長 樋口 靖)は、社会の変化に対応した技術開発と事業領域の拡大のひとつとして、在宅介護等における自立生活支援型の歩行器「フローラ・テンダー(FLORA・TENDER)」を開発しました。
「フローラ・テンダー」は、立ち上がり介助機能や体重免荷機能を有し、転倒の心配も無く、安心して歩くことができる歩行器です。また、体重免荷に必要なスリングには、「ジーンズタイプ(スリング・ジーンズ)」を新たに開発。普通のズボンとして、日常生活でもまったく違和感なく着用できることも特徴です。
さらに、本歩行器の効果を最大限に活かしていただくため、お客様のご要望に応じて、熊谷組グループの建物リニューアル専門会社、ケーアンドイー株式会社(取締役社長 岩間和久)が、使用される方の身体や生活の状況に応じたベストな住環境を提案してまいります。
1.開発の背景
厚生労働省の発表によれば、わが国では諸外国に例を見ないスピードで高齢化が進んでおり、2025年には65歳以上の高齢者が3600万人を超える(3人に1人が高齢者)見込みです。これに伴い、高齢者の要介護や要支援の認定を受けた人も急速に増加しており、調査によれば「自宅で介護を希望する人」がもっとも多くなっています。(平成29年版高齢社会白書 内閣府)。
また、国の施策においても、「住み慣れた生活の場において必要な医療・介護サービスが受けられ、安心して自分らしい生活を実現する社会」を目指し、在宅医療や在宅介護を推進する方向が示されており、「住生活基本法」や「バリアフリー新法」では、高齢者・障害者を含めたすべての人が、安心して生活できる住宅・住環境の整備が必要であるとしています。
そこで熊谷組では、在宅での、家族に頼らない、自立生活支援のための開発・環境整備が極めて重要であると考え、当社が以前に開発した「体重免荷式歩行支援機器 フローラ (2001年11月プレス発表)」を在宅介護・自立生活支援の観点から見直し、時代のニーズにマッチした新たな開発と改良を行いました。
2.開発の概要
(1)基本コンセプト
使用者が自宅で、介助者・介護者の助けがなくてもひとりで歩行し、日常生活を送ることができるよう、「自由に歩く、自由に活きる」をコンセプトとして開発しました。
(2)本歩行器の対象者
本歩行器は、杖や介助があればなんとか歩行できるけれども転倒の心配がある方、膝の痛みなどで立ち座りや歩行に苦痛を感じる方を対象としています。 車椅子が必要でほとんど歩けない方、杖などを使えば転倒の心配なく歩ける方は対象としていません。 なお、本歩行器は、屋内専用です。
(3)本歩行器の主な機能と特徴
①立ち座り介助機能 電動アクチュエーター(モーター)の介助で、楽に立ち座りができます。
②転倒防止機能 歩行器が使用者の全体重を支え、膝落ち転倒や前のめり転倒などの心配がありません。
③体重免荷機能 バネによって体重を軽減し、膝に痛みのある方や筋力が衰えた方の苦痛を軽減します。
④個人住宅に適したコンパクト設計 コンパクトな設計に加え、狭い廊下などでも方向転換できるよう
アウトリガーが左右に可動します。
⑤普段着のようなジーンズタイプのスリング 体重免荷用スリングは、ジーンズタイプを開発。
日常生活で常時着用していても違和感がありません。
(4)本歩行器の使用の効果
①転倒の心配がなく、介護者・介助者の助けがなくても安心して、ひとりで歩行することが可能です。
②「立って、歩いて、座る」という一連の動作を本歩行器で行うことで、これが歩行訓練となって、
歩行能力の維持・向上につながります。
③ひとりで歩行できることで、日常生活におけるモチベーションや意識の向上、
QOL(Quality of life 生活の質)の向上、ひいては健康寿命の延伸にも大きく寄与することが期待できます。
3.住宅改修技術との連携
古い住宅などでは、ドアの幅が狭かったり、ドアの開き勝手が悪かったりなどの理由により、本歩行器の性能が充分に発揮できない場合があります。このような場合にも、建物リニューアル専門のケーアンドイー㈱が持つ住宅改修の豊富なノウハウや技術と連携し、お客様の身体の状態やライフスタイルに応じたベストな提案をしてまいります。
4.今後の展開
本歩行器は、熊谷組グループの株式会社ファテック(取締役社長 青野孝行)が総販売元になります。
熊谷組グループではこの商品を核とし、ケーアンドイー㈱による「住宅改修」を含めた、建設会社ならではの総合的なサービスを創出し、㈱ファテックによる「福祉用具の販売・リース事業」への参入を計画しています。
5.その他
①フローラ・テンダーの開発と製造には、株式会社菊池製作所の協力をいただき、現在3件の特許を 出願中です。
②スリング・ジーンズの開発と製造には、株式会社エナジーフロントの協力をいただき、現在3件の特許を 出願中です。
本リリースに記載している内容は発表日時点のものですので、あらかじめご了承願います。
【本リリースに関する問い合わせ先】
株式会社 熊谷組 コーポレートコミュニケーション室 広報グループ 電話 03-3235-8155
【本製品に関する問い合わせ先】
株式会社 熊谷組 技術本部 新技術創造センター 電話 03-3235-8617