- プレスリリース
トンネル発破工事のAI支援システム「BLAIVE」を開発~切羽観察から発破パターンまでを見える化し、最適な施工を実現~
2025年10月15日
株式会社熊谷組(代表取締役社長 上田 真)は、トンネル発破工事において、AI技術を活用して切羽観察から最適な発破パターンを導き出し、「見える化」する次世代支援システム「BLAIVE(ブライブ)」を開発いたしました。
1. 開発の背景
トンネル工事における発破作業では、地質状況に応じた適切な発破パターンの選定が重要です。従来は熟練技術者の経験と勘に依存する部分が大きく、地質条件に応じた最適な発破パターンの選定、発破効果の定量的評価の困難さ、経験の浅い技術者への技術伝承といった課題がありました。
2. システムの概要
BLAIVE(ブライブ)は、地質評価に基づく発破仕様の自動設計を行うシステムです。地質評価データと設定余掘り量を入力することにより、火薬量と穿孔本数、外周孔穿孔本数を算出し、発破パターンの最適化を行います(図-1、図-2)。また、データに基づく継続的改善(施工結果のフィードバック、AIモデルの継続的学習)も併せて行います。
今回は、道路トンネル工事において各種データ(写真測量による余掘量や火薬量、地山評価結果など)を蓄積し、現場で運用可能な専用アプリを作成しました。
現在は、完成させたアプリを用い、地質や断面積の異なる条件のトンネルにおいて試行を進めており、熟練技術者の判断と比較を行い、その有効性を確認しているところです。
システムの特長は以下の通りです。
- AI技術による最適化:地質条件に応じた火薬量や発破パターンの提案
- 革新的な見える化機能:施工結果のデータ化や視覚的表示
- 現場での使いやすさ:ブラウザアプリでの簡単操作、リアルタイムに支援情報の提供
導入効果として、切羽ごとの最適な発破パターンの選定により、余掘り量の低減が期待され、施工品質の向上が見込まれます。また、経験値に寄らない評価が可能となるとともに、ノウハウのデジタル化により、技術継承支援が期待され、経験の浅い技術者の早期育成が見込まれます。
システム名称の由来
BLAIVE→Blasting(発破工法),Learning(最適化)+AI(Artificial Intelligence:人工知能)& VE(Visualization Eye:見える化)の造語


3. 今後の展開
今後、現場での実証実験により導入効果を確認する予定です。将来的には、トンネル掘削作業の自動化を見据え、発破の効率に大きな影響を与える地山中の亀裂の方向性を加味した評価やAIによる地山自動判定等の機能拡張により、評価の高度化を図る予定です(図-3)。また、トンネル掘削作業中の環境負荷軽減(掘削ズリ量の適正化に伴うCO2削減や重金属含有土処理量の低減)も期待されます。

お問い合わせ先
本リリースについてのお問い合わせ先
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