新熊谷式柱RC梁S構法 ―建物の高層化に対応できるあらたな設計法を構築―

2023年05月29日

 株式会社熊谷組(代表取締役社長:櫻野泰則)は、柱が鉄筋コンクリート(RC)造、梁が鉄骨(S)造からなる建築構法である従来の「柱RC梁S構法」について、高層建物のより合理的な設計が可能となる手法を構築し、設計施工指針を改訂しました。本構法は設計施工指針として、2023年3月に日本ERI株式会社の構造性能評価を取得しており、今後、高層の宿泊施設や事務所建物などの建物に適用を拡大していく予定です。

1. 改訂の背景

 熊谷組では2012年に「新熊谷式柱RC梁S構法:Super-High-Brid60」を開発し、構造性能評価を取得し、大規模物流施設に本構法がより採用されやすくなるように設計施工指針の適用範囲の拡大を行いました※1。今般、高まる建物の高層化のニーズに応えるべく、より合理的な設計が可能となる設計手法を確立し、「新熊谷式柱RC梁S構法(2023改訂)」として構造性能評価を日本ERI株式会社より再度、取得しました。

2. 構法の概要

 通常の建物に比べて積載荷重が大きく、大スパンで高い階高が必要となる大規模物流施設では、従来の建築構法を用いるよりも、柱RC梁S構法を適用することにより多くのメリットがあります。負担する軸力が大きく、長い柱には圧縮力に対して強いRC造を用い、梁には軽量でかつ地震に対して粘り強い性質を発揮するS造を採用することにより、両者の相乗効果が発揮され経済的かつ構造的に合理的な建物の構造躯体骨組が実現されます。

 今般、高層の宿泊施設などに本構法を適用し、構造的な合理性を最大限に実現させるために、いくつかの設計指針の改訂を行いました。2021年2月に刊行された日本建築学会の「鉄筋コンクリート柱・鉄骨梁混合構造設計指針」の改訂内容※2を参考として最新の学術的知見を反映させるとともに、建物の「塔状比(とうじょうひ)」※3が大きくなる高層建物に特有の地震時の変動軸力に対しても、新しい指針を導入することによって断面を合理的に設計できるようになりました。また、S梁の柱への埋込み長さなどについても見直し、構造的な安全性を保ちつつ施工性が大幅に改善されました。

※2  https://www.aij.or.jp/books/productId/637695/
 ※3 建物の高さ方向と幅方向の長さの比率    

3. 今後の展開

 今後もより合理的な設計、施工を目指し、物流施設、商業施設、オフィス、生産施設などの建物に加え、高層の宿泊施設、病院などを含めた様々な建物への「新熊谷式柱RC梁S構法」適用を積極的に行っていきます。

構法イメージ
ふさぎ板形式
せん断補強筋形式

本リリースに関するお問い合わせ先

株式会社熊谷組 経営戦略室
広報部 電話03-3235-8155