>熊谷組グループ DX方針 (2024年5月14日) (418 KB)
熊谷組DX方針の実現に向けて
熊谷組は、2019年4月に「DX元年」を宣言し、2021年に定めたDX方針「高める、つくる、そして、支える。」を基軸にDX戦略2021- 2023を展開してきました。この戦略では、デジタル基盤の整備、業務のデジタル化、デジタル人財マネジメント、BIM/CIMの導入といった多岐にわたる領域での進展を目指しました。この結果、業務効率化、競争力の強化に向けた一定の成果を挙げることができました。
一方、コロナ禍、生成系A Iの出現等により、デジタル技術は急速に進化し、ワークスタイルも多様化してきました。これらの変化は、今後のビジネスモデルや業務プロセスに革新的な可能性をもたらすと考えられます。さらに、多様な働き方を推進するための通信インフラの整備とセキュリティの強化の必要性も顕在化しました。
このような状況を踏まえ、「熊谷組グループ 中期経営計画(2024~2026年度)」にあわせて、新たに3年間のDX戦略2024-2026を策定しました。
DX戦略2024-2026
デジタルで、技術力、人間力、そして独自の現場力を高める
「DX人財マネジメント」に重点を置き、全社員のITリテラシー向上を目指します。2023年度から、学習と実践の機会を提供し、高度な人財育成支援を行っています。また、データ中心のビジネス変革を進めるためにデジタル基盤を強化し、特有の知識や技術をデジタルナレッジ化します。さらに、新基幹システムや生成系AI、業務アプリの利用により業務効率化を図り、生産性向上を目指します。これにより、迅速な意思決定と持続的な成⾧を実現します。
デジタルで、つかう人の気持ちにこたえる“しあわせ品質”をつくる
熟練労働者の高齢化と若年層の人財不足の深刻化、労働生産性の低さや施工管理の非効率が課題となっています。
設計~見積~施工~維持管理までの一貫したBIM/CIMの利用業務への変革に加えて、ICTツールを活用した施工管理の効率化、ロボット・AI・無人化・遠隔化による自動化・自律化を推進し、労働生産性の向上を図ります。建設業の担い手の処遇改善、働き方改革、生産性向上を一体として進めることで魅力ある建設現場を目指します。
デジタルで、時代をこえてお客さまと社会を支える
デジタルツインによるお客様との情報共有を基にライフサイクルマネジメントの提案を強化し、ものづくりとデジタル技術を融合させることで社会課題の解決に貢献します。インフラ整備や防災・災害復旧技術を強化し、地域社会の安全性と持続可能性を向上させます。また、異業種との協業による新市場の創出、環境に配慮した技術の開発、デジタル技術製品の開発にも注力し、会社の成⾧を支える強固な基盤を構築します。
2023年度の取組み
基幹システムの刷新
「建設WAO」は、建設業界において多岐にわたる業務を同一の設計思想とデータベースで統合し、効率化と自動化を図る取組みです。具体的には、営業管理、原価管理、電子取引、工事管理、伝票、債権債務などの業務プロセスを統合化し、以下のメリットを実現しています。
通信インフラの整備とセキュリティの強化
2022年度より、全社的な通信量の増加に伴う接続不良、社外から社内ネットワーク接続時の通信品質劣化(テレワークへの対応)、高度化するセキュリティリスクへ対応するために、クラウドサービスであるPrisma Accessを導入し、通信インフラの整備とセキュリティの強化を図っております。2024年度から作業所への本格導入を進めます。
Prisma Access導入による効果
令和6年能登半島地震の災害復旧支援
熊谷組グループは、2024年1月1日に発生した令和6年能登半島地震に関連し、インフラの復旧対応を行っています。
地震発生当日に熊谷組は北陸支店に支店震災対策本部を設置し、社員の安否確認や被災地の建設現場、お客様の被災状況調査を開始しました。発災当初には衛星を利用したネットワークサービスを配備し通信環境を整えました。デジタルツールを活用し、被災地・北陸支店・本社がリアルタイムに情報を共有し、協力会社とともに復旧工事を進めています。
建設プロセスにおけるDX施策
KDS(Kumagaigumi Deep Smarts)
KDSは、熊谷組が構築している情報基盤であり、あらゆる情報を支えるための経験知を活用するプラットフォームです。熊谷組の伝統的なノウハウや知識をデジタル化し、効率的な働き方を実現するために活用されています。また、KDS上で作動する生成AIを活用したWebアプリケーションなどを日常業務で活用し、効率化を図りつつ、時間外労働の上限規制や労働人口の減少に対応しています。
BIM / CIMへの取組み
「CIM-CRAFT®」を活用して、膨大かつ煩雑な作業所の施工情報を効率的に管理しています。これにより、施工管理業務の高度化を図り、デジタルツインを実現しています。作業所と本社・支店がリアルタイムに情報共有し、一体となった「ものづくり」を推進しています。
建築BIMへの取組み
BIM(Building Information Modeling)を用いた取組みとして、納まりの検討を仮想空間上で行い、そのデータを材料加工へ活用するデジタルファブリケーションを試行しています。これにより、内装工事で使用される軽量鉄骨下地(LGS)や石膏ボード(PB)を工場で事前に加工(プレカット)することで、作業所での加工作業や騒音の抑制、余剰材料の削減が期待されます。
建設機械施工の自動化・遠隔化技術
熊谷組は、人財の高齢化や新規入職者不足に対処するため、遠隔化技術を自動化に発展させています。さらに、水中での適用も検討しており、生産性と安全性を向上させ、安定した品質の「ものづくり」を進めています。
建設DXによる未知への挑戦
熊谷組は、内閣府のMoonshotプロジェクト目標3に参画しています。自己学習・行動し、人と共生するAIロボットを開発し、過酷な環境での河道閉塞対応ロボットを実現しています。また、国土交通省の宇宙建設革新プロジェクトでは、月面での災害対応運搬技術の開発に取り組んでいます。
熊谷組は未知の領域に挑戦し、持続可能な社会の実現に貢献しています。