社員インタビュー【国際部門/建築施工管理】

「台湾に日本人がいる意義」

を体現、海を越えて啓蒙する

建築施工管理の品質と

安全意識。

清水 俊一

華熊営造 建築事業部 
2006年入社

国際部門/建築施工管理職1
経歴
2006年に首都圏支店の建築施工管理として熊谷組に入社。約2年半現場での経験を積んだ後、熊谷組の100%子会社である台湾現地法人・華熊営造へ出向。華熊営造でも施工管理として、建築現場での工期・品質・安全を担っている。台湾での数少ない日本人職員として施工管理はもちろん、図面や収支の管理、海外への材料発注など幅広い業務に取り組んでいる。
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熊谷組を選んだ理由と華熊営造へ異動の経緯

国際部門/建築施工管理職2

大学では構造系の研究室に所属していたので、構造設計の仕事に興味がありました。しかし構造設計での内定は難しく、意匠設計として複数社から内定をもらいました。その一方で、熊谷組には建築施工管理での内定をいただきました。

熊谷組からは「数年ごとに部署異動が可能」なこと、「構造設計を行う上で施工管理での現場経験は強みになる」ことを親身になって教えていただいたことを今でも鮮明に覚えています。加えて海外で仕事ができる可能性があることを知り、総合的に判断して熊谷組への入社を決めました。

日本ではマンション、学校、工場、商業施設、事務所の現場を施工管理で2年半経験しました。いろんな現場を経験したタイミングで、台湾現地法人の華熊営造から「日本人の若手に来てほしい」と声がかかったのが大きな転機でしたね。もともと海外で働きたい気持ちがあったので、とても嬉しかったのを覚えています。

入社後2年半で海外に出たこともあり、結果的には施工管理としてのキャリアを積んできましたが、実際に働いてみると施工管理の仕事が自分にはとても合っていると感じています。

華熊営造という異国での仕事

国際部門/建築施工管理職3

私が華熊営造に来た当時は約200人の職員のうち日本人は20人ほどで、特に現場には所長と主任と私の3人しかいませんでした。日本人の先輩たちは技術面で優れていると、現地の人から仕事ぶりを評価されていました。そこで、「日本人としてどう自分が仕事に取り組むか」を考え、日本で2年半培ってきた施工管理の手法を現地でも実践しました。その結果、現地のお客様から高い評価をいただけたことを覚えています。

台湾での施工管理の業務内容は日本と大きくは変わりませんが、台湾では日本より図面が頻繁に変わります。そのため、設計会議で施主さんや建築士などと話し合い、その都度、施工管理担当が話をまとめる必要があります。施工管理を行いつつ図面や収支も担当するので、日本よりも幅広い業務が発生するのも特徴です。

また、日本の建物は国内で材料を探すことが大半ですが、台湾では必要に応じてアメリカやドイツ、日本などの海外から材料を仕入れます。私も日本への発注を担当しましたが、海外の材料を発注し、台湾に搬入するには多くの手続きが必要です。

例えば、1600トンの大量の鉄筋を日本から搬入するには、輸送の方法の選択、商社の人とのやり取り、関税の確認、施主さんへの報告などが発生します。日本にいた時は海外からの搬入経験はなかったので、すべて台湾に来てから先輩に聞いて教えてもらいました。

そんな日本でできない経験が積める台湾ですが、華熊営造は2004年の建設当時世界一の高さを誇った超高層ビル「台北101(タイペイイチマルイチ)」を建てた会社として有名です。私も台湾最大の都市・台北市に建設した高層芸術住宅「陶朱隠園(タオヂュインユェン)」の図面を担当しました。ねじれている外観が印象的な建物で、台湾を象徴する建物の1つに携わることができて本当に幸運でした。

台北101と陶朱隠園 台北101と陶朱隠園
台北101(左)と陶朱隠園(右)

台湾で働くこととは

国際部門/建築施工管理職4

台湾での仕事では基本的に中国語を使います。華熊営造に出向した頃はまったく中国語が話せなかったので、会社の補助もあり、平日の勤務後に語学学校で2時間の授業を受けました。授業には華熊営造以外の会社の人もいて、韓国人やパラグアイ人、カナダ人、アメリカ人と多様な国の人がクラスメイトでした。

