ポリマーセメントモルタル「リペアエース」高速道路構造物や農業水利施設の要求性能(品質規格)に適合

2015年06月11日

 株式会社熊谷組(取締役社長 樋口 靖)は、株式会社ファテック(本社:東京都新宿区 取締役社長 青野 孝行)、RECOエンジニアリング株式会社(本社:東京都港区 取締役社長 佐藤 孝一)と共同で開発した断面修復材ポリマーセメントモルタル「リペアエース」が、高速道路構造物(NEXCO)の要求性能や農業水利施設(農林水産省)の品質規格に適合しましたのでお知らせします。

1.開発の経緯

 当社では、将来的にインフラ施設の改修工事の増加が見込まれることから、平成23年度よりコンクリート構造物の断面修復や、はく落防止として使用するポリマーセメントモルタル「リペアエース」の開発に取り組んできました。
開発から4年が経過し、現在は吹付け工法用と左官工法用の2種類の「リペアエース」がラインアップされ、それぞれに施工実績があります。
そして今般、「リペアエース」は吹付け工法用と左官工法用の両タイプがNEXCOの「構造物施工管理要領」における断面修復の要求性能を満たし、吹付け工法用のタイプが農林水産省の「農業水利施設の補修・補強工事に関するマニュアル【開水路補修編】(案)」に示された断面修復材の品質規格に適合していることを確認しました。

2.製品の概要

(1)「リペアエース」とは
 リペアエースはセメント、細骨材、ポリマー、混和剤、補強用繊維で構成されるプレミックスのポリマーセメントモルタルです。左官工法用と吹付け工法用の2種類があり、それぞれで配合が異なります。
 
  ① 左官工法用
   左官工法用のリペアエースは、袋詰めのプレミックス材料に適量の水を加えてミキサーで攪拌、
  混合した材料を人力により左官ゴテを使って材料を塗付けます。
  左官工法は、1箇所あたりの施工数量が少ない場合や施工箇所が点在している場合に適用されます。

  ② 吹付け工法用
   吹付け工法用のリペアエースは、左官工法と同様にあらかじめミキサーで攪拌、混合した材料を
  モルタルポンプで圧送し、コンプレッサーで圧縮した空気を利用してノズル先端から材料を噴出さ
  せて吹付けます。吹付け工法は、1箇所あたりの施工数量が多い場合や鉄筋の背面など左官工法が
  困難な場所に適用されます。
   また、急結剤を併用することで、1回あたりの吹付け厚さを厚くしたい場合や早期に強度発現が
  必要な場合にも適応が可能です。急結剤は専用のポンプでノズルに供給しモルタルと混合して吹付
  けます。
 


(2)さまざまな用途
 リペアエースの用途は、主にコンクリート構造物の断面修復です。コンクリートの中性化や塩害などによりコンクリート構造物内の鉄筋が腐食し、かぶりコンクリートがはく離、はく落して断面欠損した箇所を原形復旧するために用います。
 また、リペアエースは修復材として用いるだけでなく、ひび割れの密度や幅が大きく劣化が顕在化し、将来的にはく離、はく落のリスクがある箇所に対して吹付けることにより、予防保全を図ることが可能です。さらには、新設のシールドトンネルの施工におけるセグメントのボルトボックスの充填や、鋼製セグメントの凹部充填などに使用することもできます。
 急結剤との併用は、施工時間が終電から始発までの短い時間に限られ、使用した材料が始発列車の通過時までに適切な強度を発現していることが要求される、営業中の鉄道関連施設での改修工事などに適しています。また、災害による水路トンネルの崩落などの復旧工事で、早期通水が求められている場合などにも適用が可能です。



<実験状況>

<適用対象>

断面修復(高架スラブ下面)
はく落防止(既設シールドトンネル)
綱製セグメント充填(新設シールドトンネル)

3.製品の特徴

(1)評価方法既設コンクリートとの一体化が確保されます
 ・熱膨張率、弾性係数は通常のコンクリートと同程度
 ・安定した強度発現:圧縮強度は40N/mm2以上
 ・良好な付着性
  通常よりも厳しい環境(水中、湿潤、乾湿・温冷繰返し)条件でのコンクリートとの付着強度が1.5N/mm2以上


(2)高い耐久性を有しています
 ・低収縮性:長さ変化率が500μ以下
 ・ポリマーの働きにより組織構造が緻密となるため中性化抵抗性、凍結融解抵抗性、遮塩性が高い。
 ・高い耐磨耗性
  水流による摩耗量はJISモルタル以下。

4.今後の展開

 従来の製品に代わる新たな断面修復材として、ゼネコンや専門工事業者に広く普及販売していく予定です。また、塩害対策用として防錆剤(亜硝酸リチウム)入りのリペアエース(吹付け工法用)を開発中です。

以上

[お問い合わせ先]

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 担当:小坂田 泰宏 (電話03-3235-8155)

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 技術部長:森 康雄 (電話 03-3235-8646)

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