• プレスリリース

「北海道新幹線、羊蹄トンネル(有島)他」工事における虚偽報告について

2023年06月28日

「北海道新幹線、羊蹄トンネル(有島)他」工事における虚偽報告につきましては、コンクリートの品質試験において、所定の頻度で試験を実施していなかったにもかかわらず、正規の頻度で実施したとする報告を行っておりました。発注者様をはじめとするご関係者の皆様には、多大なるご迷惑をお掛けしておりますこと、改めて深くお詫び申し上げます。弊社といたしましては、当該コンクリートの健全性、他の工事における同様の不正の有無、原因究明と再発防止対策の確認・検討を行ってまいりましたが、この度その結果がまとまりましたのでお知らせいたします。詳細につきましては、別紙「コンクリート品質試験に係る虚偽報告の原因究明及び再発防止について」をご参照ください。

1. 工事概要

  • 工事件名:
    北海道新幹線、羊蹄トンネル(有島)他
  • 発注者:
    独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構 北海道新幹線建設局
  • 契約日:
    2019 年 2 月 5 日
  • 工期:
    2019 年 2 月 6 日~2025 年 3 月 5 日
  • 施工者:
    熊谷・不動テトラ・宮坂・橋本川島 北海道新幹線、羊蹄トンネル(有島) 他特定建設工事共同企業体
  • 工事概要:
    工区延長 4,245m(トンネル延長 4,221m)

2. 虚偽の内容

  • 単位水量試験:
    コンクリート打設前に1 回、打設開始後は 50 ㎥毎に試験するところ、打設前の1回のみ正規に実施し、2回目以降を1回目の試験時にまとめて実施したにもかかわらず、所定の頻度で実施したと報告
  • スランプ試験:
    コンクリート打設前、アーチ肩部打設前、クラウン部打設前に実施するよう規定されているのに対し、打設前の1回のみ正規に実施し、2回目以降を1回目の試験時にまとめて実施したにもかかわらず、所定の頻度で実施したと報告

3. 健全性の確認

虚偽報告期間中に施工したコンクリートの健全性を確認するため、発注者様立会のもと各種調査・検査を実施した結果、設計基準強度を満たしており充填状況にも異常がなく、健全性に問題はないことを確認しました。

【実施した調査・検査】

  • 反発度法(シュミットハンマー)による推定強度確認
  • コア採取による圧縮強度/静弾性係数試験
  • 覆工電磁波レーダー探査による空洞調査
  • 目視・打音検査

4. 他の工事案件の調査結果

北海道・北陸・西九州新幹線に関連する工事につきましては、竣工済の案件を含め、品質管理記録による確認及び現場代理人、監理技術者、施工管理者(コンクリート)へのヒアリングによる確認を実施した結果、虚偽報告は確認されませんでした。

また、他の当社施工中の同種の工事案件につきましても、コンクリートの品質管理試験実施状況などを調査した結果、問題のある工事は確認されませんでした。

5. 原因究明と再発防止対策

原因究明のためのヒアリング等の結果、コンプライアンス意識の不足、品質管理に関する基本的認識の不足、作業所における報連相の不足、マネジメント能力の不足、品質管理体制の不備が当事案の主要因であることを確認しました。これらの原因の分析・精査を踏まえ、以下の再発防止対策を講じてまいります。

【役職員教育の徹底】

  • 全役職員を対象とする教育(定期研修に加え、緊急のコンプライアンス教育を実施)
  • 若手職員(管理職未満)を対象とする品質管理・コンプライアンス研修
  • 管理職を対象とするマネジメント・コンプライアンス研修

【品質管理体制の強化】

  • 組織体制の強化
  • 品質マネジメントシステムにおける品質管理の強化

【作業所における諸問題の把握】

  • 作業所職員に対するヒアリングの実施

併せて羊蹄トンネル作業所においては、その特性を踏まえた社員教育の徹底、コンクリート試験体制の強化、管理体制の強化及び不正防止のための仕組みの構築を通じ、再発防止に努めてまいります。
また他の作業所においては、羊蹄トンネル作業所における再発防止対策を全社展開し、類似工事を施工する各作業所の特性に応じた対策をとることを検討いたします。

6. 指名停止措置について

当事案の発生を受けて、発注者様より以下の内容の指名停止措置の通知を受領いたしました。

  • 指名停止の期間
    2023年6月28日から2023年8月8日(6週間)
  • 指名停止の措置対象地区
    北海道地区

7. 役員報酬の減額について

当社の信頼を著しく失墜させる事案が発生したことを真摯に受け止め、経営責任を明確にするため、以下のとおり役員報酬を減額いたします。

  • 役員報酬の減額内容
    代表取締役社長                報酬月額の20%を減額
    代表取締役 執行役員副社長 土木全般     報酬月額の15%を減額
    取締役 専務執行役員 コンプライアンス担当  報酬月額の10%を減額
    取締役 専務執行役員 土木事業本部長     報酬月額の10%を減額
    常務執行役員 北海道支店長          報酬月額の10%を減額
  • 対象期間
    2023年7月から3カ月

8. 今後の見通し

当事案において、調査費用等は発生しましたが、対象コンクリートに係る是正工事は生じないため、今期の業績予想に変更はありません。

「3. 健全性の確認」「4. 他の工事案件の調査結果」「5. 原因究明と再発防止対策」につきましては、社長を委員長とする特任対策委員会にて議論を重ねて検討し、経営から独立した法遵守監査委員会の監視・指導・勧告を受けたうえで発注者様へご報告している内容となっております。
当社は「ものづくりの原点」に立ち返り、確かな品質こそが「信頼」の核であることを再認識し、信頼回復に向け、不退転の決意をもって再発防止に努めてまいります。

別紙「コンクリート品質試験に係る 虚偽報告の原因究明及び再発防止について」 東証開示資料

お問い合わせ先

株式会社熊谷組 
経営戦略室 広報部  
電話 03-3235-8155
経営戦略室 サステナビリティ推進部
電話 03-3235-8114