熊谷組 福井本店の建替工事の着手について 耐火木造+ZEBによる次世代都市型コンパクトオフィスの実現

2020年09月02日

株式会社熊谷組(取締役社長 櫻野 泰則)は、耐火木材とZEB(Zero Energy Building)※1化による新たな福井本店の建設工事に着手します。
新たな本店ビルは、未来に向けた当社の取り組みを具現化。SDGsの課題の中から10項目について、「建築構造」「地球環境」「職場環境」の側面からアプローチし、持続可能な社会の形成に貢献する次世代都市型コンパクトオフィスの実現を目指します。

1. 福井本店建替えの背景

福井で創業した当社は、1938(昭和13)年に旧本店の地(福井市中央2丁目6-8)に株式会社熊谷組を設立しました。その後、1964(昭和39)年に本社機能を東京に移してからも、現在まで半世紀以上に亘って創業地・福井を本店としてきました。当社創業120周年にともない、旧本店の建物が老朽化したことから、2018(平成30)年に解体し、今般、同地に新築します。
このプロジェクトは、昨年(2019年)完成した宿布発電所跡公園の整備事業と一体をなす、当社創業地(ルーツ)の整備事業の一環であり、館内にはオフィススペースのほかに、当社創業120年の歴史と創業の精神を次世代の社員に伝承する展示室も設けます。

福井本店・外観イメージ
事務室内観イメージ

2.建設計画の概要

 新本店ビルは、福井本店および福井営業所の機能を有するオフィスビルであり、『熊谷組の「歴史」と「未来」を具現化する、起業の地に相応しい建物』をコンセプトに計画しました。さらに、当社の取り組みの実証と市場への展開を視野に入れ、環境負荷低減と快適性・生産性の向上を兼ね備えた先進的事例として、木造建築とZEBを採用しました。主な取り組みを以下に示します。

① 中高層木造建築を視野にいれた耐火木材の採用
木造建築の普及はカーボンニュートラルの観点からも注目されています。構造体は、当社が目指す中高層木造建築の実現を見すえた、鉄骨造と木造のハイブリット構造です。耐火木材には、当社が独自に開発した木質耐火部材「断熱耐火λ-WOOD®(ラムダウッド)」を採用します。木造部分には8mのロングスパンを採用し、大断面集成材による柱・梁、CLT耐震壁を併用します。北陸の厳しい冬の積雪荷重にも耐えられる都市木造建築です。

② 立地・建物形状的に難しい都市型コンパクトオフィスビルのZEB化への挑戦
ZEBの実現・普及は、我が国のエネルギー需給構造の抜本的改善の切り札であり、政府のエネルギー基本計画における政策目標を達成するために重要な取り組みのひとつです。新本店ビルの建設地がある北陸地域は日本海型気候であり、狭小地のためZEBを目指すには、多くの制約がありました。これに対して超省エネルギー化を実現するため、外皮性能の「高断熱化」、高効率空気熱源ヒートポンプの搬送動力低減を図り、室内の湿度環境に視点をおいた「潜顕熱分離空調※4による床吹出放射空調」、「タスク&アンビエント照明」などの各種手法を採用します。さらに、屋上面の太陽光発電パネルに加え、外壁面にライトスルー型両面発電タイプのパネルを設置し、都市型コンパクトオフィスビルでのZEB化(Nearly ZEB)を実現します。
さらに多雨地域であることからZWB(Zero Water Building)の試みとして、雨水利用を採用し水資源の保護に努めます。

③ 社員の健康増進と快適性・知的生産性の向上を推進
壁面緑化やルーバーなどを用いて日射を抑制しつつ開口面積を確保し、木造梁や木質仕上げを「現し」とし明るく開放的な空間を実現します。さらに、社員の休憩・打合せスペースを充実させ、ABW(Activity Based Working)を導入するなど、働くための健康的な環境を重視したスマートウェルネスオフィスとします。

④ 地域に根差し、地域と共に歩み続けるオフィス
新本店ビルは、雨水利用や蓄電池設備を採用するなど、BCP(事業継続計画)に対応します。
また、建物内には越前和紙や地元産の杉材を使用し、外構には緑化やオープンスペースを確保します。当社創業の工事で、福井県初の水力発電所である「宿布発電所」で実際に使われた石積みを再利用します。建物内には当社の創業120年の歴史を紹介し、先達の文化的遺産を展示する展示室を設け、地域の皆様にも開放する予定です。

⑤ 住友林業との協業
木造の採用においては、当社と業務・資本提携している住友林業とも協業し、材料や耐火をはじめとする技術的な面においても連携を図っています。また、今後の中大規模木造建築への展開につなげていきます。

⑥ 建物のブランディング
環境認証制度として、CASBEE※2建築:Sランク、CASBEEウェルネスオフィス:Sランク、LEED※3:Goldの認証取得とZEBリーディングオーナーの登録も目指します。なお、本計画は、一般社団法人静岡県環境資源協会が公募する『令和2年度 ZEB 実現に向けた先進的省エネルギー建築物実証事業』へ応募し、この度採択を受けました。

