超大断面トンネル構築技術:「まがるーふ工法」を開発

2012年07月26日

 株式会社熊谷組(取締役社長 大田弘、本社:東京都新宿区)は、機動建設工業株式会社(代表取締役社長 萩原明、本社:大阪市)と共同で、分岐合流部などの超大断面トンネル構築技術として、新方式による曲線函体推進工法「まがるーふ工法」を開発しましたのでお知らせします。

1.開発の目的・背景

 トンネルの大深度化に伴い、分岐合流部などの大断面地下空間構築技術の要求が増しています。特に、大都市部では、交通量が多く地下埋設物も輻輳していることから開削方式での施工が困難な場合が多く、非開削方式が望まれています。都市トンネルにはシールド工法が多く採用されていますが、分岐合流部のような複雑な断面変化をシールドで対応する場合には非常に高価となります。曲線パイプルーフ工法などの先行支保方式による切り拡げもありますが、地下水対策や地盤補強が必要なことから、時間と工事費が増大します。
 今回の開発は、曲線パイプルーフなどの先行支保方式のこのような課題を軽減するための新たな方法を提供するものです。

2.主な着目点

①大深度トンネルでは大きな荷重が作用するため大きな断面性能が必要です。
  従来の曲線パイプルーフ工法は20cm~80cmの丸い鋼管を使用しています。本工法では矩形
  断面にすることで高い断面性能が得られると共に、断面が大きくなることで色々な掘削手
  段が選択できることに着目しました。

②地下水があるため、止水性の確保が必要です。
  従来の曲線パイプルーフでは、密閉型の小型推進機を用いて鋼管を1.0m~1.5m間隔で設置
  し、鋼管と鋼管の間の地山は薬液注入や凍結工法などを用いて地盤改良・止水を行ってきました。
  本工法は、大きな断面の矩形鋼管を用いることで、連続体の構築が可能となり薬液注入や
  凍結工法の数量を低減できることに着目しました。

③工程短縮、コスト縮減が要望されています。
  従来の曲線パイプルーフでは、1台の施工機械で1本の鋼管を設置する方法でした。
  本工法は、管を連結して同時に推進することで薬液注入や凍結工法の施工量が低減される
  ため、工程短縮とコスト縮減が可能となることに着目しました。

以上の主な着目点に基づき、施工機械の開発を行いました。

3.特徴

①矩形鋼管の連続体による先行支保
   鋼管は矩形とすることで、連続体の構築を容易にしました。また、複数の鋼管を連結して、
   同時に推進することも可能です。さらに、連続体が可能なことで地盤改良・止水に必要な
   薬液注入や凍結工法の数量減が図られ、工程・工費を軽減できます。

②地下水面下で施工可能な密閉構造
   密閉型構造とするための隔壁を設けています。
   排泥は、泥水循環方式、泥濃方式などへの対応が可能です。

③掘削機械は汎用機を利用
   掘削機械は軟岩掘削で使われているツインヘッダーを用いました。リース可能な汎用機械
   を使うことで、機械の開発コストを抑えるとともに、複数台の同時施工による工程短縮を図ります。

④優れた転用性
   先端部をスイングさせ拡径掘削させることにより、内部から掘削機械を引抜き転用を可能にしています。

⑤推力伝達方式
   先端牽引方式、元押し方式のどちらにも対応可能です。

工法のイメージ図

4.今後の課題

 「まがるーふ工法」は、平成20年から要素技術の研究・開発を進めてきました。
今後は、ロングスパンの施工に必要な方向制御について実証実験を予定しています。
 今回開発した「まがるーふ工法」は、大深度での超大断面トンネルの構築に新たな可能性を提案するものです。

ツインヘッダーの取り付け状況
二連結同時推進の状態
曲線状態での推進状況

以上

[お問い合わせ先]

[本リリースに関するお問い合わせ先]
 株式会社 熊谷組  広報室
 室長:手島 眞之
 担当:小坂田 泰宏 (電話03-3235-8155)

[技術に関するお問い合わせ先]
 株式会社 熊谷組  土木事業本部 トンネル技術部
 部長:芳賀 宏
 担当:岩永 茂治(電話 03-3235-8649)