可塑性注入材「エコマックス」のプレミックス化(エコマックス TypePの開発)

2015年01月22日

 株式会社熊谷組(代表取締役社長 樋口 靖)は、株式会社ファテック(本社:東京都新宿区 取締役社長 青野 孝行)と共同で、可塑性注入材「エコマックス」をプレミックス化し、製品化しました。
 可塑性注入材はトンネルの覆工背面や各種構造物の基礎の下部の空洞に充填する材料として使用されます。今回製品化したエコマックスTypePは、平成19年に弊社で開発した可塑性注入材エコマックスの混和剤を粉体化し、小規模施工用に袋詰めしたもので、これまで、小規模工事に使用されてきた発泡モルタルよりも安価で、品質、耐久性に優れた材料です。

1.開発の背景

 弊社では平成19年にフライアッシュを配合した可塑性注入材「エコマックス」を開発して以降、フライアッシュを配合しない長距離圧送可能な「AZグラウト」、フライアッシュを配合し、長距離圧送も可能にした「スーパーエコマックス」を開発してきました。
 通常、上記のような可塑性注入材を使用して空洞充填する場合は、施工数量が数百~数千m3と規模が大きな工事でトンネル坑口など施工現場周辺に材料の製造プラントを設置してアジテーターカー(生コン車)で現場まで運搬するか、配管で圧送して空洞に充填します。
 しかし、空洞充填工事は必ずしも大規模なものばかりではなく、トンネルの坑口から現場までの距離が長く狭隘な作業空間であるなど特殊な施工条件の工事や、少量(100m3以下)での施工など規模が小さな工事もあります。このような場合には、これまでは注入材として発泡ウレタンが使用されてきました。しかし発泡ウレタンは強度が不安定で耐久性にも問題があり、一方、品質を求めて少量の可塑性注入材を使用するには材料を手作業で計量し混ぜるため、非常に手間がかかっていました。

2.製品の概要

 エコマックスTypePは、フライアッシュを大量に使用したプレミックスの可塑性注入材で、25kg/袋として供給されます。現場で所定の水を加えてミキサー(100Lまたは200L)で混合、攪拌するだけで可塑性注入材ができます。材料はモルタルポンプで圧送し、空洞に充填します。20m程度の圧送が可能です。
 可塑性、水中分離抵抗性を有するため限定注入が可能であり、水の豊富な環境でも施工が可能です。プレミックス材料は工場で製造されるため品質は安定しており、現場での計量は水だけであるため施工性は良好です。圧縮強度(材齢28日)は3~4N/mm2で、セメント系の材料であるため耐久性も良好です。
 圧縮強度が同程度である発泡ウレタン(12倍発泡)と比較すると、エコマックスTypePは材料費で2~3割、施工費も含めた施工単価(材工)は1割程度安価です。

水中分離抵抗性試験

3.製品の特徴

(1)強度
   圧縮強度(材齢28日)は3~4N/mm2で、通常の土砂地山(硬質粘土)程度の強度を有します。
(2)密度
   密度は15~16kN/m3で、通常のモルタルやコンクリートと比較すると軽量です。
(3)水中分離抵抗性
   材料を水中に投入して1時間経過しても材料周辺の水のpH、濁度はほとんど変化がなく高い
    水中分離抵抗性を有します。
(4)可塑性
   外から力を加えない状態ではほとんど変形せず、上下動の衝撃を与えると変形し広がりるため、
   空洞充填性が良好で限定注入が可能です。

4.今後の展開

 良好な水中分離抵抗性を有しますが、更なる改良を加えて水中での施工性を向上させます。また、施工中に、劣化した構造物への負荷を少なくするために更なる軽量化を図ります。
 また、鉄道の営業線における夜間作業などでも適用できるように早強性を有する材料、トンネル覆工の背面や構造物基礎の下部の空間充填材としてだけでなく構造物の補強材料として併用できるような高強度の材料をラインアップする予定です。
 なお、「エコマックスTypeP」の製造・販売は株式会社ファテックにて行います。

以上

[お問い合わせ先]

[本リリースに関するお問い合わせ先]
 株式会社 熊谷組 広報部
 部長:五十川 宏文
 担当:小坂田 泰宏 (電話03-3235-8155)

[技術に関するお問い合わせ先]
 株式会社 熊谷組 土木事業本部 インフラ再生事業部 
 技術部長:森 康雄(電話 03-3235-8646)

[製品に関するお問い合わせ先]
 株式会社 ファテック 開発営業部 
 担当:畑山 駿(電話 03-3235-6268)