石貼りを下地に用いて乾式二重床で高い床衝撃音低減性能を実現「NSフロアー石貼り下地工法」を開発
2014年06月18日
株式会社熊谷組(取締役社長 樋口 靖)は、野原産業株式会社(代表取締役社長 野原数生 本社:東京都新宿区)、有限会社泰成電機工業(代表取締役 堀内一治 本社:長野県駒ケ根市)と共同で、リフォームに対応できる高い床衝撃音低減性能の「NSフロアー石貼り下地工法」を開発しましたのでお知らせいたします。
1.開発の背景
昭和50年代から60年代に作られた集合住宅のコンクリート床の厚さは、150㎜以下のものが多くあります。さらに、これらの集合住宅に用いられている乾式二重床は、仕上げ厚さが、現在の150㎜程度よりも小さい100mm~120㎜程度です。このため、63Hz帯域において床懐の共振により、スラブ素面よりも5dB~10dB程度床衝撃音低減性能が低下していました。
今回、スラブ素面よりも床衝撃音低減性能を向上させ、乾式二重床の仕上げ高さが120㎜程度で床懐の共振の影響を受けない乾式二重床工法を開発しました。
2.NSフロアー石貼り下地工法
今回開発した「NSフロアー石貼り下地工法」は、パーティクルボードの上の下地材として環境に配慮したガラス繊維不織布入りせっこう板を用いています。このガラス繊維不織布入りせっこう板の上に針葉樹合板、下地となる大理石を貼り、その上にフローリングを施工しています。この下地材及び石材を入れることによって、乾式二重床の剛性が大幅に向上し、高い床衝撃音低減性能が実現しました。さらに、大理石下地を入れることによって床仕上げ高さが上がるのを支持脚高を通常より下げることによって二重床全体の高さを抑えています。
3.特徴
○床仕上げ高さ120mm
従来の乾式二重床の床仕上げ高さは150㎜でしたが、床仕上げ高さを120mmで施工できるようにしました。
このため、天井高さに余裕がないリニューアルに対応できます。
○高い床衝撃音低減性能を有しています。
重量床衝撃音低減性能は、スラブ素面よりも高い床衝撃音低減性能を実現しました。
ΔLH(Ⅱ)-3等級
軽量床衝撃音低減性能 ΔLL(Ⅱ)-3等級
○高い耐荷重性能
等分布積載荷重は1960N/m2で最大2.2mm、局部集中荷重は980Nで最大1.5㎜と一般的な乾式二重床の
1/2程度の沈み量です。
○環境に配慮
下地材としてガラス繊維不織布入りせっこう板を採用しました。
NSフロアー石貼り下地工法の基本断面を以下に示します。
4.床衝撃音低減性能及び耐荷重性能
一般財団法人日本建築総合試験所における床衝撃音低減性能試験の結果を示します。
●1~●5は床衝撃音レベル低減試験の衝撃点を示す。
▲S1~▲S5は耐荷重性能試験の載荷中心点を□S1~□S4は変位量測定位置をそれぞれ示す。
S1~S3:等分布載積荷重、局部集中荷重および衝撃強さ(落下高さ30cm・50cm)
S4:等分布載積荷重および局部集中荷重
S5:衝撃強さ(落下高さ100cm)
試験体割付図及び打撃点、荷重試験位置
床衝撃音低減性能 軽量:ΔLL(Ⅱ)-3
重量:ΔLH(Ⅱ)-3
一般財団法人日本建築総合試験所 試験番号:ⅣA-14-0017
一般財団法人日本建築総合試験所の壁式構造実験室における試験状況を以下に示します。
5.コスト
NSフロアー石貼り下地工法の設計価格(材工)は、35,000円/㎡を設定しております。(表面フローリングの材工価格は含まず)
6.今後の展開
今後、集合住宅の床衝撃音遮断性能を向上させる重要なツールとして、デベロッパーや設計事務所などに対して積極的に提案していく予定です。なお、本商品の製造(床下地)は有限会社泰成電機工業が、販売・施工は、野原産業株式会社が行います。
以上
[お問い合わせ先]
[本リリースに関するお問い合わせ先]
株式会社 熊谷組 広報部
部長:五十川 宏文
担当:小坂田 泰宏 (電話03-3235-8155)
[技術に関するお問い合わせ先]
株式会社 熊谷組 技術研究所
副所長:大脇 雅直
担当:黒木 拓 (電話03-3235-8724)
[製造に関するお問い合わせ先]
有限会社 泰成電機工業
取締役技術本部長:高倉 史洋
担当:石丸 岳史 (電話0265-83-1138)
[販売・施工に関するお問い合わせ先]
野原産業株式会社
常務執行役員:今井 力
担当:小林 秀樹 (電話03-3355-4809)