那覇市国際通りに本格的なフルスペックシティホテル誕生 ホテルコレクティブ

工事概要

ホテルコレクティブ

所在地

沖縄県那覇市松尾 2-5-7

発 注 者

喜新琉球COLLECTIVE株式会社
工期

2017年11月1日~2019年10月31日

設 計 者

浅井謙建築研究所株式会社
インテリアデザイン: Studio MH (上海)

構造・規模

S造一部RC造 地下1階 地上13階 塔屋1階
敷地面積: 4,805㎡
建築面積: 2,934㎡
延床面稿: 26,588㎡

台湾の大手セメント会社が沖縄に大型フルスペックホテルを開業

2020 年1月6日、 沖縄県那覇市の観光スポットとしても人気の高い国際通りにソフトオープンした「ホテル コレクティブ 」。ゆいレール(沖縄都市モノレール線)の県庁前駅から徒歩約7分、国際通りのほぼ中央部に位置する。かつては娯楽の花形だった國映館という映画館の跡地に建設された。
 ホテルの構造は鉄骨造一部鉄筋コンクリート造で、その規模は敷地面積約4805㎡、延床面積約26588㎡、地下ー階、地上13階、塔屋1階。またタワーパーキングに車108台、ほかホテル棟内と合わせて154台収納可能なスペースを確保している。人と車で終日混み合う国際通りの妨げにならないよう、車寄せは正面エントランス部分とは反対側に設けているのも特徴だ。
 これだけのホテル事業を計画、推進したのは、台湾大手セメントメーカーである嘉新水泥グループを率いる張剛綸董事長だ。氏は2013年、日本でのホテル事業を展開するにあたり沖縄に嘉新琉球開発合同会社を設立。そして2019 年、 嘉新琉球COLLECTIVE株式会社を設立し、台湾はもとより国内外のホテル業界で手腕を発揮してきた松本龍之を代表取締役に抜擢して、 さらなる沖縄開発へと邁進している。
 受注に至った背景には、 熊谷組グループの台湾現地法人・華熊營造股扮有限公司が台湾で手がけたTAIPEI 101や陶朱隠園など、これまでの多くの実績が認められての事がある。そうしたことから、今回は華熊營造股分有限公司の協力を得ながら熊谷組が施工を行った。
 また建物の設計は、 ホテル建築にも定評のある浅井謙建築研究所株式会社が担当し、室内のインテリアデザインは上海のStudioMHが請け負った。

施工実績の少ないPC採用と厳しい施工環境への対応

施工に携わったCHC(ChiaHsin Cement : 嘉新水泥 )那覇ホテル工事所の友広健工事所長と、同作業所の上石和広作業所長のお二人に話しを聞いた。
 工事で最も苦労したのは「沖縄では施工実績の少ないPC(プレキャストコンクリート)カーテンウォールを外壁に採用したことですね 」と口火を切ったのは友広工事所長だ。
 PCの配列(1068ピース)をデザイン上ランダムに配置したディテールが、当ホテルの外観の特徴でもある。ところが肝心のPCを製作する工場が県内に無く、本土からの搬入ではますコスト面で論外だ。そこで専門の技術者を招き、試行錯誤を繰り返しながら地元沖縄での生産を実現化し、なんとか完成に至った。
 また、 現場が国際通り(県道93号)に接道しているので、搬入計画には頭を痛めたという。沖縄での移動手段は主に車であることから、 慢性的な交通渋滞が各所で発生する。特に国際通りは県内で最も多い交通量であり、それに加えて沖縄最大のショッピングストリートであることから人の流れも絶えることがない。そうした状況下で工事用の大型車両を頻繁に、効率よく、かつ安全に出入りさせるのだから、その苦労の程は誰にでも容易に想像がつく。さらに周囲が住宅街だったことから、騒音などに考慮して夜間作業を控えたこと、また地下掘削中に不発弾が発見され除去までに2 か月近くを要したこと。それに、度重なる台風直撃の影響により工事及び海上輸送関係の資機材遅延等が多々発生したことなど、施工現場の環境に苦慮した点は枚挙にいとまがない。