CLTを用いた「木質耐震垂れ壁構法」を開発 ~ 鉄骨造とのハイブリッド構造に積極採用を目指す ~
2022年06月10日
株式会社熊谷組(取締役社長:櫻野 泰則)は、東京大学(農学生命科学研究科 稲山 正弘教授)と銘建工業株式会社(代表取締役社長:中島 浩一郎)と共同で、「木質耐震垂れ壁構法」を開発しました。
本構法は鉄骨造の建物にCLT※1の木質耐震垂れ壁を耐震要素として組み込んだ構法で、2022年4月に一般財団法人日本建築総合試験所の建築技術性能証明※2を取得したものです。今回共同開発した構法をオフィスビルや商業施設などの中高層建築物に導入することで、都市の木質化を推進し、持続可能な社会の実現に貢献していきます。
※1:直交集成板(Cross Laminated Timber)の略。
※2:新しく開発された建築技術の性能を(一財)日本建築総合試験所が第三者の立場から審査し、その技術が保有する性能について、性能証明書を発行するもの。
1.開発の背景
当社では、今後需要が高まると予測される中大規模の木造建築の実現に向けて技術開発を進めています。このたび、中高層のオフィスビルや商業施設への適用を想定し、鉄骨造の建物にCLTの木質垂れ壁を耐震要素として組み込んだ「木質耐震垂れ壁構法」を開発しました。この木質垂れ壁は、地震に対して高い抵抗力を発揮する耐震性能と、建築物に木質感を表現できる意匠性を兼ね備えた部材として使うことができます。木質垂れ壁を耐震要素として組み込むことで、耐火建築物でも木材の「あらわし」※3での利用が可能となります。本構法により、木材をふんだんに使い、室内外から木質感を感じられるような空間を実現できます。
※3:木材の構造部材を素材そのままの仕上げとすること
2.技術の概要
本構法は、鉄骨造の柱にCLTの木質垂れ壁を接合します。地震時には鉄骨柱と木質垂れ壁のフレームがラーメン構造の働きをすることによって耐震性能を発揮する仕組みです。鉄骨柱と木質垂れ壁の接合部の性能が本構法で構成する建物全体の性能に大きく関係するため、実験を行って数多くの接合部の性能を確認しています。
今回取得した建築技術性能証明では、この木質垂れ壁を用いた構法について実験と解析に基づいて性能を算定し、設計施工指針を取りまとめたものに対して評価を受けました。
3.今後の展開
本件は、「木質耐震垂れ壁構法」について性能証明を取得したものです。当社では、今後、本構法の実物件採用に向けて取り組むとともに、都市の木化を通じた持続可能な社会の実現のために、更なる研究開発を進めてまいります。
お問い合わせ先
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株式会社熊谷組 技術本部 新技術創造センター 木材利用開発グループ
担当 : 三宅 朗彦 (電話 03-3235-8617)