品確法に適応した環境配慮型ハーフプレキャスト床板を開発

2024年05月30日

株式会社熊谷組(本社:東京都新宿区、社長 上田真)、株式会社旭ダンケ(本社:北海道旭川市、社長 山下弘純)は共同で、住宅の品質確保の促進等に関する法律(以下、品確法)に適応した環境配慮型ハーフプレキャスト床板を開発致しました。
中・高層マンションの床への適用を目的に、品確法の劣化等級3を満足しながら環境負荷低減を目指してコンクリート調合を設計し、従来の製品よりCO2を19%削減した製品を開発しました。実際の生産ラインでの試験施工を行い、現行の製品と比較した結果、現行の製品と同等な品質が確保されることを確認しました。

1. 開発の背景

建築業界で最も広く使われる建材の一つはコンクリートです。このコンクリートの原材料の一つであるセメントの製造には大量の天然資源とエネルギーが必要であり、その製造過程で多くの二酸化炭素が排出されます。そのため、環境負荷低減と持続可能性を目指したコンクリート技術が多く開発されています。また分譲の中・高層マンションでは、品確法の適用物件が多いこと、労務不足によりコンクリート部材もプレキャスト化を図ることが多く、品確法に適応したプレキャスト板への需要が高まることが予想されます。
そこで、熊谷組では、中・高層マンションを対象としたプレキャスト床板の低炭素化(CO2排出量削減)を目的として、JASS10の基準を満足するとともに、品確法に適応した環境配慮型ハーフプレキャスト床板の開発に取り組むことといたしました。
ハーフプレキャスト床板の低炭素化(CO2排出量削減)は、使用するコンクリートを構成するセメントの一部を高炉スラグ微粉末※1に置換する環境配慮コンクリート(CELBIC※2)を製造する技術を参考にしています

2. 開発技術の特長

開発した環境配慮型ハーフプレキャスト床板は、現行の製品で使用しているコンクリートのセメントの一部を高炉スラグ微粉末に置換することで、現行の製品と同等の品質で低炭素化(CO2排出量削減)を実現しました。本開発製品の特長は以下に示す通りです。

  1. 品確法劣化等級3※3に適応した製品です。
  2. 現行の製品と同等な品質性能を確保しています。
  3. CO2排出量を現行の製品(コンクリート材料のみ)と比較して、約19%削減できます。(図1)
  4. 本開発製品は、プレ協のN認定※4を取得した工場で製造しています。
図1 CO2削減率

3. 適用対象

環境配慮型ハーフプレキャスト床板は、建設現場において、主に中・高層マンションを適用対象(写真1)としています。直近では、自社物件への適用を積極的に行う予定ですが、将来的には他社のも販売することを検討しています。

写真1 適用対象(現場施工状況)

4.今後の展望

熊谷組は、開発した品確法に適応した環境配慮型ハーフプレキャスト床板を積極的に展開、適用していきます。コストは現行の製品と比較して、若干上昇すると考えております。詳細な価格については、現在検討中です。
また今後は、適用対象の範囲を拡大するため、様々なPCa部材を開発するとともに、更なるCO2削減に向けた検討や社会のニーズに応えるべく環境ラベルの取得など技術の開発を進めていきます。
環境配慮型ハーフプレキャスト床板の開発により、天然資源の節約と廃棄物の削減に寄与し、CO2排出量の削減を促進することで、持続可能な建築業界への貢献を目指しています。

  • 高炉スラグ微粉末は、製鉄所で発生する副産物で、製造における二酸化炭素の排出量がセメントの1/20以下になります。
  • CELBICは、青木あすなろ建設(株)、(株)淺沼組、(株)安藤・間、(株)奥村組、(株)熊谷組、(株)鴻池組、五洋建設(株)、(株)錢高組、鉄建建設(株)、東急建設(株)、東洋建設(株)、(株)長谷工コーポレーション、矢作建設工業(株)の13社で開発した環境配慮型コンクリートです。
  • 住宅品質確保促進法(品確法)は、住宅性能表示制度や新築住宅の10年保証などについてまとめた法律です。住宅性能表示制度によって定められた劣化対策等級のランクは3等級で表され、等級が高いほど建物の耐久性があがります。等級3は通常想定されている条件のもと、約75~90年間大規模な改修工事をせずに使えるように対策されているものです。
  • 社団法人プレハブ建築協会におけるPC部材品質認定制度です。

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株式会社 旭ダンケ 東京支店
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