KMLAセンサーの開発
2020年12月01日
株式会社熊谷組は、「KMLA(Kumagai Magnet Light Alarm)センサー」を開発いたしましたことをお知らせします。
本センサーは、鋼製の部材に設置することで、部材に閾値以上のひずみが生じた時に光のアラームを発し、危険の可視化を行うものです。本センサーを採用することで、開削工事などで土留支保工の部材に変状が生じた時、光アラームを発することにより作業者がリアルタイムで危険を察知することができます。また本センサーは、設置に特殊な技能を必要としません。
1.開発の背景
地盤の開削工事などで土留支保工に変状が発生した場合、仮設・本設構造物に影響を及ぼすだけでなく、作業中の人命に関わります。特に土留支保工の変状が予測される場合は、部材に軸力計やひずみゲージなどを設置し、計測管理を行いながら施工します。しかし、一般にこのような計測は、専門的な知識がある者が行うため、実際に作業中の者へ変状の情報をリアルタイムに伝えることは、容易ではありません。
そこで、部材に変状が発生したとき、周囲に危険を知らせて避難を促すことによって現場の安全性を向上させる本センサーを開発しました。
2. KMLAセンサーの概要と利点
本センサーは、土留支保工などの鋼材に磁石によって設置でき、鋼材のひずみを感知するセンサーです。センサーの閾値は0μから900μの間で、100μ刻みで設定でき、設定された閾値以上のひずみを感知した際は、センサー中央の警報LEDが点灯する仕組みとなっています。
KMLAセンサーの写真(左:側面 右:正面)
① 設置の手軽さ
一般的に部材のひずみや軸力を計測する場合、軸力計やひずみゲージなどが用いられますが、これらは設置に専門的な技能が必要で、また設置後の移動は困難です。これに対して、本センサーは磁石で手軽に設置でき、取り外しも容易なため、設置に専門的な技能を必要とせず、また工事の進捗に合わせて、より大きな負荷が想定される部材にセンサーを設置しなおすことも可能です。
② 危険の可視化
工事現場の計測工は、一般にひずみゲージなどからの計測データを専門的な知識のある者が分析し行うため、作業中の者へリアルタイムで情報を伝えることは容易ではありません。これに対して本センサーは、設置した部材に変状が生じた場合、警報LEDが点灯し、作業中の者が目視で危険を察知して早期に避難を開始できるため、現場の安全性の向上が期待できます。
現場での実証実験状況(左:KMLAセンサー設置状況 右:センサー点灯状況)
3.検証実験結果
本センサーは、鋼材に生じたひずみを磁石を介して計測部に伝達させることで、ひずみの感知を行います。実際の土留支保工を想定した検証実験を行い、計測部のひずみから求めた鋼材ひずみの推定値が、実際の鋼材ひずみと良好に一致することを確認しました。
4.適用範囲
土留支保工など、軸方向力の変化を計測したい鋼材が対象となります。
センサーの反応する閾値は、0μから900μまで100μ刻みで設定できます。
5.今後の展開
今後は、本センサーを商品化し、現場での実用を通じてセンサーの合理化と生産性の向上を推進する予定です。
お問い合わせ先
[本リリースに関するお問い合わせ先]
株式会社熊谷組 経営企画本部
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[本工法に関するお問い合わせ先]
株式会社熊谷組 技術研究所
担当 : 槇 駿介 (電話 029-847-7505)