カリキュラムとしては1クール3か月で、最後にテストがあります。私はいち早く現地語でコミュニケーションを取るためにも勉強を頑張ったので、その甲斐あって一番高い評価をもらえました。その後は、覚えた言葉を日常の中で使いつつ、分からない単語が出てきたらメモをとりながら中国語を身につけるのを習慣としていました。

また、日本人と台湾人の国民性はまったく異なるので、働く上で気をつけるべき点も変わります。日本人の特徴は真面目で丁寧な仕事をすることです。こちらが特に言わなくても、現場掃除などをしてくれるのはだいたい日本人ですね。

一方で、台湾人は陽気な人が多く、私も彼らと一緒に楽しく仕事をしています。何十年と仕事をしているベテランの職人も、私が話すとしっかり耳を傾けてくれるのが印象的です。

ただし、台湾人の安全意識は日本人ほど高くはありません。そこで、作業員に対してとにかく声かけを行うことを意識しています。日頃から何千回もコミュニケーションをとることで、作業進捗の確認や安全面の確認を都度行い、講習やポスターだけでは浸透しきれない安全意識の啓蒙を図っています。台湾の現場でも日本と同じレベルの安全基準に引き上げることは重要な仕事です。

台湾で構築する人間関係

国際部門/建築施工管理職5

私はどの現場にいる時もやることは変わらず、日本人としてその現場にいる意味を常に考えながら、技術面でサポートするようにしています。

後輩に対しては、大きな問題が無ければやらせてみて、失敗も経験させます。ただし、後輩の失敗は必ず自分がカバーするのが大前提です。上に立つ人は後輩の失敗をカバーできる技術力とコミュニケーション能力が必要だということを、実際に仕事を通して伝えることで、その後輩が上の立場になったときをイメージさせます。台湾のゼネコンではこういう後輩の育て方はあまり見ないので、実際に自分が動いて背中で見せて技術を伝える習慣のある「日本人だからこそ」のやり方だと感じています。

また、台湾は上下関係がしっかりしていて、上長の言うことは絶対というのが基本です。ただし、表向きは従っていても裏では不満をためこんでいることもあるので、良い仕事をするためにも自分の意見を言ってきちんと議論することの必要性を伝えています。

皆が自分の意見を伝えるようになると、意見がぶつかる場面も出てきます。私自身も先輩方とは、いろんな話し合いをさせていただきました。意見交換は業務進行のための議論なので、それが理由で険悪になることはありません。熊谷組に入って良かったなと思うのは、管理と職人という関係性の中でも、「人と人の話し合い」を大切にしているところです。お互いに信頼関係が築きやすいので、本当に環境に恵まれたと思う部分でもあります。

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今後、熊谷組で成し遂げたいこと

私は定年退職まで現場主義を貫きたいと考えています。現場では60歳になっても教育係のような仕事もありますし、立場や職種の異なるいろんな人と関われて、一緒に仕事ができるのもまた現場です。

機会があれば日本の現場もまた経験した後、海外に戻りたいですね。日本では2年半の現場経験しかないので、日本の現場所長などは何をしているのかを学び、日本でも海外でも活躍できる人間になりたいです。

華熊営造のような独立できる力を持った会社を海外に幅広く展開し、世界中の誰もが知っているようなゼネコンに熊谷組がなるための一端を担っていきたいと思っています。

SCHEDULE

1日のスケジュール

朝礼
現場確認
協力会社と打ち合わせ(午後と翌日の確認)

休憩

番頭さんや業者の代表者と現場確認(15〜20業者)
事務作業
打ち合わせ
勉強会

就活生へのメッセージ

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海外で働くにはまず語学だと考えている人が大半ですが、多くの人は語学ができなくても海外出向しています。海外に行った後に語学は十分勉強できるので、海外で働くことに興味がある方、やる気がある方は、ぜひチャレンジしてみてください。

海外に行くのがゴールではなく、日本を出てからがスタートです。海外に来ると「日本人」として見られるようになり、「日本人としてどう振る舞うか」を考える楽しさもあります。

海外での仕事に興味がある方は、ぜひ一緒に働きましょう。

  • 所属・役職・内容は取材当時のものです。

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