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「アースドリル工法(場所打ちコンクリート杭)における掘削抵抗測定技術」に新たな評価方法を追加 建設技術審査証明を更新 ~現場でのリアルタイム計測による支持層確認技術の品質向上を目指す~
2025年02月26日
株式会社熊谷組(取締役社長:上田 真)は、雄正工業株式会社(代表取締役:二川 和雄)と2022年に共同で技術審査証明を取得した「熊谷式アースドリル工法掘削抵抗測定技術」について、掘削データの新たな評価方法を追加し、一般財団法人日本建築センターの建設技術審査証明(建築技術)を更新いたしました。
1. 開発の背景
従来のアースドリル工法における場所打ちコンクリート杭の支持層確認は、施工時に地中より直接掘削した土砂を採取したのちに、事前に行った地盤調査のサンプル試料との目視確認により行っています。この方法による場合、支持層とその直上の土質変化が大きい地層構成(例えば、粘土と砂礫)では容易に確認できますが、土質変化が小さく類似した地層構成(例えば、泥岩塊からなる盛土と地山の泥岩)では、支持層確認が困難になります。そこで従来の土質確認による支持層確認に加え、杭の軸部掘削時における掘削データより、支持層を定量的に確認する技術を開発することで支持層確認の信頼性の向上を図り、建物の安全性に寄与することが出来ます。
開発技術の信頼性は、第三者機関である(一財)日本建築センターでの技術審査証明を取得することにより担保しています。
2. 技術の概要
本技術は、アースドリル工法による場所打ちコンクリート杭の施工において、軸部掘削時における掘削データ(掘削深度、回転トルク、回転数)を計測し、それらの計測データから算出した掘削抵抗値として定義した値を、建物計画時に調査した標準貫入試験で得られたN値との比較を定量的に行うことで、支持層確認の信頼性向上を図る技術(特許申請中)です。
従来実施している直接掘削した土砂から採取した試料と、地盤調査のサンプル試料とを目視で比較して判定する管理方法に加え、本技術を採用することにより支持層確認の信頼性向上を図ることを目的としています。
場所打ちコンクリート杭アースドリル工法の掘削工程は、図-1に示すようにドリリングバケットを回転させながら掘削し、バケット内部に収められた土砂を引き上げて地上に排土します。その工程中のドリリングバケットの動き(掘削深度、回転トルク、回転数)を計測し、そのデータより掘削抵抗値として定義した値を随時算出して、地盤調査結果で得られたN値と比較することで支持層確認の判断材料とします。
その例を図-2に示します。なお、特別な施工工程は不要です。
今回の審査証明取得は、今までの回転エネルギーによる掘削抵抗値に加え、回転数を計測しなくても、掘削深度と回転トルクの計測結果より算出した積算回転トルクによる掘削抵抗値と地盤調査結果で得られたN値※1と比較し、判断できることを可能としました。これにより、場所打ちコンクリート杭の掘削重機で回転数の計測装置を搭載していなくても、回転トルクの計測装置を搭載している多くの掘削重機に適用できることが可能となります。
- 地盤の固さを示す値で、重さ63.5kgのおもりを76cmの高さから自由落下させ、標準貫入試験用サンプラーを地層に30cm貫入させるのに要する打撃回数のこと。


3. 今後の展開
現在、本技術を実現場の施工時に施工管理者がパソコン等を携帯し、リアルタイムでの画面確認により掘削土砂の目視確認と併用して行えるシステムを開発し、データの蓄積を図っています。
今後は、データ計測を多くの建設現場で蓄積し、より一層の信頼性を高め、同一敷地内の支持層に傾斜・不陸が予想される地盤などで本技術を採用することにより、場所打ちコンクリート杭の施工品質向上を目指していきます。
お問い合わせ先
本リリースに関するお問い合わせ先
株式会社熊谷組 経営戦略本部
広報部 電話:03-3235-8155
本技術に関するお問い合わせ先
株式会社熊谷組 建築事業本部 建築技術統括部
建築構造技術部 電話:03-3235-8722
株式会社熊谷組 技術本部 技術研究所
基盤技術研究室 電話:0298-47-7508