「コッター床版工法」の事業化に向けた共同事業契約を締結

2019年02月08日

実用化試験を完了し、実施工への導入に向けた準備を開始

株式会社熊谷組(代表取締役社長:櫻野泰則)と株式会社ガイアート(代表取締役社長:山本健司、本社:東京都新宿区)、オリエンタル白石株式会社(代表取締役社長:大野達也、本社:東京都江東区)、ジオスター株式会社(代表取締役社長:端山真吾、本社:東京都文京区)(以下、「開発4社」という)は、共同で開発した「コッター式継手を用いた道路橋プレキャストPC床版(コッター床版工法[NETIS登録No.KT-180108-A])」について、実用化のための試験をすべて完了し、事業化に向けた共同事業契約を締結いたしました。

1. コッター床版工法とは

コッター床版工法は、供用中の道路における橋梁床版の取り替え工事に用いる技術です。コッター式継手を用いてプレキャスト床版を接合することで、従来の工法に比べてより速い施工が可能です。接合は床版に埋設されているC型金物にくさび状のH型金物を挿入し、固定用ボルトを締め込むことで十分な接合強度を確保します。

コッター床版工法の特徴・利点

(1)急速施工・省人化が可能
現場での鉄筋・型枠組立作業が不要で、床版の設置から接合までの作業日数を約50%短縮、作業人員を約60%低減することが可能です。

(2)床版面積の99%をプレキャスト化
従来工法は、プレキャスト床版の接合部に幅30cm~40cmの現場打ち部分(間詰めコンクリート部)が必要でしたが、本工法の接合部は2cmの目地となり、床版面積の99%をプレキャスト化できます。

(3)熟練工が不要
接合作業が、ボルトを締め付けるだけの簡単な作業で済むため、従来工法のような熟練工(鉄筋工、型枠工など)が不要です。

(4)将来、部分的な取り替えが容易
コッター床版は接合部のH型金物を切断しても、まわりの床版の強度に影響しないため、部分的な床版取り替えが容易であり、供用後のメンテナンス性や、災害時の早期復旧等においても優れた性能を有しています。

実用化試験の完了

コッター床版の性能確認試験として、輪荷重走行疲労試験(平成28年8月)を実施し、100年相当以上の耐久性を有すること、従来工法(ループ継手工法)と同等の疲労耐久性を有すること、さらにひび割れ抵抗性に優れることを確認しました。

橋梁では、下の図のように、正曲げ区間(下側に変形する区間)と負曲げ区間(上側に変形する区間)があり、これまでの試験は正曲げ区間を対象としていたため、コッター床版の適用範囲に制限がありました。このたびの試験では、負曲げ区間においても正曲げ区間と同様の性能が確認され、全区間においてコッター床版の適用が可能となり、実用化のための試験はすべて完了しました。

2. 共同事業契約の締結

実用化試験が完了したことから、開発4社はコッター床版工法を広く市場に普及させるため、同工法の事業化に向けて共同事業契約を締結しました。(2018年11月30日付)
今後は、コッター式継手の設計、製造、販売を行う事業体制を検討するとともに、さしあたり高速道路のリニューアルプロジェクトでの採用を目指す予定です。また、同工法の施工実績をかさね、海外への展開も視野に入れて更なる技術の進化に取り組んでまいります。

本リリースに記載している内容は発表日時点のものですので、あらかじめご了承願います。

[本リリースについてのお問い合わせ先]
株式会社熊谷組 コーポレートコミュニケーション室 広報グループ  電話 03-3235-8155

[技術に関するお問合せ先]
株式会社 熊谷組 土木事業本部 橋梁イノベーション事業部 電話 03-3235-8646