※1.ZEB
(NET Zero Energy Building)

建築物における一次エネルギー消費量を、建築物・設備の省エネ性能の向上、エネルギーの面的利用、オンサイトでの再生可能エネルギーの活用等により削減し、年間での一次エネルギー消費量が正味(ネット)でゼロ又は概ねゼロとなる建築物をいいます。

※2.CASBEE
(Comprehensive Assessment System for Built Environment Efficiency)

CASBEE(建築環境総合性能評価システム)は、建築物の環境性能の格付手法。省エネルギーや環境負荷の少ない資機材の使用といった環境配慮、室内の快適性や景観への配慮なども含めた建物の品質を総合的に評価します。

※3.LEED
(Leadership in energy and Environmental Design)

米国の非営利団体である米国グリーンビルディング評議会(USGBC:US Green Building Council)により開発された、環境配慮型建築物の格付けシステムです。

※4.潜顕分離空調

潜熱(主に湿度)と顕熱(主に温度)を分けて、空気を処理するシステムで、温熱環境にて快適性を実現できます。

3.今後の展開

建物の完成後は、ウェルネスオフィスとして働き方改革を実現し生産性の向上を図ると共に、環境負荷低減のデータ収集を実施してまいります。また、この実績を今後の中高層木造建築における技術開発へとつなげ、お客様に積極的な展開を図ることで、基本計画から一貫して木造建築やZEBに代表される環境配慮型の建築物の普及に貢献しSDGsが目標とする課題に取り組んでまいります。

参考資料

福井本店の概要

項 目      概 要
計画地 福井県福井市中央2丁目6-8
敷地面積  565.51㎡
建築面積  299.35㎡
延床面積  1,190.85㎡
構 造 鉄骨造+木造 地上4階 耐火建築
工 期 2020年9月~2021年7月
用 途 1階:エントランスホール、会議室 2階:展示室、打合せスペース、3・4階:事務室
項 目 ZEB導入技術
建 築 日射遮蔽、昼光利用(ライトシェルフ)、高断熱、木質材料等
給排水衛生 小水量器具、雨水利用
空調・換気 高効率空気熱源ヒートポンプ、潜顕分離空調、床吹出放射空調、BEMS等
電 気

高効率トランス、照明制御、蓄電池、太陽光発電(ライトスルー型両面発電タイプ)

福井本店建替計画で取り組むSDGs課題

ゴール 福井本店建替計画での取組

「ジェンダー平等を実現しよう」
ジェンダー平等を達成し、全ての女性及び女児の能力強化を行う

女性も働きやすい環境の整備

「安全な水とトイレを世界中に」
全ての人々の水と衛生の利用可能性と持続可能な管理を確保する

雨水利用、節水器具

「エネルギーをみんなにそしてクリーンに」
全ての人々の、安価かつ信頼できる持続可能な近代的エネルギーへのアクセスを確保する

太陽光発電、蓄電池
ZEB、BEMSによるエネルギーマネジメント
包摂的かつ持続可能な経済成長及び全ての人々の完全かつ生産的な雇用と働きがいのある人間らしい雇用を促進する 働き方改革の推進、社員の健康
社員の創造性、知的生産性、快適性を高める空間
ゼロエミッションの取組、リサイクル材の使用、廃棄物削減による省資源化の推進、建物の長寿命化

「産業と技術革新の基盤をつくろう」
強靭なインフラ構築、包摂的かつ持続可能な産業化の促進及びイノベーションの推進を図る

働き方改革の推進、生産性向上

環境配慮技術の改善、リサイクル材の使用、λ-wood🄬の開発・採用

「住み続けられるまちづくりを」
包摂的で安全かつ強靭で持続可能な都市及び人間居住を実現する

建築物の高耐震化、次世代オフィスの開発、ZEB
LEED、CASBEE-スマートウェルネスオフィス認証の取得
自然災害への安全性を高めた計画
緑地の計画

「つくる責任 つかう責任」
持続可能な生産消費形態を確保する

木造/木質建築・CLTの採用
低ホルムアルデヒド建材、リサイクル材の使用
建設副産物の削減,、建設時のCO2排出量削減

「気候変動に具体的な対策を」
気候変動及びその影響を軽減するための緊急対策を講じる

ZEB、蓄電池、非常時排水槽

「陸の豊かさを守ろう」
陸域生態系の保護、回復、持続可能な利用の推進、持続可能な森林の経営、砂漠化への対処、並びに土地の劣化の阻止・回復及び生物多様性の損失を阻止する

都市緑化の推進、森林の適切な維持管理及び間伐材などの活用による生物多様性の保全
木材活用による持続的な森林資源の利用

「パートナーシップで目標を達成しよう」
持続可能な開発に向けて実施手段を強化し、グローバル・パートナーシップを活性化する

住友林業との協業

記事に関するお問合せ先

熊谷組 経営企画本部 コーポレートコミュニケーション室 広報グループ
電話 03-3235-8155