無線対応型ひずみ計測システム「PITA-NET」の開発

2024年05月10日

株式会社熊谷組と株式会社ファテックは、無線対応型ひずみ計測システム「PITA-NET」を開発いたしましたことをお知らせします。
本システムは、熊谷組のKMLAセンサーをもとに、センサーへ無線通信機能を組込むことで、専用のゲートウェイを介してクラウド上のウェブアプリと通信を行い、センサーの計測データの取得やゼロセットなどの操作を、遠隔で行えるようにしたものです。本システムを採用することで、現場から離れた現場事務所においても、センサーの計測データを確認でき、また現場の異常を即座に察知することができます。
本システムは2024年4月より、ファテックからレンタルを開始しています。センサーの製造は東亞エルメス株式会社に、無線通信とクラウドの管理はソナス株式会社に委託しています。

1. PITA-NETについて

PITA-NETは、熊谷組のKMLAセンサーをもとに、センサーへソナス株式会社の「UNISONet」の無線モジュールを組み込むことで、専用のゲートウェイを介してクラウド上のウェブアプリと通信し、双方向にデータやコマンドの送受信を行えるようにした計測システムです。
UNISONetは、ソナス株式会社独自の無線通信規格で、同時送信フラッディング技術という、ネットワーク内の全てのユニット間で常時通信可能としたマルチホップ技術により通信を行います。現場に設置したセンサー同士で通信を中継できるため、ゲートウェイと直接の通信が難しい位置に設置したセンサーも、他のセンサーを中継することで通信が行えます。
ゲートウェイは、UNISONet通信により各センサーと通信を行い、LTE通信によりクラウド上のウェブアプリと通信を行うことができます。内部にLTEドングルを内蔵し、有線のLANケーブルなどを使用せず、電源に繋ぐだけで無線通信を開始できます。

PITA-NETのセンサー(左)とゲートウェイ(右)
PITA-NETシステム運用 概要イメージ

ウェブアプリでは、主に以下の操作が行えます。

  1. センサーの計測データの確認とダウンロード
    センサーの計測したひずみと温度の時刻歴をグラフで確認できます。また、センサーの閾値を超えるひずみがあった場合は、グラフの上に警告メッセージが表示されます。
    各センサーの詳細な計測データを、CSVファイル形式でダウンロードすることもできます。
計測ひずみグラフ
計測温度グラフ
計測データの時刻歴グラフ(上:計測ひずみ、下:温度)
  1. センサーの設定の変更
    ゲートウェイを介してウェブアプリからセンサーへコマンドを送ることで、センサーの設定を変更できます。計測ひずみのゼロセットや、計測データをウェブアプリへ送信するインターバル時間の変更、センサーの閾値の変更などを、ウェブアプリから実行できます。
  1. 緊急時の通知メールの設定
    現場で管理するセンサーの中で、閾値を超える計測ひずみがある場合、アプリに登録しているメールアドレスへ自動的に通知メールが送信されます。
    通知メールを送るメールアドレスは、最大で10件まで設定することができます。
通知メール例

2. レンタル価格

PITA-NETは、2024年4月から、熊谷組のグループ会社である株式会社ファテックよりレンタルを開始しています。ゲートウェイ1台につき、センサーを最大10台まで接続可能です。
レンタルのお問合せ、および修理等のご相談は、ファテックまでご連絡ください。

価格表
レンタル価格
センサー 22,000円/月・台
ゲートウェイ(GW) 25,000円/月
クラウド利用料 6,000円/月~
(通信間隔、センサー台数により価格変動)

株式会社ファテック

3. 会社情報

株式会社熊谷組

熊谷組は、土木・建設に関する事業を行う総合建設会社です。1898年の創業以来120年にわたり、オフィスや集合住宅・宿泊・物流・医療・商業建築から、橋やダム・トンネルなどのインフラまで、建設を通して国内外の社会基盤と生活インフラを支えています。

株式会社ファテックについて

株式会社ファテック(本社:東京都新宿区津久戸町 取締役社長:青野孝行)は、土木・建築における最新技術開発成果に基づく商品を提案する総合技術商社です。建設資材・機材や緑化資材・機材の販売およびリースだけでなく、それを最大限に活用するための技術も提供しています。

ソナス株式会社について

ソナス株式会社(本社:東京都文京区本郷 代表取締役:大原壮太郎)は、独自開発のIoT無線UNISONet(ユニゾネット)を活用し、デバイスからクラウドまで一気通貫のIoTプラットフォームを提供する東大発スタートアップです。

4. 補足

※KMLAセンサー(Kumagai Magnet Light Alarmセンサー)

KMLAセンサーは、熊谷組で開発した、鋼材に磁石で設置することで、部材に閾値以上のひずみが生じた時に光のアラームを発し、危険の可視化を行うセンサーです。掘削工事の土留め支保工の切梁などに本センサーを設置することで、部材に異常な荷重が加わるなど変状が生じた時、リアルタイムで危険を察知でき、早期避難が行えます。また磁石で設置するため、設置に専門的な技能を必要とせず、だれでも簡単に設置と取り外しが行えます。
2022年にグループ会社の株式会社ファテックより販売・レンタルを開始し、これまで社内で2件、社外で4件の現場で、基礎工事の安全管理や部材の軸力計測のため、本センサーが採用されています。2022年5月には「構造体の損傷検知装置」の名称でセンサーの基本特許を取得し、2022年10月に国土交通省の新技術情報提供システム(NETIS)への登録が完了しています。

特許概要

特許番号 特許第7073159号
登録日 2022年5月23日
特許権者 株式会社熊谷組
発明の名称 構造体の損傷検知装置

NETIS登録情報

NETIS番号 KT-220135-A
新技術名称 KMLAセンサー
登録日 2022年10月13日
KMLAセンサー(左:正面、右:側面)

【お問い合わせ先】

【本リリースについてのお問い合わせ先】
株式会社熊谷組 経営戦略本部広報部
電話 03-3235-8155

【本製品に関するお問い合わせ先】
株式会社熊谷組 技術本部 技術研究所
電話 029-847-7505