大山ダムホタルビオトープのJHEP認証を更新
2020年11月13日
株式会社熊谷組
独立行政法人水資源機構
株式会社熊谷組(取締役社長 櫻野 泰則)と独立行政法人水資源機構(理事長 金尾 健司)は,大山ダム(大分県日田市)内に設置した「ホタルビオトープ」について,2015年に生物多様性の保全や向上に貢献する取り組みを定量評価する認証制度であるJHEP認証を取得いたしましたが,本年11月に同認証の更新を行いました。今後も,ホタルビオトープの保全管理を継続していき,生物多様性の保全および回復に貢献していきたいと考えています。
1.JHEP認証制度とは
JHEPは、公益財団法人 日本生態系協会が、アメリカで開発され、環境アセスメントなどで用いられている「ハビタット評価手法HEP」をもとに開発した環境評価方法です。
JHEP認証制度は、この評価手法を用いて当該地域の指標となるような植生や野生の生物の住みやすさを「事業前の過去の状況」と「事業実施後の状況」について、客観的、定量的に評価し、ランク付けするもので、生物多様性保全への取り組みを啓発・普及させることを目的としています。
※1 Japan Habitat Evaluation and Certification Programの略。
2.認証対象事業の概要
大山ダムは、独立行政法人水資源機構により発注され、熊谷組が大分県日田市筑後川水系赤石川に施工した総貯水量1960万m3、湛水面積60haの多目的ダムです。
大山ダムホタルビオトープは、ダム建設地の日田市が昔からゲンジボタルの里として有名な地域であることから、地域への貢献や地元の子ども達への環境教育の場づくりを目的に設置されました。
ホタルビオトープの設置場所は、複数の候補地から水の供給や水質、立地条件などを比較し、大山ダム上流の赤石川右岸側に決定しました。ビオトープには、ゲンジボタルが生息する場として、蛇行した「せせらぎ」と、瀬や淵のある池を配置し、周囲には近辺で自生している在来種の樹木や植物などを選定し、移植しました。
また、ビオトープの施工完了後には、ダム下流の大山川で採取したゲンジボタルの成虫から産卵・孵化させた幼虫を水路や池に放流しました。
(1)事業名称:大山ダムホタルビオトープ
(2)所在地 :大分県日田市大山町西大山(大山ダム上流右岸)
(3)区域面積:約270m2
(4)施工期間:2008年9月~10月
(5)事業実施者:株式会社熊谷組・独立行政法人水資源機構
(6)生物多様性保全に対する取組みの主な内容
・地域性種苗による緑化や既存樹木の移植
・ゲンジボタルの生育に適した環境(底質、水深、流速等)の創出
・ダム下流の河川で捕獲した成虫から産卵、孵化させたゲンジボタルの幼虫を放流
・現地発生土の使用
3.大山ダムホタルビオトープの評価概要
(1)評価方法
大山ダムホタルビオトープが完成した2008年を基準年として、生物多様性の価値(ハビタット評価値)について、過去30年間の平均値と事業実施による50年後の予測値を比較し、AAA~Pまでの7段階で評価されます。
生物多様性の価値は、動物の住みやすさと植生の地域らしさ(ハビタット得点)で表されます。
(2)認証初年度(2015)の評価結果
認証初年度(2015)の評価結果は、樹林環境、湿性環境のいずれとも事業で得られるハビタット得点が、評価基準値を上回ることが分かりました。
その結果、本事業はJHEP認証事業に該当することが認められ、最終的な評価ランクはA+が得られ、ホタルが生息する湿性環境を含むビオトープとしては、国内で初めての認証取得 となりました。
(3)認証継続時(2020)の評価結果
認証継続時(2020)の評価結果は、調査結果として量的な樹林環境は確保されており、概ね予測通りの樹木の生長が確認されました。また、ゲンジボタルの生息地として整備された水辺の環境も維持されており、 全体として計画通りに維持管理されていることが確認されました。評価値は前回認証時からさらに向上しましたが、最終的な評価ランクはA+となり、前回と同様の評価を得ることが出来ました。
4.今後の展開
このたび、大山ダムホタルビオトープのJHEP認証継続により、水資源機構と熊谷組の取り組みが生物多様性に貢献している「社会的証明」になることが期待できます。
今後は日田市の豊かな自然環境および生態系の保全・回復・創出といった環境活動のシンボルとして大山ダムホタルビオトープを積極的に普及展開していく予定です。
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