熊谷組のダイバーシティ&インクルージョン

工事概要

豊洲地区 1-1 街区開発計画新築工事(東京都江東区豊洲)

発注者

東急不動産株式会社
株式会社 NIPPO
大成有楽不動産株式会社
J R西日本プロパティーズ株式会社

設計者 株式会社熊谷組ー級建築士事務所
構造·規模

集合住宅 : R C 造 48 / l
物販店舗 : S造 l / 0
保育所:S 造 2 / 0
延床面積:約139,120㎡

ダイバーシティ推進に全力で取り組む熊谷組グループ

 いま「 ダイバーシティ&インクルージョン 」は多くの企業で取り組まれている。ダイバーシティ(Diversity)は「人財(視点)」の多様化であり、インクルージョン(Inclusion)は企業において多様な考え方を受け入れ、認め合うことだ。これにより、経営においてはビジネスフィールドが広がり、 多岐にわたる市場獲得に期待が持てる。また社員にとっては、 個々の生活に応じた新たな 働き方のスタイルを見いだすことが可能だ。
 そこで熊谷組は「全員参加の経営に取り組む」というスローガンを掲げ、そのためにはダイバーシティ経営は欠かせないという判断から、2016年に専門部署である『ダイバーシティ推進室』を新設し、グループ会社を含めた全支店からダイバーシティ推進担当者を選任した。以来、性別、年齢、国籍、性自認・性的指向、障がいの有無等にかかわらず、すべての人が活き活きと働くことができる職場環境づくりを目指してさまざまな〈 働き方改革 〉に全力で取り組んでいる。

着実に成果が表れた女性活躍から環境整備まで

 『ダイバーシティ推進室』設置から5年、その成果は目に見えて現れている。従業員一人当たりの売上高が増加を続ける中、社員の時間外労働時間は徐々に減少していった(月平均社員一人当たり91時間減)。
 女性社員の活躍は目覚ましく、女性管理職数が11名から95名と約5倍 (2020年7月現在)になり、建設現場配置の技術系女性は14名から33名に増加した。そのことが評価され、経済産業省・東京証券取引所が女性の活躍推進に優れた上場企業を選定する令和元年度の「なでしこ銘柄」に選定された。また定年後の再雇用者数もこの5年で228名から348名と大幅に増え、 シニア社員の活躍も勢いがついている。
 さらに外国人の採用にも積極的だ。ミャンマー出身の女性社員サンダー・アウンは、ヤンゴン工科大学で土木を学び、熊谷組に入社するために来日した。会社が日本語学校を手配するなど生活面もサポートした。現在はミャンマーの現場に勤務し、施工管理という大役を担っている。同様に男女問わず、諸外国から多くの「 人財 」を受け入れている。これは常に無意識の偏見を無くし、多様な「 人財 」を認め合う意識改革の推進、「アンコンシャスバイアス」研修やeラーニングの実施など、 継続的な施策の成果といえるだろう。
 また全国の推進担当者チームによる「ダイバーシティバトロール」を実施し、実際に建設現場を訪れて環境整備状況を確認、社内基準に則って整備することで現場の環境も大きく改善された。設備面だけでなく意識面でも改革が進み、現場での働きやすい環境が加速した。特に注目したいのは、「男性育児休業取得」だ。男性社員にも子育てしやすい環境づくりを確立している。その取得率はこの5年で2.3%から20.9%、つまり五人に一人の男性社員が休業を取っている。また、配偶者特別有給休暇(出産時に5日間取得可能)は48.8 %の取得率となっている。
 育児休業の取得経験がある建築施工担当の野口幸太は「妻の育児・家事の大変さが理解できたし、子供の成長を日々感じられたことは幸せだった」と話す。