木質耐火部材「環境配慮型λ-WOODⅡ®」が3時間耐火構造の国土交通大臣認定を取得

2024年05月27日

株式会社熊谷組(取締役社長 上田 真)は、木材と被覆材の分別廃棄を可能とした木質耐火部材である「環境配慮型λ-WOODⅡ🄬(ラムダウッド・ツー)」について柱・梁・床・壁の1~3時間の耐火構造の国土交通大臣認定を取得しました。
環境配慮型λ-WOODⅡは、これまでに柱(1,2時間)・梁(1,1.5,2時間)の耐火認定を取得しております。今般、新たに柱・梁3時間及び床・壁1,2時間の耐火認定を取得したことにより、耐火要件上は15階以上のすべての耐火建築物の主要構造部に木造を適用することが可能となります。
今回大臣認定を取得した1,2時間耐火のCLT床及び1.5時間耐火の集成材梁は、都内の地上9階建てオフィスビル「(仮称)秋葉原木造オフィスビル計画」にて初採用予定です。

1. 開発の背景

2050年のカーボンニュートラル実現に向けて、CO2を固定化できる木造建築のニーズが高まっています。
当社では2024年5月に公表した新中期経営計画においても中大規模木造建築分野を引き続き重点分野として位置付け、木造建築の採用と普及に注力しています。特に木造耐火技術については、都市部での中高層建築を実現するうえで必須となるため、従来開発した「断熱耐火λ-WOOD」を改良し、「環境配慮型λ-WOODⅡ」の開発に取り組んできました。

2. 開発の概要

環境配慮型λ-WOODⅡは、芯材の木材を石膏ボードからなる耐火被覆層で被覆した木質耐火部材です。
以下に環境配慮型λ-WOODⅡの特徴を示します。

  1. 解体分離が可能な仕様
    芯材(木材)とその周囲を耐火被覆する石膏ボードとの間には、接着剤を一切使用しない留付材のみで固定する仕様とすることにより、解体時には容易に木材と石膏ボードを分離することを可能にしました。木材と石膏ボードを分離できることは、それぞれの再資源化を可能にするとともに、廃棄にかかるコスト低減にも寄与します。
  2. 表面材の自由性
    耐火被覆材(石膏ボード)の外周部に張る表面材は、木材のほか様々な仕様を選択することができます。
  3. 耐火被覆層の構成を簡素化
    従来のλ-WOODでは、被覆材として厚みが異なる2種類の普通硬質石膏ボードと断熱耐火パネルを使用しており、現場管理の手間が課題となっていました。λ-WOODⅡでは、被覆材を21mmの強化石膏ボードに統一することにより、現場管理の手間を低減しました。一例として3時間耐火の梁の耐火被覆層は、従来のλ-WOODが8層であるのに対して、λ-WOODⅡは4層に簡素化しました。
環境配慮型λ-WOODⅡの大臣認定
環境配慮型λ-WOODⅡの断面構成

大臣認定取得のために、指定の性能評価機関で耐火試験を実施しました。
性能評価試験では、荷重を加えながら所定の時間(1~3時間)の火災を模擬した加熱を与え、火災が自然に鎮火するまでの間に、加熱を受けても構造安全性が確保されていること、芯材の木材が炭化しないことなどを確認しました。
今回、新たに柱・梁3時間及び床・壁1,2時間の耐火認定を取得したことにより、耐火要件上は15階以上のすべての耐火建築物の主要構造部に木造を適用することが可能となります。

3. 今後の展開

これまで1時間耐火および2時間耐火の柱と梁については採用例がありましたが、今回大臣認定を取得した環境配慮型λ-WOODⅡの1,2時間耐火のCLT床および1.5時間耐火の集成材梁は、都内の地上9階建てオフィスビル「(仮称)秋葉原木造オフィスビル計画」にて初採用予定です。
今後は、実物件採用に向けて積極的に取り組むとともに、普及に向けたさらなる技術開発を進めてまいります。

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