- プレスリリース
覆工コンクリート油圧式流量調整バルブの開発
2024年12月04日
株式会社熊谷組
岐阜工業株式会社
株式会社熊谷組(代表取締役社長 上田 真,本社:東京都新宿区)は岐阜工業株式会社(代表取締役 宗像 国義,本社:岐阜県瑞穂市)と共同で、覆工コンクリートの左右コンクリート供給量を制御しながら連続して同時打設が可能な油圧式流量調整バルブ(特許出願中)を開発しました。
従来の打設方法に比べ、配管切替えに伴うリスクを大幅に改善可能で作業効率や生産性向上も期待できます。
1. 開発の背景
一般的に山岳トンネルの覆工コンクリートは、トンネル中心を境に打設口を左右に配置した配管からコンクリートを交互に打設します。
従来の打設方法では、打設口の変更毎に主配管と左右の打設口に連携する副配管の切替え(段取り替え)が必要となり、段取り替えの度にコンクリートの供給を一時中断します。段取り替えに時間を要すると、打ち継ぎ不良に伴うコールドジョイントが発生し、コンクリートの品質低下につながることが懸念されます。また、段取り替え毎に作業員は狭隘なセントルを移動するため、転倒や配管切替え中の指詰め、配管落下等の被災リスクに晒されます。そこで、油圧式流量調整バルブを開発し、これらリスクの排除と作業効率の向上を目指します。
2. 技術の概要

今回の打設方法は、主配管と副配管の間にY字管を配置し、分岐管先端にそれぞれ油圧式流量調整バルブ(写真1)を配置することで、側壁~アーチまでの覆工コンクリートを同時に打設することが可能です。
さらに、油圧式流量調整バルブのシャッターバルブでコンクリートの供給量を制御するため、左右のコンクリートを均等な打ち上がり高さで管理することが可能です。
3. 効果
稼働中の現場で流量調整バルブの基礎実験を実施しました。
実験はバルブ開度をパラメータとして2回(手動操作と油圧操作)の実験を行い、手動操作での基礎実験では、コンクリート供給量を制御することが可能であることを確認しました(写真2,図1)。
油圧操作での基礎実験は、Y字管から分岐した配管をそれぞれ水槽に配置して、ポンプ車からのコンクリート吐出量と打設時間を一定にし、シャッターバルブの開度毎のコンクリート打ち上がり高さを計測した結果、左右バルブからのコンクリート流量の実測値と理論値にばらつきが少なく、高い精度でコンクリート流量を制御している結果を得ました(写真3,図2,図3)。





4. 今後の展開
今後は、基礎実験でえた知見を基に、油圧式流量調整バルブとコンクリート検知センサーの組合せを基本ユニットとしてコンクリートの打ち上がり高さに応じて流量調整し、覆工コンクリートを左右同時に連続打設可能なシステムを開発するとともに、自動締固めシステム等と組み合わせることで、覆工コンクリート自動打設システムの確立を目指し、災害防止や作業効率の上げることによって、生産性向上を図ります。
お問い合わせ先
本リリースについてのお問い合わせ先
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