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木杭を用いた環境に優しい土留め技術の開発

2025年09月24日

株式会社熊谷組(本社:東京都新宿区、代表取締役社長:上田真)は、環境に優しい土留め技術として、親杭横矢板土留め工法における木杭の適用に向けた開発を始めました。開発にあたり、土中に打設した木杭の水平方向載荷試験を実施し、土留め設計手法の適用性や木杭が土留め材として基本的な性能を保持できることを確認しました。

今後の本技術の実装化により、CO2排出削減効果や土中へのCO2固定効果など脱炭素に寄与することが期待できます。

1. 目的・概要

近年、地球温暖化対策として、建設分野においても木材の活用が注目されており、土木工事においても二酸化炭素排出量削減や炭素固定に貢献できる木材利用が期待されています。

この度開発した木杭土留めは、H型鋼材に代わり丸太杭を親杭として適用する親杭横矢板式土留めです。本技術の適用により、(1)エネルギー多消費資材の代替によるCO2排出削減効果、(2)より軽量な材料による運搬時のCO2排出削減効果、(3)土中への炭素固定効果が期待できます。

H型鋼材による従来の親杭横矢板式土留め
H型鋼材による従来の親杭横矢板式土留め
木杭を用いた親杭横矢板式土留め
木杭を用いた親杭横矢板式土留め

図-1 木杭を用いた土留めのイメージ図

2. 試験内容

開発にあたり、土中に打設した丸太材の水平方向載荷試験を実施し、木材の曲げ強度の検証や、載荷時の挙動の確認を行いました。無等級のスギ丸太材を試験体に用い、実際の土留め工事を想定した条件で水平荷重を段階的に加え、杭の変位やひずみの計測を実施しました。また、同試験体を用いた曲げ試験および含水率測定により、木材の物性値の測定・検証を実施しました。

各結果を解析値と比較・検証した結果、各設計基準書に記載されている木材物性値を用い、従来と同じ設計手法にて土留めの設計を行うことが可能であることが確認できました。

写真-1 水平載荷試験の試験状況
写真-1 水平載荷試験の試験状況
写真-2 曲げ試験の試験状況
写真-2 曲げ試験の試験状況
表-1 試験結果一覧
表-1 試験結果一覧
図-2 変位および曲げモーメントの実測値および解析値
図-2 変位および曲げモーメントの実測値および解析値

3. 今後の展開

今回の水平載荷試験の結果、計画された荷重条件下においては、木杭が大きな破壊や変形を起こすことなく、土留め材としての基本的な性能を保持できることが確認できました。

今後は今回の試験で得られた知見を基に、木杭のより詳細な強度特性や地盤との相互作用を明らかにするための試験や解析を進めます。そして、有効性や経済性を検証することで、持続可能な環境に優しい新たな土留め工法の改良を目指してまいります。

お問い合わせ先

本リリースについてのお問い合わせ先

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