半断面施工に適用可能な新型コッター式継手を開発~小型・軽量化により継手重量50%削減に成功~

2024年09月25日

株式会社熊谷組(代表取締役社長:上田真)と株式会社ガイアート(代表取締役社長:石塚周平、本社:東京都新宿区)、オリエンタル白石株式会社(代表取締役社長:大野達也、本社:東京都江東区)、ジオスター株式会社(代表取締役社長:堀田穣、本社:東京都文京区)(以下、「開発4社」という)は、共同で開発した「橋梁用コッター床版工法」に使用するコッター式継手をさらに小型・軽量化した新型コッター式継手を開発しました。

これにより、高速道路床版取替工事で増加している半断面施工(プレキャスト床版を橋軸方向に分割する施工方法)が可能となる他、継手製造費も大幅に低減されます。

1. コッター床版工法による半断面施工とは

コッター床版工法は、供用中の道路における橋梁床版の取り替え工事に用いる技術です。コッター式継手を用いてプレキャスト床版を接合することで、従来の工法に比べてより速い施工が可能です。接合は床版に埋設されているC型金物にくさび状のH型金物を挿入し、固定用ボルトを締め込むことで十分な接合強度を確保します。
一般的にプレキャスト床版は橋軸直角方向に分割されて架設(全断面施工)されますが、さらに橋軸方向にも分割した半断面施工が近年増加しています。今回は、橋軸直角方向接合部は新型コッター式継手で接合し、橋軸方向接合部はPC鋼材によるポストテンション方式(現場でPC鋼材を挿入し緊張する方式)で接合した半断面コッター床版により性能確認試験を実施しました。

図-1 コッター床版工法による半断面施工
図-1 コッター床版工法による半断面施工

コッター床版工法の特徴・利点

(1)急速施工・省人化が可能

現場での鉄筋・型枠組立作業が不要で、床版の設置から接合までの作業日数を約50%短縮、作業人員を約60%低減することが可能です。

(2)床版面積の99%をプレキャスト化

従来工法は、プレキャスト床版の接合部に幅300mm~400mmの現場打ち部分(間詰めコンクリート部)が必要でしたが、本工法の接合部は20mmの目地となり、床版面積の99%をプレキャスト化できます。

(3)熟練工が不要

接合作業が、ボルトを締め付けるだけの簡単な作業で済むため、従来工法のような熟練工(鉄筋工、型枠工など)が不要です。

(4)将来、部分的な取り替えが容易

コッター床版は接合部のH型金物を切断しても、まわりの床版の強度に影響しないため、部分的な床版取り替えが容易であり、供用後のメンテナンス性や、災害時の早期復旧等においても優れた性能を有しています。

※数値は橋軸方向に分割しない全断面施工の実測値
(平成31年2月7日プレスリリース)

2. 現行のコッター式継手をさらに小型・軽量化

これまでの施工で蓄積されたデータを詳細に分析することで、現行のコッター式継手をさらに小型・軽量化した新型コッター式継手を開発しました。コッター式継手はこれまでにも大幅な改良が行われており、今回の継手は3代目となります。
今回の改良では、現行のコッター式継手で過剰となっている部位を特定し、細部にわたり最適化することで、同等な性能を確保しつつ継手全長を現行型の半分に、重量を50%削減することに成功しました。
この小型・軽量化により半断面施工への適用が可能となることに加え、継手を取り扱うPC工場や現場での作業性が向上します。さらに施工経験者の意見を取り入れた細部の改良も併せて実施することで、さらなる施工の効率化にも取り組んでいます。
継手製造費も大幅に低減され、コスト競争力を強化することで、さらなる受注拡大が期待されています。
新型コッター式継手を用いたコッター床版は、すでにNEXCO試験方法(試験法442)により要求性能を満足することを確認しています。今後、量産体制を整備し、来年度以降、市場に投入する予定です。

写真-1 現行型と新型の比較(上:現行型、下:新型)
写真-1 現行型と新型の比較(上:現行型、下:新型)

コッター式継手の施工実績は、本年2月に10,000組を超えました。新規顧客も年々増加し開発4社による共同事業も順調に収益を伸ばしています。
今後は、高速道路のリニューアルプロジェクトを中心に実績を積み重ねながら、高速道路に限らず全国の道路リニューアル工事も視野に入れ、更なる技術の進化に取り組んでまいります。

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