集合住宅に使用されている乾式二重床の音環境に関する手引書 「集合住宅の音環境―乾式二重床のQ&A―」 ・「シリーズ建築の音環境入門 10周年記念号」を発刊

2019年07月26日

 株式会社熊谷組(取締役社長 櫻野泰則 本社:東京都新宿区)は信州大学名誉教授山下恭弘監修のもと泰成株式会社(代表取締役社長 清水雅弘 本社:長野県駒ヶ根市)、フジモリ産業株式会社(代表取締役会長兼社長 藤森行彦 本社:東京都品川区)、野原産業株式会社(代表取締役社長 村田孝幸 本社:東京都新宿区)、万協株式会社(代表取締役社長 清水雅弘 本社:東京都品川区)、有限会社音研(代表取締役 石川義治 本社:埼玉県八潮市)と共同で、「集合住宅の音環境―乾式二重床のQ&A―」、「シリーズ建築の音環境入門 10周年記念号」を発刊しましたのでお知らせします。

1.背景

 床衝撃音研究会では、2007年6月に「集合住宅の音環境―乾式二重床のQ&A―」として音環境に対する乾式二重床の性能をQ&A形式で分かりやすく解説した冊子を発刊しました。発刊後の2008年3月に「床材の床衝撃音低減性能の等級表記指針」(以下等級指針と略す)が示されました。等級指針は従来の「推定L等級」による表記での課題を解決し、さらに「標準型試験体」を規定しました。等級指針では、製品の床衝撃音低減性能を「部材性能」としてΔL等級で表示しており、デベロッパー各社も乾式二重床の仕様規定を等級指針に対応したものへと変更しました。

 生活のライフスタイルに合わせて間取りを変更できるような乾式二重床の開発も盛んに行われるようになってきており、上下階で異なる間取りとなる場合も増えてきました。

 このような背景から2013年1月に「集合住宅の音環境―乾式二重床のQ&A―(改訂)」を発刊しました。改訂では床衝撃音低減性能の確保に有利な「床先行工法」と「乾式二重床の施工上の留意点」についてそれぞれ新たに章を設けて詳しく解説しています。

 改訂から6年経過した今回、最近の新たな乾式二重床に関する知見(特に環境に配慮し合板を用いない乾式二重床)、実建物における床衝撃音遮断性能のデータの追加、共同住宅の基本設計から竣工までの間に音環境上配慮すべき事項、読者の皆様から寄せられた質問を基に「第6章 乾式二重床のQ&A」の見直し等を行い、「集合住宅の音環境―乾式二重床のQ&A―(改訂3版)」として発刊することになりました。なお、今回の改訂版から電子データで提供します。

 また、床衝撃音研究会では、デベロッパー、設計事務所、建設会社などの技術者向けの小冊子「シリーズ 建築の音環境入門」を2008年11月から発刊しております。読者の皆様からご意見やご要望を伺いながら、「読みやすくわかりやすい内容」と「適度なボリューム」を編集方針に掲げて継続して制作しており、2019年7月に発刊するNo.119・120が10周年記念号となります。

 本シリーズでは、これまで乾式二重床についても多く取り上げております。今回の「集合住宅の音環境―乾式二重床のQ&A―」の発刊に合わせて、10周年記念号はその概要を紹介する特集号としました。

2.概要

 「改訂3版」では、共同住宅のリノベーション等が増えてきていることから乾式二重床の歴史について「第1版」の内容を再録しました。乾式二重床の性能試験や評価方法については、床衝撃音低減性能以外に重要と考えられる性能に関する解説を追加しました。また、環境に配慮した乾式二重床(下地材として合板の替わりにガラス繊維不織布入りせっこう板を使用)を基本とし、設計・施工時の留意点や新たな知見を解説しています。

 「集合住宅の音環境―乾式二重床のQ&A―」の目次および乾式二重床のQ&A(6章)の一覧を別添に示します。目次の太字は今回の改訂で新しく収録または「第1版」から再録した内容です。

 この解説書は、以下のような特徴があります。
(1) 乾式二重床全般について幅広く取り上げ平易に説明。
(2) 乾式二重床を用いた共同住宅について床衝撃音レベルの実測データを紹介。
(3) 乾式二重床の音環境に関する疑問についてはQ&A形式でわかりやすく解説。
(4) 乾式二重床の構成部材、構造の断面などの豊富な図表を用いて説明。

