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新名神高速道路 田上羽栗森工事
- 近畿と中部を結ぶ基幹ネットワーク、新名神高速道の難工事を担う
- 近畿と中部を結ぶ基幹ネットワーク、新名神高速道路の建設
- 3社連携による施工の標準化で大幅な工期短縮を実現
- 「稼ぐ力」、「選ばれる力」を現場で発揮し続ける
- 工事概要
近畿と中部を結ぶ基幹ネットワーク、新名神高速道の難工事を担う
新名神高速道路は、三重県四日市市を起点に神戸市に至る160kmの高速道路です。熊谷組は現在、滋賀県大津市に位置する田上羽栗森工区の工事を担当しています。960mという距離の中に、人々の便利や安心、快適を支えるために、熊谷組の先進技術と、技術者たちの想いが凝縮されています。
近畿と中部を結ぶ基幹ネットワーク、新名神高速道路の建設
新名神高速道路は、三重県四日市市を起点に、滋賀県、京都府、大阪府などを経由し、神戸市に至る160kmの高速道路です。
近年、近畿圏と中部圏を結ぶ名神高速道路で交通混雑が頻繁に発生しており、その機能を補完し、国土軸のダブルネットワーク化を実現するために建設工事が進められています。人やモノの流れを支えるばかりでなく、地震や豪雨など自然災害への対応でも大きな役割を担います。
このうち熊谷組が工事を担当するのは、滋賀県大津市に位置する田上羽栗森工区。距離にすると960mという区間ですが、山間部という条件もあり難易度の高い工事です。
「最初に工事図面を見た時に、これは難しい工事になると直感しました。主なものでも4つの渓流が本線を横断する形で流れています。また、他社の工区に挟まれた山間部での道路工事となるため、余剰地が少ないということも難題でした」
このように話すのは、2019年11月の着工時から作業所長を務める𠮷井孝彰です。𠮷井は1991年の入社以来、様々な土木工事の現場で経験を積み、作業所長としても多くの高速道路工事を手がけています。
3社連携による施工の標準化で大幅な工期短縮を実現
今回のプロジェクトでは、工区の西端で行う橋梁工事をはじめ工種も多岐にわたり、渓流の上下流部における流路工事など広い範囲に及んでいます。その中でも特に𠮷井が注目したのが地下水路でした。先の言葉にもあるとおり、本線を横断する形で複数の渓流が流れており、合計4か所、地下水路を施工しなければならなかったのです。
「施工にはカルバート(四角形の暗渠)を用いるのですが、これを現場で施工すると多くの労力と時間がかかります。そこであらかじめ工場で製造するプレキャスト化を検討しました」(𠮷井)
着工直後に当初4車線だった道路が6車線となりました。大規模な計画変更により工期とコストが大幅に増加したため、工区が隣接する2社と連携し、施工の標準化を図る提案をしました。各社がそれぞれ担当を決めて施工を工夫し、それらを共有することで工事のスピードアップやコストダウンを実現しています。
たとえば、熊谷組が主導して進めるカルバートのプレキャスト化では、従来の工法と比較して工期を約4分の1に短縮。高所など危険が伴う現場作業を大幅に削減したほか、資機材を搬入する車両も大幅に減り、環境負荷や近隣地域への影響の低減にもつながっています。
「稼ぐ力」、「選ばれる力」を現場で発揮し続ける
𠮷井は、「稼ぐ力」「選ばれる力」を発揮するための仕事に対するこだわりがあります。
「仕事を進める中で一番気をつけているのが“スピード”です。お客様(発注者)からの依頼や提案にいかに早く回答するかが信頼を得る上でも重要だと考えています。「スピードある対応」は相手に安心感を与え、真摯な姿勢を伝えることができます。その積み重ねが信頼になります。受け身ではなく、自らアクションを起こし、行動しながら考えることも大切です。
それには、相応の知識・実力が必要です。それを蓄えるには、今、自分が向かい合う業務に対し若いうちから自身の力で考えるという事が大切です。
どれだけ真剣に時間をかけ、本気で向き合ったかが将来の自分に活きてくると私は信じます。
また、過去の手持ちの検討資料等は持っているからいつでも見られるという考えを捨て、それらは全て見直し、自分がこれまで係わった事を復習することが大切です。
過去に携わった事を見直すことで更に理解が深められ、知識という引き出しが増えると考えます。それが大切な経験となり多くの引き出しが持てる。その引き出しの数が、お客様に対するスピードある回答や対応へ繋がると考えます。
仕事には責任感と適度の危機感が必要です。これは、作業所長でも若手社員でも同様です」(𠮷井)
今回のプロジェクトでは、仮橋工事やカルバートのプレキャスト化の他にも、作業を効率化し工期を短縮するために、熊谷組では独自の提案を行っています。
工区が隣接する他社と連携して、仮橋のルート・形状の改善などを提案。また、道路を4車線から6車線へ設計変更する際、熊谷組では橋脚の梁部分を拡張するため、橋脚柱部に大型ブラケット支保工を取り付け、その上に支保工を設置する構造を考案し、対応しました。高速道路での960mという区間は、わずかな時間で走り抜けてしまう距離かもしれません。
しかし、人々の便利や安心、快適を支えるために、その960mには熊谷組の先進技術と、技術者たちの想いが凝縮されているのです。
工事概要
新名神高速道路 田上羽栗森工事
発注者 | 西日本高速道路(株)関西支社 |
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工期 | 2019年11月1日~2025年8月19日 |
工種 | 切盛土工、カルバート工、橋梁下部工、仮橋工、 渓流工、法面工、用排水構造物工、調整池工、他 |