河川内橋梁工事における水位に応じて昇降可能な架設桁を利用する工法 「マルチユースガーダー工法™」を開発

2023年07月05日

株式会社 熊谷組
株式会社 横河ブリッジ
オリエンタル白石株式会社

 株式会社熊谷組(本社:東京都新宿区、取締役社長:櫻野 泰則)、株式会社横河ブリッジ(本社:千葉県船橋市、代表取締役社長執行役員:吉田 昭仁)、オリエンタル白石株式会社(本社:東京都江東区、代表取締役社長:大野 達也)は、河川区域内の橋梁工事において、従来の仮桟橋に代えて河川水位に応じた昇降可能な架設桁を用いて下部工および上部工を構築する工法「マルチユースガーダー工法」を開発しました。

 これまで河川区域内での橋梁工事は、流量の少ない渇水期(一般に渇水期は11月から翌年5月まで)に行われ、流量の多い出水期は休工となるため通年施工ができず、他工事と比較して生産性が低いことが課題となっていましたが、本工法は、架設桁を出水期に合わせてHWL以上の位置まで昇降装置を用いて上昇させることにより、出水期においても残置することができます。
 また、近接する既設橋梁や新設橋梁の橋脚設置位置等による河積阻害の制約がある場合においても、本工法は橋梁の支間長と同程度の間隔まで伸ばすことができるため、現場条件に応じて柔軟に対応できる工法です。

本工法の特長は以下のとおりです。

1. 水位に応じて昇降可能な桟橋構造

 本工法は、水位に応じて昇降可能な架設桁を用いた桟橋構造であるため、出水期においても残置することが可能となります。また、既製杭や場所打ちコンクリート杭等の橋脚基礎の施工の際には、渇水期に架設桁を施工水位(施工期間中の最高水位)まで降下させ作業効率を向上させる等、現場の状況等に応じて架設桁の昇降も可能です。

2. 河積阻害率を考慮した柔軟な支間長の設定が可能

 架設桁の適用支間長は最大120m程度であるため、近接する既設橋梁や新設橋梁の橋脚設置位置等による河積阻害の制約がある場合においても、橋梁の支間長と同程度の間隔まで架設桁を伸ばすことができるため、現場条件に応じて柔軟に対応することができます。

3. 施工期間の制約にも対応した急速施工

 生態系保全(アユの遡上期や産卵・流下期等)の観点から、渇水期間内での施工に加え、施工期間が更に制限される場合にも、渇水期ごとに必要となる仮桟橋の設置、撤去作業を省略できるため、限られた期間内での施工が可能です。

4. 工期の短縮と工事費の縮減

 河積阻害率とHWLに配慮して出水期にも残置できる桟橋構造であるため、従来の橋梁工事と比較して工期を短縮することができ、更に同じ架設桁を用いて下部工と上部工を施工することで工事費の縮減も可能となります。

 熊谷組、横河ブリッジ、オリエンタル白石は、今後さらに、橋梁の上部工から下部工までをトータルで見た視点で、工事の施工性・安全性の向上のための総合的な技術開発を行い、橋梁更新工事に加え、豪雨等により流出した橋梁の早期復旧事業等にも積極的に取り組むとともに、関係者の課題に真摯に取り組み、市民の安全・安心にも貢献して参ります。

図:マルチユースガーダー工法の施工ステップ

※1 河積阻害率
 橋脚の総幅が川幅に対して占める割合
※2 HWL
High Water Levelの略。日本語で計画高水位。HWLは、計画高水流量が河川改修後の河道断面を流下するときの水位です。

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