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熊谷組、生産性向上に資する サプライチェーンマネジメントシステムを開発

2022年12月20日

 株式会社熊谷組(代表取締役社長 櫻野 泰則)は、クラウドを活用したサプライチェーンマネジメントにより生産性向上を図る「コッター床版品質管理システムKIS-C (Kumagaigumi Information System for Cotter Slab)」を開発しました。

 「KIS-C」は、コッター床版工法に関連する部材製造工場(継手製造工場、PC床版製造工場)と施工現場の品質管理データをクラウド上で一元管理することが可能です。さらに部材の製造番号と品質管理情報を紐づけることで、維持管理時に製造番号ごとの製造情報、該当する部材の使用箇所等のトレーサビリティ管理が可能です。
 これまで、製造工場で行われる品質管理は、それぞれ独立した品質管理システムによって運用されていましたが、各工場と施工現場の品質管理データをクラウド上で運用することにより、部材製品の流れとリアルタイムに情報の共有、確認、管理することが可能となるサプライチェーンマネジメントが実現できます。
 煩雑なデータ整理やデータ再入力の必要がなく、現場管理業務の省力化、製造工場-現場間の連携強化につながるため、現場の生産性向上を図ることが可能となります。
 現場運用の想定では、コッター床版工法の現場管理業務を50%削減、従来工法(ループ式継手)の現場管理業務と比較すると約80%を削減できます。

1. コッター床版工法の概要

 コッター床版工法[NETIS登録No.KT-180108-A]とは、プレキャスト床版を機械式継手であるコッター式継手で接合するもので、急速施工、省人化、高品質化、取替性(メンテナンス性)の向上を目的に開発された工法です。継手はC型金物とH型金物があり、これらを組み合わせてボルトで締結し、専用の目地材を充てんして床版同士を接合します。
現場の品質管理の一つとして、ボルト締結時の締付トルク値を管理しています。

図-1 コッター床版工法概要 
図-1 コッター床版工法概要 
写真-1 コッター式継手
写真-1 コッター式継手

2. KIS-Cの概要

 今回開発した「KIS-C」は、コッター床版工法に関連する部材製造工場(継手製造工場、PC床版製造工場)と施工現場の間で、製品の流れに合わせてリアルタイムに情報共有することで、施工全体の最適化を図るサプライチェーンマネジメントシステムです。
 従来の品質管理は、部材製造工場と施工者、発注者間で品質管理資料を紙面で共有していましたが、KIS-Cは、部材製造から出荷納品まで品質管理情報をクラウド上で一元管理することで、部材製造工場をはじめとする工事関係者がリアルタイムに品質管理情報を確認、連携することができます。さらに部材の製造番号と品質管理情報を紐づけることで、維持管理時に製造番号ごとの製造情報、該当する部材の使用箇所等のトレーサビリティ管理が可能です。このような管理により部材の製造品質の信頼性向上、業務の効率化、品質の向上ひいては生産性の向上が期待できます。

図-2 KIS-C システム構成
図-2 KIS-C システム構成

-KIS-Cの特徴・効果-

(1) サプライチェーンマネジメントによる連携強化、施工全体の最適化

 工場・現場間で製品の製造・出荷納品・施工状況などの動きに併せて情報共有することで、工場現場間の連携強化や施工全体の最適化を図ることが可能です。

(2)トレーサビリティ管理による製造品質の信頼性向上

 部材の製造番号と品質管理情報を紐づけることにより維持管理の際でも、製造番号ごとに製造時・施工時の情報をいつでもたどることができます。

(3)クラウドを活用した品質情報の一元管理

 従来は各社・担当者個人が品質資料を管理していましたが、クラウドで一元管理することで、いつでもどこでも最新の品質資料を確認することができます。

(4)CIMを活用した合意形成の迅速化

 モデルで表現したコッター床版・コッター式継手に製造番号毎の品質資料や現場試験データを付与することにより、トレーサビリティの実現と、工事関係者間の迅速な情報共有、合意形成が期待できます。

3. 現場での運用

 KIS-Cの運用は、次の3ステップになります。 

3-1. 製造工場による品質管理資料の共有

 コッター床版を構成する部材の製造工場(継手製造工場、PC床版製造工場)が製造時の品質管理資料をクラウド上に保存します。この時、品質管理資料は製造番号と関連付けて保存されます。

3-2. 締付ボルトのトルク管理(締付トルク値の記録)

 KIS-Cにおける現場の品質管理は、施工現場において管理している締付ボルトのトルク値管理になります。
 トルクレンチで計測したトルク値が、タブレットを通じてクラウド上に自動記録されるため、これまでのように野帳への記録やデータ再入力の必要がありません。タブレットではトルク値管理と同時に、継手位置情報とコッター式継手の製造番号を記録します。これにより、部材の製造情報と使用箇所を関連付け、トレーサビリティ管理が可能です。

写真-2 現場ボルト締結作業
写真-2 現場ボルト締結作業
図-3 タブレット画面(締付トルク管理)
図-3 タブレット画面(締付トルク管理)

3-3. 情報管理

 情報管理画面(図-4)では、床版と継手が模擬的に表示されます。
 確認したい部材をクリックすると、必要な品質管理情報が表示され閲覧、出力することができます。また、各種帳票類の出力や品質管理報告書を自動作成する機能があります。
 コッター床版の簡易設計モデルに属性情報として製造時・施工時の品質管理情報を付与することで、トレーサビリティ管理を実現することが可能となります

図-4 KIS-C 管理画面
図-4 KIS-C 管理画面

3-4. 導入効果

 1日施工量(床版取替延長15m)あたりの現場管理(締付ボルトのトルク値管理)を想定すると、これまでは、現場計測とデータ整理、調書作成で約1.5時間を要していました。
 当システムを導入した場合、現場で計測するトルク値は、計測時にクラウド上に自動保存されるため、野帳への記入、データ整理や調書作成の必要がありません。このため、現場管理業務を50%削減(従来96分、KIS-C48分)することが可能です。
 また、従来工法(ループ式継手)とコッター床版工法のKIS-Cによる場合を比較すると、現場管理業務を約80%削減(ループ式継手231分、KIS-C48分)することが可能です。

 今後は、弊社の床版取替現場にて運用し、使用実績を積み重ねることにより、現場の生産性向上を図っていきます。
 当システムは、熊谷組が推進するDX(Kumagai Deep Smarts)の取り組みの一環となり、コッター床版工法に限らず、様々な工法(工種)への対応を進めています。

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株式会社熊谷組 コーポレートコミュニケーション部 広報グループ
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