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木材を耐火被覆として利用した鉄骨部材「ドレスウッド」で柱の1.5時間耐火大臣認定を取得~木材利用の拡大に寄与できる新たな耐火技術を開発~

2024年12月24日

株式会社熊谷組(取締役社長:上田 真)は、耐火被覆として木材を用いた鉄骨部材「ドレスウッド」で柱の1.5時間耐火構造の国土交通大臣認定を取得しました。本技術は株式会社ホルツストラ(稲山 正弘)と共同開発したものです。
今回大臣認定を取得した1.5時間耐火の柱は、都内の地上9階建てオフィスビル「(仮称)秋葉原木造オフィスビル計画」にて初採用される予定です。

1. 概要

近年、脱炭素社会の実現や国内の森林資源の利活用等を背景に、建築物での木材利用が注目されています。そのなかで、鉄骨造やRC造においても木材を積極的に活用することが期待されています。
従来、鉄骨造の耐火被覆にはロックウールやケイ酸カルシウム板などの無機系の材料が用いられていました。このたび開発した「ドレスウッド」は、鉄骨部材に生体溶解性繊維(AESウール)の断熱材と木材で耐火被覆を施した新技術です。本技術において、木材は火災時に鉄骨部材への熱の伝達を抑制する耐火被覆としての機能と、木材あらわしにより室内空間に木質感をもたらし、ぬくもりや親しみやすさを演出する仕上げ材としての機能を兼ねています。

2. 部材の構成

ドレスウッドの耐火被覆はAESウールの断熱材と木材から構成されます。
木材は一定以上の加熱を受けると燃焼しますが、その際に炭化を伴いながらゆっくりと燃えることで建物の荷重を支持している鉄骨部材への熱の伝達を遅らせます。また、軽量で断熱性の高いAESウールの断熱材と組み合わせることで、木材と断熱材の厚みを抑えました。木材厚は最小30mm、断熱材と合わせた正味の被覆厚は最小60mmとなり、スリムな部材寸法を実現できます。
なお、ドレスウッドの木材にはさまざまな樹種や材種を選択することができ、お客様や設計者のニーズに合わせた材料選択が可能です。

「ドレスウッド」柱1.5時間耐火の構成
「ドレスウッド」柱1.5時間耐火の構成
加熱前の様子
加熱前の様子

3. 今後の予定

このたび、柱の1.5時間耐火の大臣認定を取得し、建築物の最上階から数えて9層までの範囲に使用することができるようになりました。本部材は、都内の地上9階建てオフィスビル「(仮称)秋葉原木造オフィスビル計画」にて初採用される予定です。
ドレスウッドは今後も実物件への積極的な採用に取り組むほか、梁の耐火構造の開発や、より長時間の耐火時間に対応可能な部材の開発を計画しています。
熊谷組は、建築物の木造化や木質化を通じた持続可能な社会の実現のために、さらなる取り組みを進めてまいります。

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