 各章の主な内容は以下の通りです。


第1章 乾式二重床の基礎
 乾式二重床の歴史、乾式二重床とはどのような床仕上げ構造なのか、乾式二重床の特徴、性能の試験方法や性能の表記方法などについて解説しています。


第2章 乾式二重床の床衝撃音低減性能
 実際の建物における乾式二重床の構成部材、床端部などの納まり、工法等(床先行工法、壁先行工法)による床衝撃音低減性能の変化について測定データを用いて解説しています。さらに一定の床衝撃音遮断性能を確保できる納まり等を示しています。


第3章 床先行工法
 一定の床衝撃音遮断性能の確保にも有利な「床先行工法」について解説しています。


第4章 乾式二重床の設計・施工上の留意点
 共同住宅における乾式二重床の設計・施工上の留意点(基本計画、基本設計、実施設計、施工)について解説しています。


第5章 乾式二重床工法の測定データ集
 乾式二重床の床衝撃音遮断性能を測定した実例を紹介しています。5.1では乾式二重床工法の実建物居室における測定事例、5.2では共同住宅に採用されている乾式二重床仕様で、実験室での床衝撃音低減性能の測定事例、5.3では実建物の居室での床衝撃音遮断性能および床衝撃音レベル低減量の測定事例を紹介しています。


第6章 乾式二重床のQ&A
 「シリーズ 建築の音環境入門」の読者およびデベロッパー、設計事務所の方から寄せられた質問に対してQ&A形式で回答しています。前回の改訂では31問でしたが、「改定3版」ではQ&Aを見直し、34問としました。


第7章 参考資料
 「音・振動をめぐる法的判断」、「住宅性能表示制度における音環境の選択割合について」、「住宅リフォーム・紛争処理支援センターへの相談」、「共同住宅での住まい方」、「建築の音響・振動関連のJIS一覧」を追加しました。


第8章 乾式二重床の床衝撃音に関する文献
 1987年から2018年10月までに日本建築学会、日本音響学会、日本騒音制御工学会などで発表された乾式二重床の床衝撃音に関連する文献(468編)の一覧をテーマごとに分類して示しました。前回の改訂版から203編増加しています。

「集合住宅の音環境―乾式二重床のQ&A―(改訂3版)」の表紙(電子データ)
「シリーズ建築の音環境入門 10周年記念号」の表紙(冊子)

3.今後の展開

 今後、共同住宅の乾式二重床に関する重要なツールとして位置付け、デベロッパーや設計事務所などに対して積極的に提案していく予定です。さらに本手引書をご覧になった方から忌憚のない評価・意見を頂き、より使いやすい手引書に仕上げていくよう今後も継続的に検討をしてく予定でおります。
なお、本手引書は下記のどのホームページからでも申し込み頂けます。

株式会社熊谷組         https://www.kumagaigumi.co.jp/
泰成株式会社/万協株式会社   http://www.bankyo.co.jp/
フジモリ産業株式会社      https://www.fujimori.co.jp/
野原産業株式会社        https://www.nohara-inc.co.jp/
有限会社音研          http://www.otoken.co.jp/

本リリースに記載している内容は発表日時点のものですので、あらかじめご了承願います。

【お問い合わせ先】

[本リリースに関するお問い合わせ先]
株式会社 熊谷組 経営企画部本部 
コーポレートコミュニケーション室
電話03-3235-8155

[技術に関するお問い合わせ先]
株式会社 熊谷組 技術本部 技術研究所      泰成株式会社 開発技術グループ
室長:財満 健史                 部長:久米 智史
担当:黒木 拓                  担当:石丸 岳史
電話 029-847-7505                 電話 0265-83-1138

フジモリ産業株式会社               野原産業株式会社
取締役建材事業部長:浜口 浩孝          設計・積算システム部長:小林 秀樹
担当:小坂 直也                 電話 03-3355-4809
電話 03-5789-2381

万協株式会社                   有限会社 音研
取締役営業部長:三輪 顕弘            代表取締役:石川 義治
担当:北洞 武志                 担当:杉木 陽次
電話 03-5424-0707                 電話 03-6262-9930